定年退職した元大学等研究者の活用にみる高齢化社会での高度人材活用

大学教授 定年退職 人材活用

【今日のポイント】

少子高齢化や人材不足の中で、定年退職者の活用が求められていますが、元大学の先生という高度人材の活用は、人材の持つポテンシャルの高さに加えて、その方の業績や能力などが論文、特許、所属していた大学などの公開情報から探ることができるという点もメリットがあるかと思います。

研究開発や教育に限らず、既存情報から能力や適正を把握できる人材の分野という視点から自社の人材(人的資産)の強化を図る方法としても参考になるかと思います。

 

定年退職した元大学等研究者による技術開発・教育支援サービスを開始しました。

少し前の記事になりますが、2019/2/28に株式会社キャンパスクリエイトは表記のリリースを発表しました。

(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同様。)

『株式会社キャンパスクリエイト(東京都調布市)は、企業様の技術人材不足の問題や研究開発力の向上/社会人の学びなおし教育(リカレント教育)のニーズの高まりにより柔軟に対応すべく、定年退職した元大学等研究者による技術開発・教育支援サービスを開始しました。

例えば、日常的な技術指導・研究開発のご支援や、研究開発中のテーマに関連した技術分野での体系的な社内講義など、個々の企業様のニーズに応じて定年退職した元大学等研究者が保有する高度なノウハウを生かしたフレキシビリティなサービスを提供してまいります。』

企業では、主に自社の定年退職したOBOGの活用を進めていますし、

先日、中小企業診断士の集まりでは、独立せずに企業に勤める中小企業診断士(企業内診断士)が定年退職した後で、他企業で必要なときにだけパートタイムでコンサルティングなどを行う仕組みの話が出ていましたが、

研究開発や教育の場面で、大学の先生にも同じような人材活用の仕組みが始まっていることを知り、興味深く感じた次第です。

企業側のニーズと退職者側のポテンシャル

上記のリリースでは、

『定年退職した元大学等研究者は企業様の様々なニーズに応えられるだけの大きなポテンシャルがあり、弊社でのコーディネート実績に限らず水面下では様々な事例がありますが、退職後だと連絡先が公開しずらい/企業様視点でのコンタクト方法が分からない、企業(特に大企業)によっては研究者個人との契約が難しい、プラットフォームとして普及促進するための旗振り役の組織体と運用モデルが必要、などの阻害要因がありました。』

と企業側に大学等の研究者へのニーズはあるものの、契約面、人材の探し方やコンタクトの面での障害があることや、

以下のように、定年退職した大学等の研究者側には、企業のニーズに応えられるだけのポテンシャルや、雑務から開放されてフレキシブルに対応できるといったメリットがあることを伝えています。

『一方、定年退職した元大学等研究者においては、研究/技術/教育に係る長年の実績と、大学等の業務や雑務の解消によって時間/場所/支援内容にフレキシビリティな対応が可能という優れたリソースがあります』

このように、ニーズとシーズがあり、かつ両者を隔てるハードルがあるところには、ビジネスチャンスもあることが分かりやすい事例かと思います。


既存の情報の活用による信頼性確保とコスト低減

ここで、人材のマッチングにおける企業側のニーズからみた、大学の先生に感じるメリットとしては、

・元大学教授の業績は、論文や特許で確認が容易

持っているコネクションも、公開されている学会、委員会活動などの履歴から追いやすい

元いた大学や学科などから求めている技術分野かどうか分かり易い、良い意味での学歴社会の利点

等が挙げられるかと思います。

つまり、公開されている既存情報を活用することで、採用時の信頼性確保が容易となり、採用コストの低減にもつながると言えますね。

そして、今までお付き合いしていた先生ならばなおのこと安心となります。

企業側からは、自社の定年したOB以外の人材採用の幅が広がり、

マッチングビジネス側からは、採用面のコスト、紹介時のPRコストなどの面で有利となりますので、中間マージンを下げられる効果も期待できるかと思います。

なお、既存の人材情報としては、特許情報も発明者が載っているので活用可能です。

上記の方法は、マッチングビジネスだけでなく、中小企業やその支援者にとっても活用可能な人材の見つけ方ではないかと思います。

自社の知的資産、特に人的資産の強化の際に、既存情報を活用できる人材はどんな人たちか、パートタイムや案件ごとでの活用含めて、検討方法の一つとしてみてはとお勧めする次第です。

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