未来予測とその使い方(最近の事例から)

【今日のポイント】

変化が激しく、不確実性が高まっている現在だからか、未来予測への関心も高まっていることが最近のニュースからも窺えます。

自社の外部環境を予測し、今後の方向性を考えて課題を設定するためにも、未来の予測方法や活用方法に関する先行例などをみて、その手法を取り入れることは有効な知的資産の構築につながるものと検討をお進めする次第です。

【目次】

1.未来予測に関する最近の動向
2.未来予測の活用先としてのイノベーション
3.未来予測を自社ビジネスの課題設定に取り込む

 

1.未来予測に関する最近の動向

新型コロナや天災、各国の政治状況など、私達を取り巻く環境は変化が大きい上に複雑に要素が絡み合う様になっており、
いわゆるVUCA(Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性))の時代との言葉もよく目にするようになってきましたね。

それに伴い、未来予測や未来洞察への関心も高まってきていると感じます。

最近の未来予測に関連する企業等の動向の記事を以下にいくつかご紹介いたします。

● 「未来・トレンド予測の思考法と分析テクニック」と題して、(株)経営技法 代表取締役社長 鈴木 俊介 氏によるセミナーを2021年12月9日(木)SSKセミナールームにて開催!!

2021/10/19に株式会社 新社会システム総合研究所は表記のプレスリリースを公表しました(PRTIMES_JPより)

同セミナーの案内はこちら
(引用は『』でくくります。改行は筆者挿入。以下同じ。)

『物事を予測する上で必要な手法自体は、既に様々出回っています。自然科学、社会科学問わず、各々の世界で物事の推移を言い当てたセオリーはあります。あとは、いかにそれらをセンス良く上手に繋ぎ合わせ、的確に分析し、想像してみせるかです。既にある手法を理解し、そして、分析と思考の方法に磨きをかけることです。
本セミナーでは、そのために必要な知識や手法を紹介の上、それらを使いこなす思考、分析のテクニックについてご紹介します。』

⇒先日ブログでご紹介した未来予測の書籍『SF思考』や、生物の進化との類似性からイノベーションへの取り組みについて論じている『進化思考』など、VUCAな時代(不確実性や複雑性の高い社会)の中で未来予測とのその活用について関心が高まっていますが、利用できる未来予測手法の取得と材料となる情報のインプットの双方が必要であり、それを実施する際の支援のニーズも高まっていると感じる次第です。

『「SF思考」ー物語で見せる未来予測(1/3)』

 

● 多様な視点を持つスピーカーがカンファレンスに登壇!オルタナティブな社会についてセッションするプログラムと登壇者の第一弾発表

2021/10/21に一般社団法人 渋谷未来デザインは表記のプレスリリースを公表しました。

(引用は『』でくくります。改行は筆者挿入。以下同じ。)

『都市型イベント「SOCIAL INNOVATION WEEK SHIBUYA 2021」(以下、SIW)を11月5日(金)~14日(日)に開催します。この期間に、渋谷の街で産官学民がプログラムを共につくり、議論に参加することで、多様なアイデアが出会い、つながり、形になることを目指します。』

⇒「パーソナル・コンピュータの父」ともよばれるアラン・ケイ氏の『未来を予測する最良の方法は未来を発明すること』の言葉と共に、その「場」への多様な人の参加の重要性を感じた次第です。

 

● 中京銀行と事業提携のお知らせ 愛知県初の提携で、東海エリアの地場企業の連鎖倒産を防ぐため連携

2021/10/6に、AI与信管理サービス「アラームボックス」を提供するアラームボックス株式会社は表記のプレスリリースを公表しました。

『「アラームボックス」( https://alarmbox.jp )は、スマートフォンやPCから取引先を登録しておくだけで、取引先のリスクや状況変化を自動で知らせてくれるサービスです。
インターネット上の情報を活用した「高精度」な与信管理を、「カンタン」に、「低価格」で導入できます。』

⇒SNS や口コミも活用してAIで与信管理とのこと。
企業側もレピュテーションリスクのマネジメントが更に重要になって来たと感じます。
また、自社の顧客や取引先、さらにSNSのユーザーなどとの関係という知的資産の重要性もまた高まっており、戦略的にこれら関係資産を構築するために、人材や情報の受発信の仕組みなども整えていくことが必要と考える次第です。

 

● 大阪大学とNEC、「NEC Beyond 5G協働研究所」を設置
~より高度なデジタルツインの実現を目指し、産学連携を加速~

2021/10/25に国立大学法人大阪大学と日本電気株式会社は表記のプレスリリースを公表しました。

『本研究所ではBeyond 5GとAI技術によりデジタルツインを発展させ、実世界のセンシング、データ処理、制御を即時に行い、さらに制御によって変化した実世界の状況を再び仮想世界に取り込むことを目指します。
センシングデータには不確かな情報も存在すること、AI認識による誤差、実世界の環境は常に変化することなどを考慮し、実世界を確率的に推定し未来を予測して柔軟に行動する「確率的デジタルツイン」を提唱するとともに、実現に向けて確率的な認識技術やロボット制御、通信制御などの研究開発を行います。
誤差を前提にした確率的な情報に基づく処理により、突発的事象や実世界の不確実性を許容することが可能になります。』

実世界と仮想世界の往復で未来予測する点、また、誤差や不確かさを前提とした情報処理による実世界の不確実性への対応」社会シミュレーションの進化を感じ、今後の展開に期待する次第です。

 

2.未来予測の活用先としてのイノベーション

未来を予測するのは、予測した未来に備えて今から対応を取るためですが、
その一つとしてオープンイノベーションなどのイノベーションについてもかなり関心が高まるとともに取り組みも進んで来ているかと思います。

 

● シンポジウム:グローバルな時代におけるイノベーション 2021年12月2日及び3日―オンライン開催

2021/10/28に世界知的所有権機関 (WIPO)日本事務所は表記のシンポジウム案内を公表しました。

『本シンポジウムでは、イノベーション・サイクルを通して知財管理を行うためのツールや戦略を紹介しつつ、国内外の有識者や関係者の皆様にもご参加をいただき、グローバルな競争力強化、オープン・イノベーション、SDGs等の視点から、ビジネス戦略や事業展開に資する知的財産の役割について、多くの事例も交え議論を行います。』

⇒中小企業やスタートアップ向けとのことですが、事業環境の変化が激しく、オープンイノベーションなどにより新規取引先も増えていく中で、自社の知財を守り、他社の知財を活用することは企業規模を問わず重要課題と考える次第です。

 

● 高難度DXを推進するArent、磐田市とJFEエンジニアリングによる「官民連携」産業モデルの創出プロジェクトに参画!

2021/10/21に株式会社Arentは表記のプレスリリースを公表しました。

『磐田市と当社への出資企業でもあるJFEエンジニアリング株式会社は、スタートアップ企業を支援し、「社会インフラ構造物の長寿命化」「スマートファクトリー」「未来予測を可能とする防災・減災」をテーマとした新たな産業創出を目指しています。

その第1弾である「未来予測を可能とする防災・減災」の具体検討案件として、「市民向け防災スマホアプリ」の開発及び実証を通した有効性の検証プロジェクトに、当社が参画し、システムの開発を進めています。』

⇒衛星画像やAI、市民参加などによる未来予測からの防災短期、中長期とも今後の街づくりや都市計画の主要課題の一つとなることものと感じた次第です。

 

● 大津市と、ICTを活用した情報発信のデジタル化推進のための連携協定を締結
安心して投票できる環境づくりを目指し、衆院選期日前投票所及び選挙当日全投票所へ「混雑ランプ」を提供

2021/10/15に株式会社ロコガイドは表記のプレスリリースを公表しました。

『今年行われる衆議院議員総選挙における期日前投票所及び選挙当日全投票所での導入が予定されています。
市のウェブサイトやロコガイドが運営するウェブサイトで各投票所のリアルタイムの混雑情報を確認できることで、有権者がより安心して投票できる環境づくりを目指します。』

⇒2019年のブログトピックス『AI・IoT活用のヒントとなる切口〉AI・IoT×混雑解消』で、株式会社バカンの空き情報の取扱技術と事業提携を活用した事業展開についてご紹介しましたが、「空き情報」を他の情報と組み合わせる事による顧客提供価値は適用性が広いことを改めて感じた次第です。

 

3.未来予測を自社ビジネスの課題設定に取り込む

上記のように、未来を予測する方法やその利用方法の事例は、自社の課題や事業計画を建てる上でも参考になるかと思います。

例えば、人材不足などが将来見込まれる場合に、その対応策の一つとして社外人材の活用が挙げられますが、
下記のようなマッチングプラットフォームなどを現在は使わなくとも、今後の選択肢として動向を見ておくことは、未来予測から自社の課題設定とその対応を考えることに繋がるかと考える次第です。

 

● 株式会社みらいワークスと業務提携契約を締結
副業マッチングプラットフォーム「Skill Shift (スキルシフト)」の販売を開始

2021/10/27に株式会社クレイプラスは表記のプレスリリースを公表しました。

『(株)みらいワークスが運営するサービスの一つである、都市部の副業プロフェッショナル人材と地域の中小企業のマッチングプラットフォーム「Skill Shift(スキルシフト」の同県における展開を、二社共同で目指します。』

⇒記事中の「同県」は、クレイプラス社の本社所在地である山梨県ですが、
専門家を中心に、今後、組織を超えた人材評価の標準化に繋がるのか、また可視化しにくい能力の評価方法など、このようなマッチングビジネスの展開に関心をひかれる次第です。

また、副業・フリーランス管理クラウド「Lansmart(ランスマート)」を提供する株式会社CloudBrainsも、2021/10/26に以下のプレスリリースを(PRTIMES_JPより)公表していますが、
複数の組織に属する方などの知見やスキルという人的資産をいかに活用するかは、リスク管理含めて今後の社内外人材の活用において重要な課題と感じる次第です。

『副業・フリーランス管理クラウド「Lansmart(ランスマート)」を提供するCloudBrains、プレシリーズAラウンドで総額8,000万円の資金調達を実施』

 

● 地方・中小企業とITベンダー・サービス事業者をリアルとオンライン双方で繋ぐ 「Local Business Satellite」(ローカルビジネスサテライト)を本格稼働。オンラインセミナー × 地方拠点からの対面サポート

2021/10/20にソウルドアウト株式会社は表記のプレスリリースを公表しました。

 

『地方の中小・ベンチャー企業とITベンダー・サービス事業者をWebメディアやセミナーで繋ぐ取り組みである、「Local Business Satellite」(ローカルビジネスサテライト)をテストトライアルしておりましたが、10月より本格始動しましたのでお知らせいたします。』

⇒今後は、新型コロナの状況を見て、オフライン開催の実施も判断するとのこと。複数の方法を組み合わせてツール選択を支援する必要性がDXでも高まっている事が窺われます。

 

上記の人手不足だけでなく、他の将来発生するであろう変化の把握と対策の立案・実施においても、未来予測のスキル(人材)獲得と仕組みづくりは今後の重要な課題であり、また自社の大切な知的資産となるものと思います。

 

先日の『DX支援ビジネスにおける自社と支援先の強み(知的資産)の明確化の重要性』では、DXの企業などへの導入を支援する側と支援を受ける側の相互理解を、経営デザインシートを使って進める方法についてお話しましたが、

 

未来予測の活用という点でも、
経営デザインシートの左中段の「これまでの外部環境」と下段左側の「これからの外部環境」を記載する前の準備段階として、
異分野や先行業界・企業などについて集めた情報から、未来予測の手法も使って整理することは、外部環境や自社動向に関する視野を広げるとともに、将来の選択肢の幅も広げつつ、社内外と共有していく上で有効なものと考える次第です。

 

なお、経営デザインシートの詳細については、『経営をデザインする』知的財産戦略本部サイト)をご参照いただければ、大変幸いに存じます。

また、未来予測手法の一つとして、
『「SF思考」ー物語で見せる未来予測』全3回 (第1回はこちら)でご紹介した、

『SF思考――ビジネスと自分の未来を考えるスキル Kindle版藤本 敦也 (著), 宮本 道人 (著), 関根 秀真 (著) 』も参考になるものと一読をお勧めする次第です。

単行本(ソフトカバー)はこちらです。https://amzn.to/3nQ8JHC

 

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