EUの著作権法改正にみるコスト低減・ネットワーク効果への法規制の影響>自社ビジネスの外部影響を考えるヒント

【今日のポイント】

EUの著作権法改正による、インターネット・ミームへの規制強化。

お金の流れをあぶり出すという意図が背景にあるようにも感じられる動きですが、自社の収益構造が外部に知られるという点や、ユーザーやデータの増加により収益率が向上するネットワーク効果への影響という点でも、コンテンツやデータに関する法規制は広い分野に影響を与えるものと考える次第です。

 

● ミーム、新しい著作権法で禁止の可能性

2018/4/9の1日5分ビジネス英語に表記の記事が掲載されていました。

EUが著作権法の改正により、ミーム(インターネット・ミーム:『インターネットを通じて人から人へと、通常は模倣として拡がっていく行動・コンセプト・メディア』 by ウィキペディア)について、多くのコンテンツを持つプラットフォームは、アップロードされたコンテンツを監視して、著作権法上問題ないかを管理する必要が出て来るというものです。

私自身は、ミームを普段見たり、アップロードしたことはありませんが、今回拝見した限りでは、パロディのようなコンテンツですね。

著作権者への利益配分の適正化を謳ってはいますが、おそらくお金の流れを明確にして、確実に税金を取りたいという行政の意図が背景にあるものと思います。

 

● 新技術によるビジネスモデルのネットワーク効果と法規制の衝突ケースの拡大

今回の記事からは、「新技術によるビジネスモデルのネットワーク効果と法規制の衝突ケースの拡大」が進むことを予想することもできるかと思います。

ユーザーとコンテツ数の増加で費用対効果が高まる、プラットフォーム等のビジネスモデルに対して、著作権法強化によりデータ・コンテンツの管理負荷が増大することで、ネットワーク効果などには負の影響が及ぶことが想定されます。

したがって、個別データに及ぶ管理規制が進むことで、現在のITのみならず、AI,IoTなどによるビジネスのネットワーク効果にも影響が及ぶ可能性を感じた次第です。

なお、新技術や新規サービスのビジネスモデルへの行政の介入例としては、GAFAや楽天などのプラットフォーマーへの規制強化が、日本でも公正取引委員会をメインに進められていることは、多くの報道で目にするところです。

また、ブロックチェーンについて、経済産業省が2019/4/5に「ブロックチェーン技術を活用したコンテンツサービスに関する報告書」を公表しています。

音楽のn次創作(※あるコンテンツを元に別の新たなコンテンツを創作すること)を発信・視聴するプラットフォームとして、原コンテンツとn次コンテンツの制作者の権利関係の記録や利用者からの支払対価の分配を行うサービス・アプリケーションを題材に議論し、議論を通じて、そのサービス・アプリケーションに必要となる基礎的な機能のほか、ブロックチェーンに関する技術的な要件定義を取りまとめたものとのことです。

これも、新規技術によるビジネスの利益分配や課税という面からの検討の一部かと感じるところです。

 

● 利益、費用対効果を上げる方法に影響を与える因子を考える

自社事業の利益率向上策にどんな要素・因子が影響を与えるのかを考えることは重要ですね。

よく、GAFAの収益構造が不透明なため、課税上問題視されているとの記事を目にしますが、
自社の収益構造が外から見えないということは、自社の強みを模倣されにくいということにも繋がりますので、競争戦略上は有利に働きますね。

そのような、自社の競争力(収益構造などビジネスモデルの秘匿)という点からも、今回のような、課税や消費者・権利者保護といった目的からの法規制は、かなり広い分野で考慮すべき要素かと思います。

知財を対象とした政策ということでは、以前のプロパテント政策との比較で、今回の動きの展開を予測のヒントになる可能性もあるかとおもいます。

なお、今後の技術の進展によりコンテンツビジネスと規制の対象も 文字→画像→動画→そして視覚・聴覚以外の五感にうったえるコンテンツに広がっていくのではと考える次第です。

御社では、どのような法規制が自社事業の将来に影響を及ぼすとお考えでしょうか?

 

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