ワーク・シフトー孤独と貧困から自由になる働き方の未来図ーと知的資産
●ワーク・シフトを読んで
「ライフシフト」をから続けて、同じリンダ グラットンの著作
ワーク・シフトを読みました。
http://amzn.to/2sCvgrC
こちらの方が2012年7月出版とライフシフトより早いのですが、
ライフシフトと同じく豊富な文献や調査から、社会変化が人の働き方
に及ぼす影響について、複数のシナリオを提示しつつ、実践的な
提言を行っており、大変刺激を受けました。
● 働き方の変化
特に印象に残ったのは、以下の3点です。
・ゼネラリストから連続スペシャリストへ
ライフシフト同様、今後、一つの専門性だけでキャリアライフを全う
することは出来ないが、さりとて広く浅い知識やスキルは、
ネットで無料で手に入る時代には、ゼネラリストではなく、
深い専門性を持ちつつ、時代に合わせてその専門分野を変えて行く
連続スペシャリストを目指せと示唆しています。
人生の二毛作、三毛作をいかに実現するかは、企業に務めつつ、
中小企業診断士などの士業の分野で活動をしている私に取っても
大変切実な課題なので、新しい専門性を獲得する学習能力と環境
づくり(専門性取得に必要な時間やネットワーク作り)の重要性
を改めて感じさせられました。
・協力して起こすイノベーション
「ボッセ」と呼ばれる「信頼できる仲間」と協力しながら
イノベーションを起こし、自分や事業の価値を高めていくことが
必要が説かれています。
私が資格を取って良かったと思うことに、士業のネットワークに
参加できることがありますが、ネットやリアルの中で、仲間を作り
その関係を維持していくスキルやマインドセットを取得することが
今の仕事でも今後のキャリアライフの中でもまず心がけるべきである
と痛感させられます。
・働く目的:消費から価値ある経験へ
これは、マーケティングの視点からも大変重要ですね。
消費ではなく、体験に価値の重点を置くことで、自分自身や
チームメンバー、お客様などのモチベーションやインセンティブ
を高める重要な切り口を得ることが出来ると感じました。
● 個人の人生観や働き方が、企業経営に及ぼす影響と知的資産
ワーク・シフトの示唆するところを知的資産経営の視点から
見てみると、
1.社内、社員の価値観、モチベーションへの影響
人的資産の観点からは、「成長」と「価値ある体験」の2つを
提供していくことが、人材の獲得と育成、モチベーションアップを
図る上でますます重要になっていきます。
そのためには、どこまで権限委譲し、その際のリスクをどう
コントロールするかをあらかじめ考えて対策を講じると同時に、
実際に業務やプロジェクトを進めるなかで軌道修正していくことが
必要であり、これを行える人材も育成ないし獲得していくことを
意識して進める必要があると思います。
2.顧客の価値観への影響
「ロールプレイングゲーム」のように、お客様に「レベルアップの
達成感」や「コミュニケーションの楽しさ」などの「体験」を
提供する、いわゆる「モノ売りからコト売りへ」を更に進めることを
価値創造ストーリーを作る際に意識しておくことが必要ですね。
3.企業理念への影響(1,2を踏まえて)
上記のような人的資源、価値創造ストーリーの課題を解決し、
今後の働き方の変化と仕事に対する価値観の変化を予測しながら
事前に打ち手を考える際にも、まずは自分(自社)が今どのような
知的資産を持っているかを明確にし、それを使ってお客様にどのよ
うな価値を提供していくかを、「自社は誰にどんな価値をどのよう
に提供したいのか」という企業理念を社内で共有し、社外に発信して
行くことが変化が激しい時代にブレない経営を行ううえでますます
重要になっていくと思います。
知的資産経営報告書の作成などの色々な機会を使って、企業理念の
明確化と共有を継続的に行うことがブレない経営を行ううえで有効
ではと考える次第です。