カゴメと伊藤園の特許紛争に見る「価値の明確化」の重要性とは?
● カゴメ、伊藤園に勝訴 トマト飲料の特許無効訴訟「苦味や渋味が風味に影響」 知財高裁
上記は6月7日の産経ニュース(http://www.sankei.com/affairs/news/170609/afr1706090007-n1.html)の見出しですが、
各紙で、カゴメが提訴した伊藤園トマト飲料の製法に関する特許の
無効を争い、一度は特許庁で有効との審判が出たのを
知財高裁で一点無効との判決が出た旨が掲載されています。
6月10日時点では、カゴメ、伊藤園の双方ともリリース記事は出して
いないようですが、
判決では、
「記載内容が不十分で、同業者は『濃厚な味わい』などの技術的な意味を理解できない」
「(伊藤園が提出した、甘味や酸味に関する試験結果に対して)
苦味や渋味といった他の要素が風味に影響する可能性を考慮して
試験する必要がある」
というコメントを出して対象特許は無効とのカゴメの主張を認めたようです。
上記の判決に対して、カゴメと伊藤園は
「カゴメは「妥当な判決だ」とコメント。伊藤園は「判決を真摯(しんし)に受け止め、今後の対応を検討したいとしている。」
と受け止めているとのことです。(産経ニュースより)
● 価値や意味の明確化
特許では、新規性、進歩性などの要件がありますが、
今回は、「産業上利用できる発明であること」の要件、
つまり、再現性の有無が判断の対象になったと思われます。
今回の記事は特許の要件に関するものではありますが、
自社商品やサービス、あるいは自社自身がお客様や取引先などに
提供する「価値」、その「差別化要因」を十分に明確化できるか、
その裏付けを持っているかという点では、
特許に限らず、顧客提供価値の明確化の重要性を示唆するものではないかと思います。
知的資産経営でいえば、顧客提供価値や自社の強みを明確にするには、
その裏付けである知的資産も十分明確に把握していることが必要だと感じた次第です。