サムスンの商標出願に考えるモノ売りからコト売り時代の他社の動向把握方法

【今日のポイント】

サービス化や「モノ売りからコト売りへ」の流れの中で、サービスなどの名称の重要性は増しています。

いち早く良い名前を商標出願などで確保することで他者に先に取られたり、他者の権利を侵害するリスクを回避するとともに、特許出願と同様に他者の商標出願からも、相手の商品・サービスの開発戦略を推測できるものと活用をお勧めする次第です。

 

【目次】

1.サムスン(Samsung)が独自ブロックチェーンスマートフォン開発か 

2.商標からの技術動向予測

3.サービスと名称をセットで考える

4.関連する本ブログのトピックス

 

1.サムスン(Samsung)が独自ブロックチェーンスマートフォン開発か 

2019/1/13のCoin Coiceに表記の記事が掲載されていました。

(引用は『』でくくります。 太字と改行は筆者挿入、以下同様)

サムソンのスマートフォンについて、同社のスマホ機能に対する商標出願から、ブロックチェーン技術を使ったスマートフォンを開発しているのではという予測を採り上げたものです。

『サムスン(Samsung)がHTC、Sirin Labs(シリン・ラボズ)に次いでブロックチェーンスマートフォンを開発中かもしれません。

サムスンは2018年12月11日までに、ブロックチェーンベースのスマホ機能に対する「Blockchain KeyStore」「Blockchain key box」「Blockchain Core」の3つの商標権を欧州連合知的財産庁(EUIPO)に申請しました。これが将来のスマホ向けウォレットにつながるとの推測の呼び水になっているようです。』

サムスンが出願した3件の商標申請書には、「スマートフォン;モバイル機器で利用するソフトウェアアプリケーション;コンピューターソフトウェアプラットフォーム;アプリケーションソフトウェア」に提供されると記載されていたとのことなので、ブロックチェーンを利用したスマートフォン決済システム、認証技術やサービスなどブロックチェーン技術の転用先として、その動向が注目されます。

 

2.商標からの技術動向予測

以前から、アップルやアマゾンの折りたたみ式スマホ、ドローンでの配達などの特許情報が、新製品や今後のサービスなどの事業予測の面から注目され、ニュースにもなっています。

このブログでも何回か上記の企業の特許を採り上げていますが、

今回のように商標=サービスや商品の名称から今後の展開を予測し得るということは、サービス化などモノ売りからコト売りへの流れの一端を表していると感じます。

商標出願情報からの企業の開発動向の予測としても興味を惹かれました。

 

 

3.サービスと名称をセットで考える

企業が提供する商品のサービス化が進む中で、名称とサービス内容をセットで考え、必要に応じて商標出願すると共に、自社の商品戦略が外に出るという面にも注意して、必要に応じて特許出願も事前に行う必要性があります。

また、良い名称というのは、得てして誰でも使いたいし、また思いつきやすいものなので、他社に先駆けて最初に取ることが今後の競争優位に与える影響も大きいので、是非、名称を考えたときには、上記の特許出願などの手当をしつつ、早めに商標出願による権利の確保を考えることが重要です。

また、商標は全く同じものでなくとも、同じ商品やサービスのカテゴリの中で、似た商標を誰かが既にとっていると使えない場合があります

商標出願をすることは、今までに他者が自社の事業分野で似た商標を出していないかのチェックの機会にもなりますので、他者の権利を踏んでしまうリスクを回避するうえでも、商標出願を活用してはいかがかと考える次第です。

 

4.関連する本ブログのトピックス

「アップルのiPoneをランニングライト化する特許にみるリスク防止策とは?」
自社製品をユーザーが使っているシーンからユーザーと自社にとってのリスクとチャンスを考え、特許技術として権利を押さえる取り組みの事例を紹介しています。

 

「アップルのスマホへの自動車シートの設定保存にみるシェアリングエコノミーへの備え」
自分や利用するアイテムに関する個人設定をスマートフォンに保存することで、持ち運びが可能となり、複数の同種のアイテムで簡易にカスタマイズが可能になります。

スマートフォンなどのインターフェースを通じて得られるデータにはどんなものがあるか、それらを組み合わせることでどのようなサービスが可能になるかという視点は、これからの商品・サービス開発に欠かせないものと考える次第です。

 

「先んずれば「名前」を制す」
商品・サービスや研究会などの組織の名称は、早いもの勝ちの世界ですね。

ネットマーケティング(SEO対策)の点でも、先程述べたように固有名詞、それも一般名称に近い名前を使えれば、かなり有利になります。

逆にリスクマネジメントの視点からは、せっかく考えたタイトルが既に使われていないかということを、他者の商標などで確認することが重要です。

 

「シャープのAIと、IoTを組み合わせた自動調理鍋リリースにみる「名付け」のタイミング」

AIもIoTも既に2015年には注目されていた分野。この時点でいち早く自社の商品・サービスに結びつけて、名称まで考え、権利化したことは競争力や市場への訴求力の面で大変有利に立つ手段となりえます。

ブランドやサービスの名称などは大変重要な「知的資産」であり、知的資産経営を意識することで、時流の半歩先を見ながらいち早く名称などまで押さえる事が必要となります。

 

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