NECの働き方見える化サービスにみる「生産性向上に向けた見える化」の前後に来るもの

【今日のポイント】

パソコンの稼働状況、ウェアラブルデバイス、監視カメラ映像など様々な手段で、事業における作業状況の可視化・見える化の手段が整って来ています。

その「見える化」を活用するためには、見える化を行う前の、課題の仮説の設定と、見える化で得た情報による仮説の検証と課題の構築、その後の継続的な仮説と検証の繰り返しが必要と考える次第です。

 

● NEC、企業の業務効率化に貢献する「働き方見える化サービス」を強化~データ収集・集計機能を強化し、企業の働き方改革を支援~

2019/3/28に日本電気株式会社(NEC)は表記のプレスリリース記事を公表しました。

(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同様。)

『NECは、企業の”働き方改革”に向けて、業務の現状把握や改善策を策定するために、その業務や工数を可視化できる「働き方見える化サービス」を強化し、本日より販売活動を開始します。

今回の強化では、利用者の負荷を軽減する操作の簡易化や、各種Webサービスの使用履歴毎にデータ収集が可能になるなど、利便性向上およびより詳細に作業内容の把握ができるようになりました。

これにより、営業部門やシステム部門では作業負荷状況の把握、事務処理部門では繁忙期や業務毎の負荷状況の確認など、従来、ヒアリングや経験に頼っていた領域においても、データによる”働き方見える化”環境を提供します。』

業務の開始時間、終了時間などの入力を不要とし、利用者のパソコンの稼働状況から、業務状況を可視化する機能を搭載したとのこと。

リリース記事の活用シーンの図 を見ると、 業務の棚卸し、部門/組織ごとの負荷状況の可視化、KPIごとの活動の可視化への適用を想定しています。

 

日立製作所も、2019/3/20に、スーツ型のウェアラブルデバイスで作業者の負荷定量評価し、作業動作の改善点を提示するAIの開発をリリースしています。

「作業者の身体負荷をスーツ型のウェアラブルデバイスにより定量評価し、作業動作の改善点を提示するAIを開発」
働き方改革に向けて、AI・IoTなどの活用が進んでいることが窺われます。

 

● 現状把握のための可視化、見える化

NECのリリース記事では、見える化の目的として、

『企業では、2019年4月の働き方改革関連法案施行に伴い、労働時間管理、残業時間削減の責任が厳格化され、時間外労働時間の上限や労働時間の管理方法などを明確化する必要があります。

また、企業において適正な労働時間を実現するためには、管理するだけではなく、問題のある働き方を変えていくために、まず、現状の課題を把握し、必要な改革や方向性を導き出すことが求められます。

NECは、「働き方見える化サービス」で業務・勤務内容を可視化しながら、課題抽出・改善策の策定を支援し、企業の業務効率化・生産性向上に貢献します』

と、働き方改革による法規制への対応のために、まず現状を把握することが、課題の抽出を行うことで、生産性の向上などの対策の方針を打ち出すために必要であり、そのための業務可視化サービスと謳っています。

 

● 見える化の前に必要なもの

上記のような、現状把握においては、まず、なんのために現状を把握したいのか、現状分析から何を把握するかという、最初の課題設定が重要となってきます。

また、生産性向上の場合には、個別の作業を捉えて分析するだけでなく、業務やバリューチェーン全体を見ることが必要となりますね。

以前に本ブログのトピックス
「三菱電機の動作分析支援AIにみる分析と比較のユキピタス化の活用方法」
で、三菱電機の動作分析支援AIシステムを紹介し、

「“工場丸ごと”のIoTソリューション、村田機械が提案にみる「効果の掛け算」」
で、事業所や工場単位での業務の各プロセスとその連関を見ながら対応することや、

「宅配事業とEC事業の連携にみる可視化の有効性とバリューチェーン全体での対応の重要性」
では、必要に応じて関係する他社とも連携してバリューチェーン全体で取り組むことの重要性についてお話しましたが、

可視化、見える化のツールが揃いつつある現在、

まず、全体の流れを見つつ、課題を設定し、仮説を立てること、

仮説を立てて、その検証に見える化を使うということが必要になるかと思います。

また、課題の共有と改善策の実施において周りの理解と協力を得るためにも見える化は活用できますね。

そして、今回のNECの活用シーンにも記載されていましたが、

「豊岡でのトヨタ式「カイゼン」による農業の生産性向上 にみる知恵の流れとフィードバックの重要性」
でもお伝えしましたように、

インプット⇒アウトプット⇒フィードバックによる業務プロセス改革と生産性向上のサイクルを回し続けるためには、一度切りの業務の見える化ではなく、

KPIの設定や進捗管理のような継続的なモニタリングに見える化の手段を使うことにより、打ち手の有効性確認や仮説の検証を繰り返すこともまた必要と考える次第です。

 

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