ミロク情報サービスの市場展開にみる地域密着型の提携方法
● ミロク情報サービスは福邦銀行と顧客紹介に関する業務提携契約を締結
2018年12月18日 財経新聞に表記の記事が掲載されていました。
(引用は『』でくくります。 太字と改行は筆者挿入、以下同様)
『地域の中小企業に対し、ERPシステムならびにM&A・事業承継支援などのサービスを提供
ミロク情報サービス(MJS)<9928>(東1)は17日、福邦銀行(本社:福井県福井市)と、地域経済の活性化ならびに地域における中小企業の事業活動を促進するため、顧客紹介に関する業務提携契約を締結した。
MJSは、業務提携を通じ、地域の中小企業に対し、ERPシステムならびにM&A・事業承継支援などのサービスを提供し、福邦銀行は、これらを通じた顧客向けサービスの拡充により地域金融機関として、多様化する顧客のニーズに対応し、双方協力して、地域密着型で顧客の事業活動を支援する。』
「信用金庫とデザイン学校の提携にみる産学連携のチャンス」
でご紹介した、地域の中小企業の実情をよく知る立場にある地域金融機関との産学連携による、最近注目されているデザインのビジネスへの転用事例や
「オプティムとみちのく銀行の提携にみるあらたな「集中と分散」」
でご紹介した、AI・IoT企業と地域金融機関との連携による地域の農業支援などのように、地域の金融機関との連携によって中小企業を支援するビジネスを展開する事例の一つと言えるかと思います。
ミロク情報サービスのサイトはこちら
● 地方の金融機関や会計事務所を通じて地域の企業にリーチする
今回の記事で、ミロク情報サービスは、地方の金融機関や会計事務所を通じて地域の企業にリーチしています。
具体的には、会計事務所等の顧問先企業に対して、会計事務所の紹介により企業向けシステムを販売しています。
「信金の知財評価にみる「支援の仕組み」を知っておく効果」
で、金融機関が中小企業の知的財産を評価するために専門家が支援する事例についてご紹介しましたように、
地域の中小企業と密接な関係を持つ金融機関が中小企業を支援するためのツールを提供するという方法で、金融機関ともWinWinの関係を築くというのは、中小企業支援ビジネスにおける一つの定石と言えるかと思います。
● 「トータルソリューション」を提供出来る価値
同社は、金融機関や会計事務所の紹介だけでなく、「ERPシステム」で中堅・大企業にも直接販路を拡大しています。
これは、同社がトータルソリューションの提供の体制を持っているので、色々な連携が可能になっているということかと思います。
「中小企業のロボット導入支援サイトに学ぶ「総合的支援」の重要性」
で支援される側から見た、トータルソリューションのワンストップサービスでの提供の必要性についてお話しましたが、
「宅配事業とEC事業の連携にみる可視化の有効性とバリューチェーン全体での対応の重要性」
や
「バリューチェーンの中で、「集中型と分散型の共存」を考える」
でもお話したように、支援やサービスを提供する側も、自社を含むバリューチェーン全体を見ながら、自社の提供するソリューションの幅を考えていく必要があるかと思います。
また、
「「未来会計」にみる「将来予測と打ち手のセット支援」」
の事例のように、バリューチェーン各所に必要なソリューションを用意する事で、切り売りも可能となり、ラインアップの拡充にもつながりますね。
そのような用意をする方法として、
「東大・松尾研発のAI総合研究所、「NABLAS」始動にみる実業と教育の統合の広がり」でご紹介した、東大の教育コンテンツのように、社内のスキル・経験を積み上げるその過程や積み上げたスキル自体を教育コンテンツとして、新しい商品・サービスにしていく方法や、
「ランサーズ、ペライチの提携に見る、ワンストップサービスの発想方法」
でご紹介した、自社にないスキル、人材の制約にとらわれずに、現在自社が顧客に提供している価値について、顧客が望むワンストップサービスを想定し、そこに必要な知的資産を持つ他社との提携またはアウトソーシングで実現していくという方法が参考になるものと考える次第です。
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