鉱物資源の記事に想う、「全体像把握の重要性」

● 世界の産業を支える鉱物資源について知ろう

今まで、エネルギー中心に資源エネルギー庁の記事を採り上げてきましたが、
2018/3/22の資源エネルギー庁の特集記事では、鉱物資源を採り上げています。

http://www.enecho.meti.go.jp/about/special/tokushu/anzenhosho/koubutsusigen.html
(引用は『』でくくります。 太字と改行は筆者挿入、以下同様)

『埋蔵量・産出量ともに多く、精錬が比較的簡単な鉄、アルミ、銅などの金属は「ベースメタル」と呼ばれています。一方、産出量が少なかったり、抽出がむずかしい希少な金属を「レアメタル」と呼んでいます。チタンやコバルト、ニッケルなどがそうです。さらに、レアメタルの一部である17元素は「レアアース」と呼ばれ、先端技術を用いた製品には不可欠な素材となっています。このほか、貴金属として扱われる金や銀などがあります。』

と、レアメタル、レアアースなどの鉱物、素材とはどのようなものかの基礎的な説明も入っています。

元素記号表 http://www.enecho.meti.go.jp/about/special/shared/img/qzm2-2au5zdkh.png

『日本はベースメタル、レアメタルのいずれも、ほぼすべてを輸入に頼っています。国内にも鉱物資源がないわけではないのですが、産出量が少なかったり、環境問題などから生産コストが見合わず、利用されていません。』

海外からの輸入 http://www.enecho.meti.go.jp/about/special/shared/img/qzm3-2au5zdkh.png

と、日本はエネルギー資源と同様、鉱物資源もほぼ輸入に頼っていること、
また、以下のように特定の国からの輸入に頼っている事が多いことが示されています。

これらは、概念的には、ニュース等を通じてすでに知っていることかと思いますが、選択肢が少ないということ自体が、安定供給上のリスクでありの課題となりますね。

 

日本の鉱物資源の輸入・国別シェアhttp://www.enecho.meti.go.jp/about/special/shared/img/qzm4-2au5zdkh.png

 

● 中国のレアメタル規制

2010年に、尖閣列島での漁船衝突を契機にした、中国の対日レアメタル規制については記憶に新しいかと思います。

『中国がほとんどの市場をにぎっている、ジスプロシウムやネオジムなどのレアアースについては、2010年に中国が輸出規制を行ったため、価格が最大約10倍に高騰しました。』

これについては、日本企業が対中依存度を引き下げるためは、レアアースを使わない製品やレアアースのリサイクル技術を開発したことや、WTOが中国のレアメタル輸出制限を違反認定したことなどが契機となり、最終的には輸出枠は撤廃され、

2015/5/1には輸出枠制限撤廃に引き続き、輸出税も廃止されました。
「中国は、レアアース、タングステン、モリブデンに賦課している輸出税を廃止」
http://www.meti.go.jp/press/2015/05/20150501001/20150501001.html

資源が経済政治の道具としても利用されることと、経済的な条件と複雑に絡み合っていることが、日本に直接影響を及ぼす形で如実に示された例といえるかと思います。

 

● 自社に関係する資源の全体像を掴む

「アップルのコバルト鉱山との直接取引にみる異業種の影響」
https://wp.me/p9D2bS-wk
でお話したとおり、スマートフォンと電気自動車間のリチウムイオンバッテリーの必須要素であるコバルトの例など、異業種との間でも鉱物資源等の獲得競争が激化しています。

これに加えて、供給側と需要側のパワーバランスや、供給国側の事情(例えば中国のレアアース業界)、日本以外の需要国側の事情(例えば、米国のシェールガス、シェールオイルによう中東依存度低下など)も直接影響を及ぼしてきますね。

国レベルでも鉱物資源の安定供給対応は進めています(下図参照)。
『鉱物資源の安定供給を確保するためには、それぞれの鉱種ごとに実態を把握し、関係機関と連携して取り組んでいくことが大切です。政策においては以下の5本柱を総合的に実施しています。

① 海外資源確保の推進
② 備蓄
③ 省資源・代替材料の開発
④ リサイクル
⑤ 海洋資源開発

このなかでも、③省資源・代替材料の開発、④リサイクルについては、高い産業技術を持つ日本が得意とするところです。』

上記の5本柱のうち、③省資源・代替材料の開発、④リサイクルについては、中国のレアアース規制のときのように、民間企業の努力や貢献も大きな分野かと思います。

鉱物資源政策の全体像http://www.enecho.meti.go.jp/about/special/shared/img/qzoy-2au5zhkn.png

民間レベルでも、上記の様な国際レベルでの自社に関連する資源の全体像を掴んでおくことが、鉱物資源に限らず、中長期的な自社への影響を考え、あらかじめ何をすべきかを考える上で今後さらに重要になってきます。

そしてそれは、例えば人材などの知的資産についても同様と考える次第です。

 

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