資生堂のサブスクリプション型IoTスキンケアサービスにみる自社が活用すべき強みの押さえ方

kalachairinaによるPixabayからの画像

【今日のポイント】

ユーザーサイドにおいたIoTマシンとスマホアプリによるテーラーメイドのスキンケアサービスを資生堂が展開しています。

サブスクリプション型のこのサービス、既存のサービスとの競合において、自社の強みとその活用方法を考える参考なる事例かと思います。

 

● 資生堂のIoTスキンケアサービスブランド「Optune」7月1日(月)より本格展開

2019/7/1 資生堂は表記のリリースを公表しました。
(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同様。)

『資生堂は、マシンとアプリを使用してスキンケアのパーソナライゼーションを実現する「Optune(オプチューン)」の本格展開を、2019年7月1日(月)より開始します。

◆オプチューンは、80,000通りの抽出パターンで、一人ひとり、かつ日々変わる肌と肌環境に合わせてケアが変わるIoTパーソナライズスキンケアです。

◆スマートフォン(iPhone)にダウンロードした専用のアプリケーションソフト(以下アプリ)による肌測定データや温湿度などの環境データと、「睡眠データによる体内リズムの乱れ」などを独自のアルゴリズムで分析し、その時どきに合わせたスキンケアを専用のIoTマシンから提供します。

◆資生堂として初めて、サブスクリプション(定額制料金)のサービスを導入し、「月額10,000円(税抜)」でご利用いただけます。お申込みはブランドサイト内の申込専用ページで受け付けます。』

スキンケアだけでなく、3Dプリンターによるネイルケアなど、このスキームは応用が広がって行くるものと考えられます。

 

● ユーザーサイドでのオーダーメイド商品提供

有料会員制、サブスクリプションモデルとの組み合わせで新しいネットとリアルの融合型サービスを創造することは、アマゾンなどを始めとして、既に各業界で進められていますが、これを自社の事業展開に置き換えて見る場合に、

サービスや商品の商流、お金と情報の流れなどについて、「集中と分散」の組み合わせの視点から、AI・IoTや3Dプリンタの利用を考える事が、新しいビジネスモデルや事業スキームを考える上で有効な視点の1つとなってきます。

資生堂の今回のサービスについては、情報の面からは、ユーザーサイドにスキンケアの装置を置くことは分散側データを収集してパーソナライズされた情報やスキンケアを提供することは集中側と大きく分けられるかと思います。

物流や課金についてもこの集中と分散の視点からビジネススキームを見ていくと、新しい工夫が浮かぶことが期待できます。

● 自社が押さえるべき強み

前述のとおり、既にこの分野では色々な企業が取り組んでいます。

したがってアマゾンなどの先行企業との差別化が必須となることは避けられないかと思います。

その場合、自社事業が属するバリューチェン、顧客へのサービス提供フローのどこを自社が押さえるか、そのための自社は強みはなにかということが大変重要な要素となってきます。

資生堂の場合は、スキンケアに関するデータと知見、更にそれをリアル店舗と今回のようなネットで収集する仕組みが強みと考えられます。

当然、資生堂というブランドも、スキンケアの分野においては重要な強みですね。

3Dプリンターの場合ならば、プリンティングの材料について、独自の商流・物流を持つか、他者を使うかも、自社独自の強みから検討する必要があります。

 

そして、知的資産経営報告書のSWOT分析と価値創造ストーリー作成においても、集中と分散の視点から自社の押さえるボトルネックを明確にして戦略を描くことは、今後ますます重要になってくるものと考えています。

また、他社との連携において、技術開発、事業提携など各種契約の果たす役割も大きくなっていくものと予想する次第です。

 

 

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