プラットフォームビジネスにみるエコシステム間の競争
● ESPN+、ライブスポーツストリーミング
2018/4/28の1日5分ビジネス英語で、表記の記事が掲載されていました。
https://www.wisdomsq.com/contents/bepod/20180428.html
(引用は『』でくくります。 改行は筆者挿入、以下同様)
ESPNは、ウィキペディアによれば、ウォルト・ディズニー・カンパニー傘下のスポーツ専門チャンネルで、衛星およびケーブルテレビでチャンネルを提供しています。
『ESPN米国のスポーツファンは現在、新しい直販型スポーツストリーミングサービス、ESPN+を利用できる。 このサービスの料金は毎月4.99ドル(または年間49.99ドル)で、観るために特別なアプリを必要としない。ストリーミングプログラムは、ESPN.comまたは最新のESPNアプリを通じてオンラインで利用可能だ。』
と、ESPNの今回の新規サービスは、ESPNアプリの上でのコンテンツの充実ということから、スマホやタブレット、インターネット対応TV上でのアプリというプラットフォームの競争とも捉えることができるかと思います。
その際の競合としては、アマゾンのプライム・ビデオなども対象になるかも知れません。
● レイヤーマスターとバリューチェーン全体の垂直統合型の2つの流れ
2017/12/14に、楽天株式会社は、携帯キャリア事業への新規参入表明のリリースを発表し、2018/4/9に特定基地局開設計画(1.7GHz帯割当)の認定を受けたことを発表しました。
2017/12/14 https://corp.rakuten.co.jp/news/press/2017/1214_02.html
2018/4/9 https://corp.rakuten.co.jp/news/press/2018/0409_02.html?year=2018&month=4&category=corp%20ir
2018/4/20の1日5分ビジネス英語でも、この話題を採り上げていましたが、
https://www.wisdomsq.com/contents/bepod/20180420.html
『2015年以降、日本企業の楽天は中核であるEコマース事業の業績が低下している。米企業アマゾンとヤフーから圧力がかかっているからだ。それぞれ、市場の20.2%および8.9%を占めている。反撃して、20.1%のシェアを改善するために、楽天は通信分野に6000億円を投資することにした。
これは楽天の携帯電話ネットワークが、ソフトバンク、NTTドコモ、KDDIに次ぐ、第4位になることを意味する。これは携帯電話契約者の新しい集団を開拓する、よい動向だろう。楽天は1億6500万人の市場で、わずか1500万人のユーザーを目標としている。低い価格で携帯電話サービスを提供して、徐々にシェアを拡大する計画だ。
しかし、楽天は利益を出すことが難しいかもしれない。さらに専門家は、日本の携帯電話市場はすでに大手3社によって占有されており、新規参入者が入り込む余地はほとんどないと見ている。』
と、アマゾンやヤフーとの競争によるEコマース事業の不振を立て直すために、携帯電話サービスに乗り出すものの、通信事業で収益を得ることは難しく、さらにドコモ、ソフトバンク、AUで専有されている市場でシェアを得ることも困難との見方を示しています。
このような中で、敢えて携帯電話事業に乗り出す意図について、
楽天は顧客との接点としての携帯電話事業を持つことで、Eコマースのバリューチェーン全体を押さえる、垂直統合型のプラットフォームビジネスを考えているのかも知れないと感じた次第です。
● プラットフォーム間の競争からエコシステムの競争へ
「アイラ株式会社のサービスポータル基盤および地域生活支援ポータルサービスにみる「アマゾン以外のエコシステムの可能性」
でお話したように
アイラが単に他社のプラットフォームを使うというだけでなく、複数のメーカーのプラットフォームに対応したサービス基盤を新たに上乗せし、「自社のエコシステム」を形成するものと言える点で、
例えば自社の販路にアマゾンや楽天を利用するような他社のプラットフォームの利用と比較して、自社の強みを活かしつつ、複数の企業を選択できるポジションを取ることで、自社のエコシステムの構築につなげていくことを目指していると思われるように、
楽天も垂直統合型のビジネスの中で、自社と取引先や顧客との間でアマゾンやヤフーとは異なる形のエコシステムの構築を考えているのかも知れません。
あらゆる市場で異業種のプレーヤーが増え、顧客も含めて各プレーヤーのニーズも多様化する中で、一社で全てのニーズを満たすことは不可能になっているため、
いかに自分が必要なエコシステムを形成、あるいは見つけて参加するか、その中で有利な位置につけるかが重要になってきたと改めて感じた次第です。
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