ゲームのシナリオライターの氏名公表権に関する公取委の見解に予想するフリーランスの実績の可視化による市場流動性

● 続・ゲームシナリオ業界の激変 フリーランスと成果物の非公表義務
作家・師走トオル氏のコラム

2018/9/29のDENGEKIOnlineに表記の記事が掲載されていました。

(引用は『』でくくります。 太字と改行は筆者挿入、以下同様)

『『前回触れましたが、昨今“スマホゲー・ソシャゲ”の大流行に伴い、ゲームシナリオ案件の依頼が急増しています。ところがその一方で、会社に属さない、いわゆるフリーランスのゲームシナリオライターの間では「スマホゲー案件はギャラはいいけど実績にならない」なんて話がよく話題になっていました。
 というのも、スマホゲー案件の多くは“氏名表示権(※)の不行使”が契約条件になることが多いからです(例外ももちろんありますが)。
氏名表示権:著作者人格権の一つで、自分の著作物を公表する際、著作者名を表示する・しないを選択できる権利。なお実際の契約では「氏名表示権」だけではなく著作者人格権そのものを不行使とすることが多いです。
 ではなぜフリーランスのゲームシナリオライターには“氏名表示権の不行使”が課されることが多いんでしょう? これにはいくつか理由もありまして、たとえば可愛い女の子が出てくるゲームで「あのキャラクターのシナリオ書いたの私です」なんて話が出てきたらある弊害が生じます。
 キャラクターを見る度、それを書いたシナリオライターの顔や人格が連想されることです。

(中略)

 しかし氏名表示権を行使できないと、書いたライターが自分の実績として公表することができません。これはシナリオライターに限った話ではなく、イラストレーターさんなど、いわゆる“フリーランス”全般に言える大きな問題でもありました。フリーランスの場合、自分の実績を元に次の仕事をもらうことも多く、氏名表示権が行使できないことは死活問題になりかねないわけです。』

スマホゲームにおいてフリーランスのゲームシナリオライターの著作者人格権のうち、「氏名表示権」について、ゲーム会社の事情からライターの氏名が作品に表示されないという商慣習を紹介し、そのため、シナリオライターやイラストレータなどのフリーランスのライターが自分の実績をアピールする手段を持てなくなるという課題について触れています。
 

そして、以前「公取の「人材と競争政策に関する検討会」報告書にみる「規制と多様化」」などでもご紹介した、2018/2/15に公正取引委員会の有識者会議「人材と競争政策に関する検討会」からの、フリーランスの人全体の働き方改善に向けた報告書を採り上げて、

フリーランスの方が、自分の実績を公表できないと、人材の流動性を阻害すること、またゲーム会社等がライターを囲い込むことになり、優越的地位の濫用として独占禁止法上問題になり得るとの見解が示されていることから、今後はゲーム業界でもライターの氏名公表を進めるきっかけになるのではとの期待を述べています。

公正取引委員会の見解がゲーム業界にも影響を及ぼす可能性を示すものとして、大変興味深く読んだ次第です。

 

● フリーランスの実績の可視化が人材市場の流動化などに及ぼす影響

今後兼業や副業解禁を含めて働き方の多様化が進むと、フリーランスと従業員の境界が曖昧になって来ると思われます。

従って、個人の実績を社会にアピールする権利が、フリーランスだけでなく企業の従業員などにも広がってくる可能性があると考えています。

自分自身での実績の公表だけでなく、現在の「口コミ」に当たるような評価方法もそこに加わり、更に客観性の高い個人評価が広がることも考えられますね。

企業側から見ると、企業の人材評価能力、や評価の仕組みも他社と比較されることになる一方、優れたプレーヤーを抱えている、あるいはそういったフリーランスに選ばれているという自社の人的資産、関係資産の評価にもつながる可能性を感じます。

人材採用や人材育成・活用だけでなく、企業としてのPRやCSRなど外部評価の観点からも、モチベーション評価や人材評価の仕組み、改善の仕組みが今後重要になってくるものと考える次第です。

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