IPランドスケープ等の特許情報から他社の戦略を読むポイント

【今日のポイント】

昔から言われている、事業戦略・技術戦略・知財戦略の三位一体

逆に公開情報である特許情報や、最近のサービス化に伴い商標出願の情報などから、他社の中長期の戦略を推測することも可能になってきます。

特許情報は、個別企業、業界全体などについて、時系列的に追えるデータですので、工夫次第でその活用方法も広がってくると考える次第です。

 

● 特許には企業の戦略的な意思決定が含まれている

2019/4/8の日経×TECHに表記の記事が掲載されていました。

(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同様。)

『 「IPランドスケープ」という言葉が聞かれるようになった。一体、どういう意味なのであろうか。

多くの言葉の略語となっている「IP」だが、この場合はIntellectual Property、すなわち、知的財産を意味する。

「ランドスケープ」とは、本来「景色・景観・風景」というような意味であり、「IP」と組み合わせた場合の意味は少々イメージしづらくなるが、「IPランドスケープ」とは、要は特許情報を駆使したビジネス分析のことをいう。』

特許を出願するということは技術開発を行っている事であり、そこからその企業の技術戦略が見えてくると説いています。

特許に限らず、お金を出す=投資するには何らかの意図がある訳ですので、投資先、お金の使い方から相手の意図を推測する手段の参考にもなるかと思います。

今までにも、特許情報を始めとする知的財産の情報の活用については、

「特許情報活用にみる技術と市場の双方からの俯瞰」で、特許情報など、技術力をある程度客観的に評価する指標における主要なプレーヤーと、実際の市場における主要なプレーヤーを比較することは、その技術が市場獲得に役立っているのか、あるいは表に出てこないバックヤードにおけるレイヤーマスターのような影響力を及ぼしているのかなど、その業界のプレーヤーの動向、ポジションを把握し、自社のポジショニングなどを考える上で良い示唆を与えてくれることをお話し、

また、
「ライバルを見つけるのに特許情報をどう役立てるか?」で、自社の市場への参入者や、逆に自社が異業種の市場に出ていく際の既存のプレーヤーなどのライバル・競合相手を見つけるの活用方法についてお伝えし、

「「特許マーケティング」にみる「属性評価と鳥瞰図」の重要性」で、属性評価と鳥瞰図の把握、鳥瞰図の時系列変化の把握への特許情報の活用、

「サムスンの商標出願に考えるモノ売りからコト売り時代の他社の動向把握方法」では、サービス化や「モノ売りからコト売りへ」の流れの中で、サービスなどの名称の重要性は増大しており他者の商標出願からも、相手の商品・サービスの開発戦略を推測できる可能性があることをお伝えしてきました。

特許情報は定量分析にも定性的な分析にも使えますが、もちろん他社の特許を買ってきたり、ライセンスを受けたりという手段もありますし、特許出願せずにノウハウとして秘匿する手段もあるので、他の情報と組み合わせて利用することが重要かと思う次第です。

 

● 事業戦略と技術戦略や知財戦略の整合性を見る

上記のように、いろいろな使い方ができる特許情報ですが、世の中の企業が必ずしも、事業戦略、技術開発戦略、知的財産戦略の連携を徹底しているとは限りませんね。

したがって、公開されているIR資料などと突き合わせることで、自社はもちろんのこと、他社が、事業戦略から逆算して技術開発戦略を立てて、技術開発や特許出願を行えているかを評価することも可能になってくるかと思います。

また、技術開発と実用化・事業化の間にはタイムラグがありますので、他社が「将来の選択肢の拡大」と「選択と集中」の間でどのようにバランスをとっているかの検証や推測にも使える可能性があるものと考える次第です。

 

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