水産加工業のカイゼンに見る企業OB・OGという知的資産の活用

【今日のポイント】

農水産業においても、新規市場の開拓や生産性向上などは喫緊の課題ですが、そこに製造業など先行している業界の知見を導入する際に、先行業界の企業OBOGを活用することは、今後さらに広がってくることが予想されます。

このような社外の知見を取り入れる仕組みづくり、社外人材活用を支援するサービスの確保において、知的資産経営の人的資産、構造資産、関係資産それぞれの構築・強化策は役に立つものと考える次第です。

水産加工業も「カイゼン」導入へ みやぎ産業振興機構が無駄を省く事例集発

2019/5/28の河北新報に表記の記事が掲載されていました。

(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同様。)

『機構は2016年4月、水産加工業ビジネス支援室を新設し、生産性向上に本格的に乗り出した。大手メーカー経験者らを各社に派遣し、最長3年にわたり伴走型のカイゼン導入支援を展開。』

『豊岡でのトヨタ式「カイゼン」による農業の生産性向上 にみる知恵の流れとフィードバックの重要性』

でもご紹介したように、農水産業やサービス産業に、生産性向上で先行している製造業など他産業の管理手法などを導入することは、今までにも行われている事ですが、事例集などによって、業界全体の底上げにつなげていく地道な努力も大切ですね。

以下の事例集もその1つかと思います。

『近畿経済産業局がFRONTIERS2017 新しいITでモノ・仕事・社会システムが変わる! ~を公表』

 

先行企業の知見導入

以前本ブログのトピックス
『新規ビジネスのヒントを探る方法>「落差」のある所にチャンスあり』
や、
AIによる人材採用記事にみる知見と知恵の流れ』
などでご紹介してきたように、

製造業のように品質管理や生産性向上で進んでいる業界、物流の効率化が進んでいる流通業、マーケティング面で多様な取り組みを行なっているECなど、他産業や自社よりも業界内で進んでいる企業の手法を取り入れていくことは、生産性向上の有効な手法です。

また、上記の事例集のように、農水産業でもAIICTIoTの活用が始まっていますが、このような取り組みも、他社事例などを参考にしつつ進めることが効率的ですね。

 

先行企業・業界の「企業OB・OG」という人的資産の有効活用

今回の記事では、大手メーカー経験者という知的資産経営における「人的資産」を有効活用して、先行企業・業界の知見導入を図っています。

『定年退職した元大学等研究者の活用にみる高齢化社会での高度人材活用』でも、大学を定年退職された研究者の有効活用例をご紹介しましたが、

他社・他業界の経験者という「人的資産」を活用する選択肢は、今回の水産業の事例のように、人材マッチングなどの支援サービス含めて今後も充実してくることが予想されます。

社外の人的資産の知見を自社に取り入れて共有し、更に自社事業に活用することを組織的に行える仕組み(研修、訓練、チェック機能など)を作れば、それは知的資産経営の「構造資産」となりますし、前述の支援サービスの確保は「関係資産」となってきます。

このように、外部の知見を自社に取り入れる際にも、知的資産経営の視点や不法、特に「自社に必要な人材、スキル、知見は何か」を具体的に考えるための自社の知的資産の棚卸しと価値創造ストーリーから考える今後の事業の姿との突き合わせは、有効な方法と考える次第です。

 

本ブログの関連トピックス

『定年退職した元大学等研究者の活用にみる高齢化社会での高度人材活用』
少子高齢化や人材不足の中で、定年退職者の活用が求められていますが、元大学の先生という高度人材の活用は、人材の持つポテンシャルの高さに加えて、その方の業績や能力などが論文、特許、所属していた大学などの公開情報から探ることができるという点もメリットがあるかと思います。

 

『空き家対策補助事業とAI・IoTによる営農ビジネスから考える地域創生』
農業や漁業など、既にそこにある産業にAI・IoTを使って新しいビジネスを産み出すことと、空き家対策のような住環境の整備とを組み合わせる視点は、今後重要性を増すものと予想できます。

 

『日本卸売市場のAIによる漁獲予測の成果の鍵を握るものは?』
スマートアグリ、あるいはスマートアグリカルチャーは、既に多くの試みがなされていますが、水産業の世界でも、AIIoTの活用が本格化してくることを窺わせる事例。

今までよりも素早く、精度の高い予測が得られるようになったときに、それを利用して事業の方も素早く対応できる体制を作ることが、ビッグデータやAIの実事業での活用には重要になってきます。

 

『データ駆動型従業員管理にみる、生産⇒顧客⇒従業員へのマネジメントツールの流れ』

データ駆動型、AI・IoTといった共通の切り口で眺めてみて、他の分野で先行している方法を見つけて自社に取り入れていくことは、自社事業の変革のスピードを上げるうえで有効な方法の一つかと思います。

こういった視点や情報を得る方法としては、共通する切り口をキーワードにして、ネットなどから他分野や他業界、例えばサービス業の方が製造業の手法について情報を得るという方法に加えて、業界横断的にマネジメントシステム等のサービスを提供している企業やコンサルタント等を活用することも選択肢の一つになるかと考える次第です。

AIIoTによる農作物の種子の多様性維持への期待と地元企業のビジネスチャンスの見つけ方』

種子法の廃止を受けて、自治体レベルで種子の品種の多様性確保や各地固有の農産物の維持を図る動きが進められています。

ここに、ICTやAI・IoTを適用して生産性向上を図ることは既に始まっていますが、さらに地域全体を活性化するエコシステムの構築に繋げる動きも今後加速されるのではないか、そこに地元中小企業のビジネスチャンスも見つけられるものと考える次第です。

 

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