損保の手話・筆談サービスに考える、契約相談のダイバーシティ対応
【今日のポイント】
事故が起きてからの手続きだけでなく、保険加入時の契約相談にも手話・筆談サービスを広げたソニー損保。
グローバル化や高齢化の中で、多くの業界の契約に関する諸々の手続き・フローにおいても、AI・ICTも活用した、ダイバーシティ対応が今後進んでいくものと考える次第です。
● 「手話・筆談サービス」の提供対象を拡大
ご契約前や契約手続時も、「手話・筆談サービス」をご利用いただけるようにしました。
2020/1/15にソニー損害保険株式会社は、表記のリリースを公表しました。
(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同様。)
『ソニー損害保険株式会社(代表取締役社長:丹羽 淳雄、本社:東京都大田区、以下「ソニー損保」)は、2020年1月14日から、「手話・筆談サービス」の提供対象を拡大しましたのでお知らせします。
「手話・筆談サービス」は、耳や言葉の不自由なお客様と当社担当者が、手話・筆談サービスを提供するオペレーターを介して、リアルタイムにコミュニケーションを図れるようにしたものです。
2019年9月から事故対応サービスやロードサービス、保険金請求手続などを対象に開始しましたが、2020年1月14日から、ご契約前の保険商品に関するお問合せやご相談、契約手続や契約内容変更手続などにもご利用いただけるようにしました。
ご契約前やご契約手続時は、これまでも、耳や言葉の不自由なお客様にはチャットやメールなどで応対していましたが、手話や筆談も追加することで、より多くのお客様が当社の各種サービスをスムーズにご利用いただけるようになると考えています。』
損害保険を必要とする方は、当然ながら健常者以外の方も多くいらっしゃる中で、事故が起こってからの手続き時だけでなく、保険に入る際にも、障害者の方たちへの対応を広げていくとのこと。
損害保険だけでなく、種々の契約相談時など、お客様との交渉や、相手のニーズを伺う際に必要なサービスとして広がることが期待されます。
● 技術契約と障害者対応
ソニー損保のリリースによると、今回の手話・筆談サービスは、お客様とソニー損保の間に、通訳の役割を果たすサービスを挟むという方法です、
『■ サービスの概要
手話や筆談の通訳を行う株式会社プラスヴォイス(以下、プラスヴォイス)が提供する、通信技術を活用した手話・筆談通訳サービスを利用します。
プラスヴォイスのオペレーターが、手話・筆談・文字チャットによりお客様からのお問合せ等を承り、お客様に代わって当社に連絡のうえ通訳します。』
サービス概要の画像はこちら
手話・筆談のサービスを自前で用意する必要が無いという点で、導入しやすいと同時に、お客さまのニーズを的確に汲み取って、企業に伝達し、企業の回答正確に理解して、お客様に伝えるスキルが通訳サービス側には要求されますね。
このスキルについては、通訳者や企業側の知見の蓄積と共有だけでなく、AI等も利用することで解決していくものと考えられます。
このような、ダイバーシティへの対応を技術契約の場面で考えると、
例えば視覚障害者や聴覚障害者の方向けのサービス等の研究開発において、障害の方のニーズを伺う必要がある場合のモニターやインタビューの契約、
障害者の方自身が、研究開発を行う際に、共同研究開発契約の契約締結者となる場合などが当てはまるかと考える次第です。
● 契約相談や契約締結のダイバーシティ対応
現在、契約書のチェックや電子署名など、契約業務においてもデジタル化が進んでいます。
こういった動きの中で、契約業務の効率化・生産性向上だけでなく、契約におけるダイバーシティ対応として、
・交渉や契約書の多言語化や、
・現在の印鑑や手書きのサインに加えて、音声や指紋認証による署名、
・契約交渉やその前の相談時の経緯を、視覚や聴覚の障害者の方にも利用できる形残す事で、更に理解を深める
といった、対策やサービスが今後、AI・ICTも活用して進むものと考える次第です。
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