トヨタとパナソニックの充電池提携にみる、社会と自社のライフサイクル予測と選択肢の多様化の価値
【今日のポイント】
トヨタ自動車とパナソニックの車載用充電池の事業提携。そこには、自社製品のライフサイクルと社会の変化への対応が窺えます。
上記の変化を予測し、選択肢を多様化することの価値はますます高まっており、選択肢の増やし方と選び方自体が貴重な経営資源(知的資産)であると考える次第です。
●LEXUS、初のEV市販モデル「UX300e」を発売-電動化ビジョン「Lexus Electrified」第1弾となるEVクロスオーバー-
2020/10/22にトヨタ自動車は表記のプレスリリースを公表しました。
(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同様。)
『2020年度限定販売135台分の商談申込み受付を開始
LEXUSのEVならではの上質な走りと静粛性の追求
ハイブリッドで培った電動化技術の高い信頼性と利便性
UX譲りの個性的なデザインや高い機能性』
⇒EVの特性を活かすために、ハイブリッドで蓄積した技術を活用している点に、ブランドや技術などの知的資産を始めとする既存のリソースの重要性が窺えるかと思います。
また、EVに搭載するバッテーリーについては、以下の記事のように、パナソニックと合弁会社を設立し、同社の技術も活用しています。
『プライム プラネット エナジー&ソリューションズ、車載用リチウムイオン電池の 国内生産体制を強化』
2020/10/6の上記合弁会社であるプライム プラネット エナジー&ソリューションズ株式会社のプレスリリース。
2020/10/28の同社に関する日本経済新聞の記事。
⇒生産性を10倍に引き上げるとのこと。
バリューチェーン全体での生産性の今後の改善も要注目と感じます。
●社会と顧客のTPOやニーズと自業界双方のライフサイクルとその変化の複数の予測と選択肢確保の価値が高まる
今回のトヨタの事例からは、
「社会と顧客のTPOやニーズと自業界双方のライフサイクルとその変化の複数の予測と選択肢確保の価値が高まる」事が予想できるかと思います。
この提携に関する以下のトヨタの記事の動画中で、中古車市場の重要性と車載用充電池の寿命の関係について語られていましたが、
自社商品のライフサイクルと、社会や顧客のライフサイクルの双方を予測する上で、複数の可能性を考え、選択肢を用意しておく事と、その選択肢を選ぶタイミングの重要性が、高まっていると改めて感じさせられました。
・ノーベル化学賞・吉野彰×豊田章男 ~未来をつかむ思考~ 後編
2020/4/30のトヨタイムズの特集。
一方でVUCAの時代には、一旦選んだ選択肢から必要ならば他の選択肢に乗り換える機敏さや柔軟性も要求されている事を、最近のトヨタ自動車の水素利用の記事も含めて感じた次第です。
・水素社会の実現を推進する新たな団体「水素バリューチェーン推進協議会」の設立に向けて
2020/10/14のトヨタ自動車他のプレスリリース。
・水素をエネルギー源としたハイブリッド車両(燃料電池)試験車両の開発-鉄道技術と自動車技術を融合して試験車両を開発します-
2020/10/6の東日本旅客鉄道株式会社、株式会社日立製作所、トヨタ自動車株式会社のプレスリリース。
● 選択肢の増やし方
それでは、選択肢をいかに増やすかという点については、以下の記事にみる様に、自社事業に必要なインフラを既に持っている企業との提携や、「捨てる事」も選択肢に入れておく事が重要となってきます。
・ドコモとダイドードリンコが『自動販売機の基盤を活かした 5G 基地局』によるサービスエリア提供を 2020 年内に開始
2020/11/5の株式会社NTTドコモ関西支社とダイドードリンコ株式会社のプレスリリース。
『ダイドーの自動販売機の上部に 5G アンテナ(sub6:3.7GHz 帯)を設置し、5G 携帯電話向けのサービスエリア拡充を 2020 年内にサービス開始します。
自動販売機の基盤を活かした「自動販売機の 5G 基地局化」によるサービスエリアの提供は、日本初※1 となります。 』
⇒電源が既にあるという点や分布具合など、自社事業と共通点のあるインフラを異業種から探す事は、今後も有効な手段である事が窺えます。
・「ハンコ不要論」で一番気になる企業、シヤチハタに明日はあるのか?
2020/12/8の日経ビジネスのシヤチハタ 舟橋正剛社長へのインタビュー記事。
⇒個別の事業ではなく企業全体としての継続の心構えとヒントを感じた次第です。
・創業予定者の商品・サービスを仮説検証する「無料体験会」を初開催
2020/12/6の公益財団法人東京都中小企業振興公社のプレスリリース(PRTIMES_JPより)。
⇒選択肢を実際に試して見るためには、クラウドファンディングなどのオンラインに加えて今回のようなリアルのテストマーケティングも工夫しつつ実施が必要な事が窺えます。
上記の様に、選択肢を増やす方法は色々とありますが、
有用な選択肢を見つけ出すには、先ずは自社の経営理念やビジョンから逆算(バックキャスト)して自社事業をみる視点と、事業に必要な知的資産などの経営資源の把握と確保の視点の双方からの自社事業の見直しを繰り返す事が必要であり、そのツールとして、経営デザインシートの活用もお勧めする次第です。
経営デザインシートの詳細については、
『経営をデザインする』(知的財産戦略本部サイト)をご参照いただければ、大変幸いに存じます。
★ 以下のランキングに参加しております。ぜひ、クリックよろしくお願い申し上げます(^^)。