国家・都市間の競争の多様化にみる、自社環境の変化の把握と予測の重要性
【今日のポイント】
新型コロナ対応とそれに必要な財源確保により、各国が税制度や最低賃金などの変更を進めています。
また、オンライン化やリモートワークは都市間競争にも変化を及ぼしていることが、種々のニュースや施策などからも窺われます。
これらの国家間、都市間競争の多様化と変化について、自社への環境要因としてアンテナを張ってその影響を整理することが重要性を増していると考える次第です。
【目次】
1. ニュージーランド、富裕層に課税
2.新型コロナ化での都市の評価軸と誘致政策の多様化と継続的な変更
3.自社の事業環境を、国家間や都市間の競争、不動産テックによる生活者や企業の流動化の視点からチェックし予想することの重要性が高まる
1. ニュージーランド、富裕層に課税
2021/4/19の1日5分ビジネス英語に表記のトピックスが掲載されていました。
富の再分配への取り組みですが、2020/9/10のNNAASIAアジア経済ニュースでも、総選挙におけるNZ労働党によるこの税制変更の公約を報じており、その記事中ではこの課税枠はオーストラリアやカナダ、英国にならったものと財務相が説明していると記載されています。
このような税制改革は、新型コロナへの対応による財政難が申告になる中で各国共通の課題であり、自社への影響も含めて要注目と考える次第です。
なお、上記のような課税対策においては、
「高額課税を上回るカントリーベネフィットと行政のスマート化が求められる」
も予想できるかと思います。
高額所得者に課税することは、法人税率の引き上げ同様に、国外への収入源の流出の原因となる可能性は高いかと思います。
観光、子育ての環境、医療など安全・安心、コミュニティとしての魅力、エンターテイメントを含めた文化的な民度の高さなど、所得税率の引き上げを上回る魅力の提供が必要であり、
その魅力の中には、スマートシティなどの利便性やビジネスや生き方に関する気づきを得られる「学びの機会」の多さなども含まれるものと考えています。
日本も安全・安心や文化面などでのポテンシャルは高いと思われますが、新型コロナのワクチン接種では他国に遅れを取っていますので、先日のイスラエルやセーシェルのワクチン接種のトピックスでもお伝えしましたように、行政のスマート化などによる効率化も加速化を求められるものと考える次第です。
2.新型コロナ化での都市の評価軸と誘致政策の多様化と継続的な変更
新型コロナで、テレワークの普及が日本でも進みつつありますが、
テレワーク、オンライン化、非接触化などの状況の変化からは、以下の記事にもみるように、
「都市の評価軸と誘致政策が多様化かつ変更し続ける」事が予想できるかと思います。
『「Withコロナ・Afterコロナの都市政策」報告書について~東京の国際競争力強化と地方との共存共栄に向けた具体的施策の推進を~』
2020/10/13の東京商工会議所の政策提言・要望
(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同様。)
『テレワークの普及などによりワークスタイル・ライフスタイルが変化している。働き方・住まい方等に対する人々の価値観の変化に応じ、多様な選択が可能な都市となるよう、情報基盤整備、労働環境整備などの施策・取組が必要である。』
『「新型コロナ危機を契機としたまちづくりの方向性」(論点整理)概要』
国土交通省の『新型コロナ危機を契機としたまちづくり』サイトより(2020/8/31発表)
オンライン化、デジタル化はリモートワークなど場所を選ばない働き方の普及を後押ししており、新型コロナも一部そこに影響を与えているかと思います。
また、ワークスタイルだけでなく人々のライフスタイルの多様化によって、都市(生活空間)に求められるインフラの内容も多様化し、かつ生活者のライフサイクルや、新型コロナのような環境変化によって、インフラへのニーズも変化し、その変化のスピードも加速していくのではないかと思います。
そのような都市間の競争において、都市の評価軸もワーク・ライフ・バランスなど含めて複数の評価軸が利用され、誘致策も多様化するものと考える次第です。
3.自社の事業環境を、国家間や都市間の競争、不動産テックによる生活者や企業の流動化の視点からチェックし予想することの重要性が高まる
上記の国家間や都市間の競争に加えて、以下の記事のように、プロテック(プロップテック)などのテクノロジーも、不動産の流通の促進を通じて、人々のワークスタイルの多様化を促進するものと感じます。
『不動産業者間サイト「ITANDI BB」顧客管理・物件提案機能を搭載、空室情報を即時自動回答』
2021/4/6イタンジ株式会社のリリース。
『「ITANDI BB」では、入居希望者に対する物件情報の直接提案と、入居希望者の問い合わせに対する空室情報の即時自動回答が可能になります。
また、あわせて「入居希望者へ物件情報を直接提案」という機能も誕生し、これに伴い、一部機能の無料開放も実施いたします。』
新型コロナによるリモートワークの普及やワーケーションへの取り組みなどは、不動産テックと相互に作用して、生活者や企業の活動拠点の位置を変化させて行くものと思います。
その動きが、自社に取引先を含めてどのような変化を与えるのか、
市場、自社の従業員などの経営資源含めて考えることも必要となってきていると感じます。
SWOT分析や、経営デザインシートなどにより、将来の社会像から自社のビジョンや将来像を描き、そこに至る道筋を考えるうえで、不動産テックなどによるステークホルダーの活動拠点の変化の把握は重要な要素となりえるものと考える次第です。
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