コマツの取り組みにみる人手不足解消からのプラットフォーム構築方法

【今日のポイント】

コマツとドコモによる、既存の古い建機のICT化サービス。

人手不足解消のための自動化・省力化に合わせて、建機の寿命を延ばすという点では環境問題へのソリューションにもなり得るものと思います。

社会課題側から、AI・IoTのプラットフォームを構築する方法としても参考になります。

誤差数センチで位置情報を取得、コマツとドコモが古い建機のICT化サービス

2019/5/28の日経×TECHに表記の記事が掲載されていました。

同日に、コマツは以下の表題でこのサービスに関するリリースを公表しています。

『コマツ 建設現場のデジタルトランスフォーメーションを加速 NTTドコモのGNSS位置補正情報配信基盤を活用』

(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同様。)

モノ(建設機械の自動化・高度化)とコト(施工オペレーションの最適化)の高度化により施工のデジタルトランスフォーメーションを実現することで、深刻な労働力不足など、建設現場における社会課題の解決を目指しています。

具体的には、高度化されたICT建機が司令塔となりすでに市場にある従来型も含めたすべての建機がデジタル化されお互いが協調して稼働することで、安全と生産性が大幅に高められた現場の実現を目指します。

そのためには、高度化されたICT建機の市場導入に加え、既存の従来型建機に後付けでICT機能を付加する「スマートコンストラクション・レトロフィットキット(仮称)」の提供施工計画および3D設計データの自動生成機能、そして精度の高いGNSS位置補正情報が欠かせません。

今般、NTTドコモが提供するGNSS位置補正情報配信基盤を活用することにより、低価格で精度の高い位置補正情報を取得することが可能となり、コマツが描く「未来の現場」の実現を加速させます。』

今まで、GNSS(GPSなど衛星測位システムの総称)からの位置情報を、国土地理院により全国約1,300か所に設置された電子基準点からの補正情報でICT建機の位置情報を補正する方法に加えて、NTTドコモが独自固定局を設置し、電子基準点と合わせて低価格で制度の高い位置補正情報の取得を可能にするというものです。

<独自固定局によるGNSS位置補正情報配信(イメージ)>の画像はこちら

また、コマツのプラットフォームは、高度なICTを備えた建機を司令塔にして、既存の建設機械に後付けでICT装置を取り付ける事で、建設現場のすべての建機をデジタル化し、互いに連携する事を可能にしています。

<高度化されたICT建機と全ての建機が協調し、デジタルトランスフォーメーションした現場(イメージ)>の画像はこちら。

このようなデジタルトランスフォーメーションによって、高度な自動化や生産性向上を通じて、労働力不足等の課題解決を図っています。

社会課題解決側からのプラットフォームやエコシステムの構築

コマツのプラットフォームは、生産性向上だけでなく、既存の建設機械の性能を高度化する事で、建機の寿命も延びることが期待できます。

以下の記事にも見るように、アナログメーターの自動読取など、既存の設備、資産の価値向上と寿命延長は、環境負荷低減にも繋がりますね。

これは、AIIoTの重要な提供価値と思います。

『トラックやバスをITで保守日野自動車の取り組み』
2019/5/29 ZDNET Japanの記事。
予防保全による安全性の向上や高稼働率を目指すシステムとのこと。
こちらも環境問題対応につながるかと思います。

このように、市場に存在する既存の製品、インフラをAIICTで高性能化する事は、環境対策などの社会課題を解決する側からのプラットフォーム構築と捉えることも可能ですね。

プラスチックゴミ問題における3Dプリンターを活用した製造・流通プラットフォームの構築もそのような取り組みの1つかと思います。

社会課題解決というビジョン、目的にAIICTIoTを活用したプラットフォーム構築が多くの業界で進んでいくものと予想する次第です。

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