「事業会社とベンチャー企業の連携のための手引き」にみる連携の壁の乗り越え方

●5/18 経産省:「事業会社と研究開発型ベンチャー企業の連携のための手引き(初版)」を公表。

経産省は、イノベーションの創出のために重要な「事業会社と研究開発型ベンチャー企業の連携」を促進するため、連携プロセスに発生する障壁と、それに取り組んだ先行企業の事例を整理し、事業会社・ベンチャーの双方で活用可能な手引き(自己診断シート入り)をとりまとめ、公表しました。

http://www.meti.go.jp/press/2017/05/20170518002/20170518002.html

以下はその構成と各セクションの概要です。
(上記リリースからの引用。改行は筆者挿入)

「 本手引きは、大きく3つのSECTIONで構成されています。
SECTION1では、事業会社とベンチャーの連携の現状を俯瞰し、連携においてぶつかりやすい壁を18に分類しています。
SECTION2では、ぶつかりやすい壁を乗り越えるために、事業会社、ベンチャーそれぞれ用の自己診断シートを整理し、壁にぶつかった割合も記載しています。
SECTION3では、SECTION2の自己診断に基づき、参考となるであろう先行事例を記載しています。

本手引き全体を通じ、連携プロセスを契約前後の全4段階に分類し、また、事業会社とベンチャーのどちら向けの内容かをページ上部に記載してあります。
本手引きを参照される事業会社、研究開発型ベンチャー企業の担当者の方におかれては、まずは自己診断を行い、自社の状況と課題を把握し、その上で先行事例を参照頂ければと思います。」

本手引の検討を行った委員からは、
事業会社側とベンチャー側からオムロン株式会社株式会社、
Trigence Semiconductor、株式会社ユーグレナ、
コンサルティング等の立場からは、鮫島さんなど弁護士(2名)、デトロイトトーマツコンサルティング合同会社などがコメントを寄せています。

個人的に特に興味深かかったのは、

手引の最初の方で、
連携の各ステップで、事業会社側と研究開発型ベンチャーがそれぞれ
ぶつかる壁(障害)の中で、特にぶつかりやすい10の壁をまとめて
おり、その中で、双方とぶつかりやすい壁と考えているものとして
・自社内での連携に関する意識、連携する範囲が曖昧
・相手のことがよく分からず、協議のテーブルに付くまでに時間が
かかる
・連携の成果の取り扱いなどで合意しにくい

等が挙げられ、その結果として、
・意思決定に時間がかかりすぎて、マーケットをリードできない
・撤退の基準が曖昧で、ズルズルと見込みのないプロジェクトを引きずってしまう。

などの課題を挙げている点でした。

出典>経産省:「事業会社と研究開発型ベンチャー企業の連携のための手引き(初版)」

● 「敵を知り、己を知れば」の世界

連携なので相手はパートナーであり敵では無いのですが、
上記の孫子の言葉のように、

自分自身を知ることと、相手を知ることは、競争でも連携でも不可欠という、知ってはいても実際に遂行することは中々難しい注意点が、
事業会社とベンチャーの連携でもネックになっていることが改めて
明らかになっているかと思います。

事業会社側では、内部の意識統一が難しく、
ベンチャー側では自社の事業内容や強み等の把握と開示が不十分
なことが背景にあるのではと考えています。

● 普段からの開示準備

連携を考え始めたら、相互に情報開示や相手方の調査、
デューディリジェンスなどは行っていきますが、

今回の手引にもあるように、交渉のテーブルに付く前の段階
での情報不足は、普段からの情報開示の重要性を表しているかと
思います。

知的資産経営報告書や統合報告書は、その点でも、ベンチャーや
中小企業が、大手事業会社との連携の機会を逃さないためにも
作成して開示しておくメリットがあると考える次第です。

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