兵庫県の健康寿命延伸サービスの実証実験にみるAI・ICTによるフィードバックの進展とデータの利活用

【今日のポイント】

兵庫県加古川市の見守りサービスデータを活用した健康寿命延伸サービスの実証実験。

AI・ICTなどの新技術によるフィードバックの進展と、そこで得られるデータの他分野での利活用が、多くの分野で進んで行ることを窺わせる事例かと思います。

『見守りサービスにおける健康寿命延伸サービスの実証実験の開始について~加古川スマートシティプロジェクト「見守りサービス」の更なる発展に向けて~』

2019/8/5 兵庫県加古川市は、AI綜合警備保障株式会社、西日本電信電話株式会社、ジョージ・アンド・ショーン株式会社と共同で、表記の実証実験を開始するとのリリースを公表しました。
(引用は『』でくくります。 太字と改行は筆者挿入、以下同様)

『1.実証実験の背景と目的

加古川市と ALSOK は、これまで官民連携の ICT を活用した「見守りサービス」等を通じて、都市の安全・安心を実現するスマートシティプロジェクトを推進して参りました。

また、現在日本は超高齢化の社会課題に直面しており、加齢に伴い発症率が増加する認知症患者数は、2025 年には約 700 万人に達し、65歳以上の約 5 人に 1人が認知症になるとされています。

今後増加する認知症患者や患者家族への支援、早期発見のための体制整備など、認知症患者を受け入れる環境の構築が急務となっています(※2)

※2内閣府「平成 29 年度高齢社会白書」

その認知症課題の解決に向けて、NTT西日本とジョージ・アンド・ショーンは、ICT を活用し、認知症の前段階である軽度認知障害(MCI  ※3)の検知エンジンを開発し、日本で増加し続けている認知症患者数の増加を抑制する取り組みを続けてきました。

※3 Mild Cognitive Impairment の略。健常な状態と認知症の中間にあたる。認知機能の低下が見られるものの日常生活に支障をきたさない範囲にとどまるため、周囲に異変を気づかれにくい。

そこで4者は、MCI検知エンジンに見守りサービスで蓄積してきた位置情報等のデータベースを活用させることで、健康寿命の延伸および社会保険費削減につながる新たなサービスの開発に向けた実証実験を開始いたします。

2.実施概要

見守りサービスで得られるデータをヘルスケア等の他分野へ応用し、健康寿命の延伸および、社会保障費削減に寄与するサービス開発のために実証実験を行います。』

ICT見守りサービスで得たデータをで有効活用する試み。
ここにも新技術によるフィードバックの発達とその活用が進んでいることが窺われます。

「フィードバック」の重要性

『教育サービス実証事業への校舎提供にみる、課題と検証のフィードバックを得る「場」という資産・資源』でもお伝えしているように、技術やビジネスの課題設定・対策と検証をコミュニティとして行える場の重要性は高まっており、それを提供するビジネスも今後伸びてくるものと思われます。

また、『組織改善クラウドサービス「モチベションクラウド」にみる可視化とフィードバックの徹底の重要性』などでご紹介した事例にもみるように、AI・IoTの普及影響の本質の一つは、「フィードバックの進化」にあり、これらの技術を自社の取り組みのフィードバックに活用できるか否かは、今後の企業経営において大きな影響を持ってくると予想しています。

ビッグデータの利活用

『翻訳センターとLINEの事業展開にみる自社データによるプラットフォーム構築』でご紹介した、自社のコアの強みを軸に、事業提携を活用して市場開拓とともに自社の優位性を固めるポジショニングの事例や、

『大同生命の安否確認システム無料開放にみある社会貢献とビッグデータ活用の両立』
でご紹介した、自社のリソース提供による社会貢献とともに、顧客の獲得・維持、そして提供したサービスから得られるデータの自社活用まで見据えた戦略による、社会貢献とデータ活用の両立など、
ある事業で得たデータを、必要に応じて他社とも連携して利用することによる事業分野の拡大や新規市場への進出は、今後さらに有望な成長戦略の一つになってくるかと思います。

その際には、個人情報の取扱など、注意すべき点も多いため、専門家の力も借りながら、データ取得時から他分野での利活用も考えた事業戦略を立てることが必要になってきていると考える次第です。

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