大日本印刷の知的財産と表現技術の掛け合わせにみる上位概念での事業展開

rawpixelによるPixabayからの画像

【今日のポイント】

エンターテイメントコンテンツという知的財産×表現技術という事業展開を進める大日本印刷。

「印刷」を「表現」という上位概念に移して自社事業を再定義することで、新しい市場や提供価値が見えてくる事例と言えるかと思います。

知的財産と表現技術を掛け合わせたイベント事業、大日本印刷が展開へ

2019/7/17 の日経XTECHに表記の記事が掲載されていました。

同日の、大日本印刷のリリースはこちら。

『人気コンテンツとテクノロジーを掛け合わせたイベント事業を開始
第一弾はカプコンのモンスターハンターにて1031日(木)から秋葉原で開催』

(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同様。)

『大日本印刷株式会社(本社:東京 社長:北島義斉 資本金:1,144億円 以下:DNP)は、アニメやマンガ、ゲーム等の人気作品の知的財産(Intellectual Property、以下:IP)とテクノロジーを掛け合わせて、新しい体験価値を提供するイベント事業を開始します。

第一弾として、株式会社カプコンの人気ゲーム「モンスターハンター」のIPを活用したイベント『DNP Produce MONSTER HUNTER × NAKED 「モンスターハンター15周年展」 – THE QUEST –』を1031日(木)より開催します。』

AR、VRなどのテクノロジー人気アニメ等のコンテンツという知的財産の組み合わせによる事業展開。

イベントやゲームに留まらず、どのようなエンターテイメントを提供していくのか楽しみですね。

 

「印刷技術」から上位の「表現技術」へ

同社のリリースでは、今回のイベントの背景を以下の様に説明しています。

DNPは、印刷技術と情報技術を活用した多様なコミュニケーション手法を開発し、日本の優れたコンテンツを国内外に発信してきました。

2017年からは、東京・市谷で「東京アニメセンター in DNPプラザ」を運営し、アニメ作品の企画展やキャラクターグッズの販売、ワークショップ等のイベントを通じて、ファンとコンテンツホルダーおよびクリエイターを結ぶ共創ビジネスを進めています。

DNPは、これらの事業で培ったノウハウや表現技術と、人気コンテンツなどを組み合わせ、新たな体験価値を提供していくイベント事業に取り組みます。』

今回のイベントが、同社が事業領域を、印刷より上記概念の「表現」に移していることをあらわす事例であることを示しています。

上位概念で事業を定義すると、新しい組合せや市場も見えてくる

大日本印刷に限らず、「印刷×漫画などのコンテンツ」では書籍の市場がメインとなります。

ここで、「表現×漫画などのコンテンツ」というように、「印刷」を「表現」という上位概念に移すと、

以下のリリース記事の部分のようにコンテンツもアニメ、ゲームに広がり、その適用先も書籍だけでなくイベント、更にキャッシュレス社会の推進による町の活性化にまで繋がって行きます。

1.コンテンツの活用による価値の最大化

人気コンテンツの価値の最大化を図るべく、様々な表現技術を使ったイベントを中心に、オリジナルグッズや関連商品の販売、オリジナルの飲食メニューの開発・販売等を行います。

また、イベント開催に合わせて、TV番組やさまざまな企業とのタイアップを行うほか、イベント終了後の国内外での巡回展など、DNPの総合力を生かしたエンタテインメント性の高い企画展示を展開します。

2.先端技術の組み合わせとパートナー企業との連携

DNPは、プロジェクションマッピング、VR(仮想現実)・AR(拡張現実)などのさまざまな表現技術を活用し、イベント参加者にコンテンツの世界に没入しているような体験を提供します。

コンテンツの世界観を実現するために自社保有の表現技術に加え、さまざまな企業との協業も進めていきます。

今回のイベントでは、株式会社ネイキッドを演出パートナーとし、モンスターの気配・存在・迫力を体感できる「モンスターハンター」の世界を実現します。

3.キャッシュレス社会の推進に向けてコンテンツを活用し街の活性化を支援

DNPは、コンテンツとキャッシュレスサービスを組み合わせた取り組みを実施し、国内需要の高まるキャッシュレス決済の推進、街の活性化に貢献します。』

闇雲に事業を多角化したり、単に自社の既存市場の周辺に活動を広げるのはなく、

上位概念で自社の事業や提供価値を再定義し、新しいコンテンツや事業提携先との組み合わせを考えると、新しい自社の強みも見えてくると感じます。

そして、この様な発想と、事業展開を構想する手段として、

知的資産経営において、知的資産と現在の市場における自社の強みを分け

自社の知的資産を更に上位概念で捉える事で新しい市場と強みを見つけるという方法も、選択肢の1つに加える事をお勧めする次第です。

 

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