経営デザインシートを自社の将来像のチェックリストとして使う方法

将来像 ビジョン ビジネスモデル

【今日のポイント】

1枚のシートに、現在と将来の自社の顧客提供価値のメカニズムと将来像を実現するための課題や解決策を記載する「経営デザインシート」。

自社の中長期計画の詳細な検討の前に、まずは、現時点で自社の将来像やビジョン、それを実現する道筋が描けているかのチェックリストとして使ってみることをお勧めする次第です。

 

● 経営デザインシートとは

「経営デザインシート」は、内閣府の知的財産戦略本部の検証・評価・企画委員会における知財のビジネス価値評価検討タスクフォース(価値評価TF)で検討され、内閣府知的財産戦略本部の知的財産戦略推進事務局が公表している、

企業が自社の知的財産を企業の価値創造のメカニズムに組み込んで経営をデザインするためのツールです。

上記推進事務局では、以下のサイトで、経営デザインシートを紹介しています。

『経営をデザインする (知財のビジネス価値評価)』
(引用は『』でくくります。 太字と改行は筆者挿入、以下同様)

『経営デザインシートは、将来に向けて自社が持続的に成長するために、将来の経営の基幹となる価値創造メカニズム(資源を組み合わせて企業理念に適合する価値を創造する一連の仕組み)をデザインして移行させるためのシートです。』

同サイトでは、以下の項目に渡って経営デザインシートのひな形、テキスト、活用例などを掲載しています。

『 経営デザインシートの雛型、テキスト、説明資料、動画
経営デザインシートの活用例
 (1)企業
 (2)企業支援者
 (3)アワード
 (4)アナリスト
 (5)団体
経営デザインシートのメディアのおける紹介例
経営デザインシートのロゴマーク
知財のビジネス価値評価検討タスクフォース
リンク
お問合せ先』

経営デザインシートは、企業全体版と各事業版に分かれており、複数の事業を展開する企業にも、単独の事業で経営している企業にも対応できるように作成されています。

そのどちらのシートも、
左側に現在の事業概要や経営方針、これまでの価値創造メカニズム(顧客への提供価値、ビジネスモデル、利用している経営資源)や外部環境を、

右側にこれからの価値創造メカニズムを掲載し、現状から今後のビジネスモデルに行こうするための戦略を下部に記載するという構成になっています。

そして、経営資源やビジネスモデルの中に自社の知財とその役割を記載するようになっています。

経営デザインシートが取り扱う「知財」は、特許や商標などよりもかなり広い範囲を想定しており、「知的資産」に近いものかと思います。

シートはA3版1枚の構成ですので、自社の現状と将来像、その将来像に至るための戦略をひと目で俯瞰しやすく、経済産業省が提供している「事業価値を高める経営レポート」にかなり近いものかと思います。

『事業価値を高める経営レポート(知的資産経営報告書)作成マニュアル(2012年5月改訂)』

 

● 経営デザインシートを「自社のビジョンや将来像のチェックリスト」として使う

この、経営デザインシートを実際にベンチャーのコンサルティングに使ってみましたが、左側の「今まで」の価値創造メカニズムの部分以上に、右側の「これからの」価値創造メカニズムや事業概要(経営方針や企業理念)を記載することが大変だと実感しました。

つまり、「自社の将来像、ビジョンを具体的に描けているか?」

が、シートの作成の中で問われてきます。

具体的には、

・自社の現在のビジョンと将来像の関係は?

・必要な強みや知財も書けるか?

・現在の経営資源や価値創造のメカニズム(ビジネスモデルと経営資源の利用方法)とのギャップは明確か、外部環境の変化も踏まえた上で、そのギャップを埋める方法まで考えているか?

・上記の内容を社内で共有出来ているか

という事項に関するチェックリストや診断ツールとしても有効なものと改めて感じました。

中長期の経営計画書や、知的資産経営報告書の方が分量が多い分、詳細な検討が可能となりますが、

まずは、この経営デザインシートを用いて、自社のビジョンと将来像がどこまで明確か、実現するためのビジネスモデルや現状からの道筋が描けているかをチェックしてみることをお勧めする次第です。

 

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