宅配ボックスのアンケート調査結果にみる自社商品の効果訴求時の比較対象の選び方

【今日のポイント】

宅配ボックスによる宅配ストレスの低減の実証実験結果のリリース。

当然、事業者の広告の意図も入っていますが、提供価値の訴求の際に何と比較するかという点で参考になるかと思います。

福岡市×ナスタ、宅配ボックス実証実験結果発表

2019/2/20 宅配ボックスを製造・販売するナスタ(東京都港区)は表記のリリースを公表しました。
(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同様。)

『株式会社ナスタ(本社:東京都港区、代表取締役社長:笹川順平 以下、ナスタ)は、福岡市が主催する「実証実験フルサポート事業」に参画し、福岡市在住の戸建住宅にお住いの方1000世帯を対象に宅配ボックス「スマポ」を提供、受け取り方の変化が宅配ストレスに与える影響とその効果を検証しました。

宅配ボックスを利用した再配達率の測定は、これまでいくつもの企業が行っておりましたが、ナスタでは業界として初めて「宅配ストレス」に着目し、宅配ボックスの設置前後で荷物の受け取りストレスの変化を測定。ストレスを数値化することで、消費者の本当の困りごとを可視化した調査の結果を報告します。

宅配ストレスを数値化する測定方法は、日本産業ストレス学会前理事長 夏目誠先生に監修いただき、宅配=ストレスという事実を実証しました。』

と、福岡市のプロジェクト内で、宅配ボックスの設置による宅配に関わるストレス(宅配ストレス)軽減の効果をアンケート調査で可視化を試みています。
その結果として、宅配ボックスの設置により宅配ストレスが減ったとの回答率が8割を超えたとその効果を謳っています。

宅配ストレスをほかの何のストレスと比較するか

本調査では、宅配に関するユーザーのストレスを、携帯電話に関わるストレスと比較しています。

携帯電話は誰でも持っていて、かつ普段から使っているのでので、そこから受けるストレスもイメージしやすく、訴求効果も高いことが予想されますね。

一方で、宅配便は、使うケースは携帯電話よりも限られているので、使う際のユーザーの意識は宅配に向けられていて、そのストレスは大きくなる可能性があります。

また、買い物という点では、コンビニなど店舗での買い物宅配の受け取りという点では、コンビニなどでの受け取りと比較するべきという意見もあるかと思いますが、

このリリースでは、その点について、ストレスという共通項で横串を通して携帯電話と比較することに妥当性を持たせていると感じました。

また、ストレス一般が心身に与える影響についても識者の意見を掲載して、宅配ボックスの効果に説得力を付与しており、自社製品の提供価値の訴求方法という意味でも参考になりました。

自社商品を比較する対象を提供価値から考える

今回の宅配ボックスが訴求しているユーザーへの提供価値はストレス軽減であり、利便性そのものではではないので、単に「便利ですよ」という点を挙げても、あるいは他のサービスの利便性と比較してもあまり効果はないですね。

ユーザーの使い方、使う場面TPOと、訴求したい価値から比較対象を選択することの重要性を改めて感じます。

その際には、ユーザーが日頃経験するなどイメージしやすい対象である事も必要です。
携帯電話はその好例であり、今回の記事に限らず、多くの場面で利用できる比較対象かと思います。

その他には、訴求したい提供価値(例えば、時間の節約、利用できる時間の自由度・範囲など)によってはコンビニとの比較や自宅内では電子レンジとの比較なども考えられます。

自社が訴求したい提供価値とユーザーがその価値を感じられる状況から、比較対象を選ぶことで、より訴求効果が高まるものと考える次第です。

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