「データ利活用促進に向けた企業における管理・契約等の実態調査」にみるデータと知的資産の関係とは?
「データ利活用促進に向けた企業における管理・契約等の実態調査」結果
第11回産業構造審議会の知的財産分科会 営業秘密の保護・活用に関する小委員会で、
「データ利活用促進に向けた企業における管理・契約等の実態調査」調査結果が提示されました。
http://www.meti.go.jp/committee/sankoushin/chitekizaisan/eigyohimitsu/011_haifu.html
以下は、リリースからの引用です。(改行は著者挿入)
「
1. 背景
企業が他社とデータをやり取りする際には、データの取扱について契約を締結することが一般的であり、当該契約は企業のビジネス戦略において、その重要性はますます高まっています。
経済産業省では、データ利活用に関する制度の検討を行うために、
企業におけるデータの管理・契約の実態について調査を行いました。
2. 調査概要
本調査では、企業におけるデータの管理・契約等の実態把握を目的として
アンケート調査、ヒアリング調査を行い、その結果を取りまとめました。
<アンケート調査>
送付先:東証一部上場企業2019社
回答企業:304社(15.1%)
<ヒアリング調査>
回答企業:31社
3.主な調査結果
本調査では、各項目の質問を行う際に、企業における取組や認識について
現状と将来の望ましいと考える姿の両方を伺いました。
結果としては、
「社外からのデータ取得について」は、
現状では、社外からのデータ取得を行っている企業が42.7%に留まる一方で、
将来的には、社外からのデータ取得を行うことが望ましいと考える企業が61.5% あり、
社外からのデータ取得を望んでいることが分かりました。
また、「社外へのデータ提供について」は、
現状では、全部/一部を提供している企業が24.0%であり、
将来的には、全部/一部を提供することが望ましいと考える企業が32.3%と、
社外へのデータ提供についても行いたいという企業が増えつつあることが分かりました。
そして、第三者による不正利用に対する法制度としては、
損害賠償基準の明確化(69.1%)、
罰金・懲役等の強化(66.0%)、
差止請求(60.0%)
などを求める声が多いという結果が得られました。」
報告書をみると、
データの活用と保護については、現状は契約での手当が中心となるようですね。
● 特許などの知的財産とも異なるデータの取扱い
私も、仕事で知的財産関係の契約を扱うことが多いのですが、
データやそこから得られる知見は、特許(発明)とはまた少し違う
取扱いが必要だと感じることが少なからずあるところです。
おそらく、これは、発明などの「技術」と、データという「情報」とで
ビジネスの中での流通経路や各プレーヤーの関わり方が違っている
ところから来ているのかと思います。
● 知的資産経営からみたデータの利活用
知的資産としてデータがどの分野(人的、構造、関係)に入るのかは、
そのビジネスの状況によっても変わってくるかと思いますが、
個人的には、データ自体は構造資産の中に入ることが多く、
その取り扱い方や、取り決めにおける契約などの交渉の上手さなどは、
人的資産や関係資産にも入ってくるものかと考えています。
データ自体が資産であることはもちろんですが、
活用と保護を含めた取り扱い方に関する経験やスキルも知的資産として
重要であると今回の調査を見ても感じた次第です。