マイクロソフトのAI導入調査結果発表にみる自分の市場の選び方とブランディング

ブランド ターゲット

【今日のポイント】

マイクロソフトとアマゾン、あるいはグーグルとアップル。

それぞれメインの市場は異なりますが、自社の強みを活かせる市場を選んで、そこに刺さる一貫したブランド戦略を展開しているという点では共通するものがあるかと思います。

● AI によるイノベーションと生産性向上が 2021 年までに 2 倍以上に加速

2019/3/1 日本マイクロソフトは、IT専門調査会社のIDC Asia/Pacificと共同で行なったAIに関する調査「Future Ready Business: AI によるビジネスの可能性について」の結果を、表記のリリースで公表しました。

(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同様。)

『(調査の主なポイント)
日本において、AI の取り組みを開始した企業は 33% 程度
2021 年までに、ビジネスリーダーは、AI がイノベーション(革新的な製品やサービスの開発、提供)と従業員の生産性の向上を 2 倍以上に加速すると期待
AI 活用の成功の鍵は次の 3 点:従業員のスキル、インサイトを得るためのツール、組織文化

(中略)

調査対象のビジネスリーダーの約 4 分の 3 が、自社の競争力強化にとってAIが重要であると述べる一方で、AI に関する取り組みを開始した日本企業はわずか 33% に過ぎませんが、AI を採用した企業は、2021 年までに自社の競争力を 2.5 倍に向上できると期待しています。)』

と、生産性向上に対するAIの貢献への期待が高まっていると報じています。
同調査のレポートはこちらから。

ただ、レポートの内容を見ると、
取り組みを開始したとの回答33%の内、本格導入は9%、24%は検証開始という事なので、本当に導入に着手したばかりということかと思います。

また、アジアの他国も調査対象に入っていますが、

従業員生産性の現状とAI導入の効果への期待値を見ると、伸びこそ日本が2.3倍でアジア地域全体の 1.9 倍を上回っていますが、絶対値では日本はアジア地域全体の約半分と残念な結果が出ています。

AIへの期待は大きいものの、その目標の絶対値も、実際の導入行動の実績もアジアの他国と比べても低いとの事。

後発である事を踏まえた戦略が必要になりそうですね。

● 日本企業のAI活用、調査で約33%も実体は9%–マイクロソフトとIDC

このリリースについては、2019/3/4のZDNETでも上記の題で報じています。

『日本マイクロソフトは3月1日、日本を含むアジア地域でのデジタル変革(DX)の調査結果と、これに関連してオリンパスの“ICT-AI”プラットフォームとしてMicrosoft Azureが採用されたことを発表した。米Microsoft エグゼクティブバイスプレジデントのJean-Philippe Courtois氏は、「AI(人工知能)はビジネスの駆動力」と述べ、あらゆる業種でAIによる企業成長を目指す時代だと強調した。』

日本がアジア地域全体と比較して遅れていることも記載されていますが、私は以下の、米Microsoft エグゼクティブバイスプレジデントのJean-Philippe Courtois氏の発言が印象に残りました。

『なお、Courtois氏の発言で興味深いのが、「我々は仲介役であり競合存在ではない。当社は銀行や病院、流通企業を目指していない。

顧客が最高のデジタル銀行やリテール、製造業を目指す支援をする」というものだ。

説明後の質疑応答では「MicrosoftはAmazonと違うのか」との質問に、Courtois氏は苦笑しながら「そうだ。当社の売り上げの8割は法人。コミットメントには信頼が基盤にある」と回答した。』

アマゾンと比較されて、苦笑しながらも立ち位置の違いを強調したとのこと。
ビジネスの基盤、市場をどこに置くかの違いがうかがわれるかと思います。

● 自分の市場、戦場の選び方

グーグルとアップルの発表会に見るプラットフォームの広げ方と逆算思考
で、グーグルとアップル、それぞれの市場における軸足の違いとそれが技術開発の違いにもつながっていること、
そこから自社の軸をブラさずオープン・クローズ戦略の一貫性を確保することの重要性についてお話ししましたが、

今回のマイクロソフトのコメントから、同社が法人をメインの市場として、そこに顧客との信頼関係も含めた基盤を構築しようというメッセージが見て取れます。

「エアロネクストの知財戦略にみる一貫したブランド構築戦略の作り方のヒント」
でもお伝えしたように、自社の市場を選んで、その市場(顧客)おける自社の強み(提供価値)、その強みを伝えるブランドの一貫した戦略の構築は、規模の大小問わず大切ですね。

そのように戦略に一貫性をもたせる手段として、知的資産経営報告書のSWOT分析と価値創造ストーリーの活用もお勧めする次第です。

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