ブロックチェーンにみる「因果応報」による犯罪防止への期待
● 元Google米国副社長が予見する「電力ビジネス」の今後、小売から情報業へのシフトとは
2018/9/14の一般社団法人エネルギー情報センターの新電力ネットに表記の記事が掲載されていました。
本記事は、『ブロックチェーン×エネルギービジネス』出版記念の特別企画である、本書の推薦コメントを付けた元米グーグル副社長の村上憲郎氏と著者(江田氏)との対談です。
(引用は『』でくくります。 太字と改行は筆者挿入、以下同様)
デジタル化がエネルギー産業に与える影響として、通信と同じく、無料(定額)に近い概念が広がることや、キーデバイスとしての蓄電池なども参考になりましたが、以下のコメントに興味を惹かれました。
『ブロックチェーンは、従来のインターネットシステムと全く概念が違います。これまでのシステムはハッキングなどの悪用を排除するため、セキュリティーの脆弱性を排除する方向で開発が進んできました。これに対し、ブロックチェーンはインターネット上に悪人がいることを前提に仕組みが考えられています。悪事を働くと、自らも傷を負うような仕組みになっており、商取引などのドキュメントの改ざんが防げます。これは画期的な発明といえるでしょう。』
サイバーセキュリティーは、昨今非常に話題になっていますが、その防衛策として、ブロックチェーンは、悪事を働くと自らも傷を負う「因果応報」の仕組みとなっているという点は、コメントにもあるように非常に画期的ではないかと思います。
● サイバー犯罪の商売としての魅力低減策
2018年のフェースブックの大規模情報漏えい(ロイター:「米フェイスブック、情報流出は最大8700万人分の可能」)や、
2018/8/21のブリティッシュ・エアウェイズのクレジットカード情報も含む情報漏えい(ASCII×ビジネス「英航空大手で38万件の顧客情報が流出、GDPR施行後初」)
のように、大規模な情報漏えいのニュースが続いています。
最近はアプリを通じたハッキング等が注目されている感がありますね。
ブリティッシュ・エアウェイズなどのサイバーセキュリティ体制にも課題は多いようですが、他の犯罪と同様に、サイバー犯罪も犯罪者側から見れば費用対効果が高いからこそなくならない(言い方は悪いですが、ビジネスとして成り立っている)と言えるかと思います。
欧州のGDPRなどの法規制も重要ですが、政策というのは関係者のコンセンサスを得る必要性から常に後追いになるのは宿命ですね。
民間での対応としては、サイバーセキュリティの対策を開発・提供する側のインセンティブを上げる、それによってセキュリティ対策のユーザーのコストを下げて対策の費用対効果を高めるという方法が一つあるかと思います。
一方、犯罪者側の費用対効果については、サイバー犯罪のコストを上げて犯罪のインセンティブを下げる方法が現在取られている方法かと思いますが、サイバー犯罪を犯すメリットを下げる方法も考えられます。
アナロジーとして,日本では昔、古着のニーズが無くなることで空き巣が減った(商売としての旨味がなくなった)時期があると聞いたことがあります。
今回のブロックチェーンは、サイバー犯罪のメリットを下げるという点で、今後のサイバーセキュリティの方向性の一つを示唆しているものと感じます。
また、サイバー犯罪での案は思いつきませんが、公営ギャンブルのように、市場原理(競争)を使って商売としての犯罪の魅力を減らす方向としては、規制緩和なども効果を発揮する場面がないかとも思う次第です。
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