富士通の戦略解説にみる自社が押さえるべきボトルネック

提携 ボトルネック 共創

● 富士通、顧客との“つながるサービス”強化でデジタルイノベーション拡大

2018/10/1の財経新聞に表記の記事が掲載されていました。

(引用は『』でくくります。 太字と改行は筆者挿入、以下同様)

『9月20日、富士通研究所は、異種業界を超えたデータ流通の信頼性を向上する技術を開発したと発表した。

 富士通はICTを通じて社会を支えることを目指しており、多くの企業や個人が持つ膨大なデータの加工履歴などの情報をブロックチェーン技術の活用により一元管理する基盤を整備しようとしている。これにより単独では困難な、多くのデータの安全・確実な利・活用が可能となり、デジタル社会の発展に貢献することが期待できる。
(中略)

■「つながるサービス」構築の経営方針の下、コア事業強化戦略の推進
 デジタル化が急速に進展しており、企業、政府自治体、研究機関など多様なパートナーと「つながるサービス」を築き、新しい価値を共創するため、下記の戦略により自社のコア事業を強化する。
 1.自社クラウドと他社クラウドを快適に使用するマルチクラウド統合運用サービスの推進。
 2.グローバルパートナーと多くの企業の多様なデータ活用をしてきた自社のAI基盤技術を結び、パートナーの安全・安心な事業創出支援。
 3.サイバーセキュリティリスクマネジメントを強化して顧客の事業継続を支え、リスク管理負担を軽減。
 4.デジタル技術と色々な業種・業務の知見を統合した事業軸の推進と地域ごとの推進戦略によりグローバル成長基盤を確立。
 5.コア事業へ集中するため、カーナビ、パソコン、インターネット接続、携帯電話製造事業の売却についで、携帯電話販売事業売却などコア事業以外の整理を続行。

 製品やサービス、新事業の開発にAIの活用が求められる中、パートナーとの共創により、各企業単独では困難なデジタルイノベーションの支援をグローバルに拡大する富士通の動きを見守りたい。(市浩只義)』

富士通のデジタル化への対応の中で、「つながるサービス」をキーコンセプトに、自社のコア技術を強化していく動きを紹介しています。
記事の著者 市浩只義氏もコメントしているように、一社単独ではAIを活用することも、他者のデジタルイノベーション支援を行うことも困難な中で共創を進めるために、富士通が何をコア技術として強化しながら事業展開していくのか興味を惹かれるところです。

 

● 共創とコア事業への集中

富士通のような大手企業でさえ、自社単独での事業展開は困難な時代、共創や事業提携は必須となってきていますが、自社が持ち、強化すべきコア技術、コア事業を明確にして資源を集中することは、規模の大小を問わずますます重要になってくるかと思います。

その際に、どこが自社のコアとなるかは、その事業全体のエコシステムの中で自社が押さえるべき場所、機能によってきますね。

そして、自社が押さえる部分が、そのエコシステム、あるいはバリューチェーンにおいてボトルネックに当たる部分ならば効果も大きくなります。

バリューチェーン、エコシステムが複雑化する中では、このボトルネックも一箇所ではなく複数に増えてくるかと思います。

従って、中小企業でも小さい規模で押さえられる部分が出てくる可能性があり、それを押さえる技術力やサービス力などがコア事業のために強化すべき知的資産となるものと考える次第です。

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