ローカル5Gに考える、SNSなどの情報発信プラットフォームの動向把握と選択の重要性
【今日のポイント】
ローカル5Gは工場のスマート化だけでなく、今後産業用、民生用の多くの分野で活用が広がり、そのプラットフォーム化も進むことが窺えます。
このような、情報関連も含めたプラットフォームの動向把握の際には、他業種での導入状況なども先行事例として参考になる可能性が高く、アンテナの張り方に工夫が必要と考える次第です。
以下に、ローカル5G関連の最近のニュースをいくつかご紹介いたします。
・エイビット、サブ6帯のローカル5G無線局免許を申請。免許取得後、スマート工場環境下における開発実証を開始
2020/12/21に株式会社エイビットは表記のプレスリリースを公表しました。
(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同様。)
『弊社は、2019年11月より工場の5G化の強いニーズを受け、実験試験局免許で実験を重ね、ノウハウを蓄積してきました。
今後、回路設計から?社で開発した完全国産ローカル5G機器を?いて、スマート?場の5G化を?援していきます。』
⇒このローカル5Gは、また予想されてない様な分野や場面で活用されるのではと期待しています。
また、この活用際を想像力も働かせて予想することは、自社の成長と顧客や社会への新しい価値提供の視点から重要と考えるところです。
・ 日本初!スタンドアローン構成のローカル5G用無線局の予備免許を取得~2020年内にオフィスへのローカル5Gを導入~
2020/10/5にGMOインターネット株式会社は表記のプレスリリースを公表しました。
『この度の予備免許取得を受け、両オフィス内のコミュニケーションスペース「シナジーカフェ GMO Yours」にローカル5G環境の構築を目指します。
2020年内には、社内外のエンジニア・クリエイターをはじめとする多くの方々がローカル5Gを利用できる、5G活用の実験・テスト環境として当該施設の開放を目指します。』
⇒今後、工場などの自社内だけでなく、顧客も取り込んだローカル5Gが、既存の通信プロバイダとどのように共存していくのか要注目と考える次第です。
・ リコーとNEC、5Gの活用により製造業のDXを加速~製造現場にSA型ローカル5G環境を構築~
2020/10/22に株式会社リコーと日本電気株式会社は表記のプレスリリースを公表しました。
『リコーが2020年12月を目途にSub6(6GHz未満)帯域のローカル5G免許を申請の上、NECがネットワーク機器(コア、基地局等)を提供し、複合機やプロダクションプリンター、インク、トナーカートリッジなどを生産するリコーインダストリー東北事業所にSA(Stand Alone)型ローカル5G環境を構築します。
これにより5Gの特徴である高速・低遅延・多数同時接続といった特徴を、既存のネットワークとは干渉しない無線周波数帯にて実現します。
遠隔から現場担当者へのシームレスな接続による技術支援や機器制御、工場内データの完全見える化といった実効果を狙うだけでなく、高精細ライブ映像を活用した工場見学といった新たな顧客体験の実現を目指します。』
⇒キャリアと、ローカルの5G普及状況が相互に与える影響も気になるところですが、「遅延の少なさ」の活用が鍵の一つになるとに感じさせられます。
2020/11/2に株式会社インターネットイニシアティブは表記のプレスリリースを公表しました。
『5G SA対応eSIMは、IIJのフルMVNO基盤で提供するサービスや、ローカル5GにおけるIoT/M2M用途などを想定しており、IIJでは、製造業の工場や流通倉庫、医療現場など今後需要が見込まれる分野で、お客様のローカル5G導入を支援してまいります。』
⇒スマートフォンやPC以外の分野でも5G活用が進む様子が窺えるかと思います。
・東芝府中事業所におけるローカル5G免許取得について-ローカル5G活用によるスマートファクトリーのトライアルサービスを開始-
2020/11/16に株式会社東芝は、表記のプレスリリースを公表しました。
『来年以降は、大容量映像伝送や、AGV(無人搬送車)制御、作業員の各種データの収集解析を行うIoH(Internet of Human)等、ローカル5Gの特徴を生かした、スマートファクトリーに欠かせないソリューションを中心に、製造現場にて順次トライアルサービスを行っていきます。
また、量子暗号通信やリアルタイム仮想化等、東芝グループ内で取り組んでいる研究開発技術の実証や、スタートアップを含めたパートナー企業との共創も順次進めることで、インフラサービスカンパニーとして2022年度のローカル5G向け製品およびサービスの事業化を目指します。』
⇒中小企業も含めた製造業の生産性向上や働き方改革、知的資産の活用へ繋がることを期待する次第です。
・北菱電興・ドコモ・金沢工業大学が 5G スマート工場「Smart Smile Factory」を開設~遠隔 MR 会議やバーチャル工場見学の機能を搭載し、“人”中心の DX を実現~
2020/11/12に北菱電興株式会社、株式会社 NTT ドコモ、学校法人金沢工業大学は表記のプレスリリースを公表しました。
『SSF とは、電子機器製造を手掛ける北菱電興のいなほ工場にドコモの 5G エリアを整備し、実際に工場内で従業員が 5G を活用して業務にあたるものです。
工場に関わるすべての人を幸せにする「“人”中心の DX(デジタルトランスフォーメーション)」のコンセプトを実現するため、生産機械効率化のための「Smart」と、従業員のモチベーション向上等のための「Smile」の各種機能を搭載します。』
⇒遅延速度の短縮や大容量通信と、MR(複合現実)を組み合わせたスマート工場。
「人」に着目したDXとのことですが、どの様な効果が出たかのフィードバックも要注目と感じます。
・KDDI、AWSと5Gネットワークエッジで超低遅延を実現する「AWS Wavelength」を12月16日から提供開始
2020/12/16にKDDI株式会社は表記のプレスリリースを公表しました。
『超低遅延の本サービスにより、ゲーム業界では高品質でインタラクティブ性があるクラウドゲーミングサービスの開発・提供、エンターテインメント業界では4K/8K映像の高画質なストリーミングサービスの提供など、多くのお客さまに5Gによる新たなサービスを体験いただけます。』
⇒5Gの低遅延性が、B2BとB2Cの双方で活用される様子が窺えます。
通信容量の小さい分野でも利用先が出てくるものと考える次第です。
2. 自社独自のメディアをリアルとネット双方で考え、既存のメディアと組み合わせる
上記の一連の記事に見るように、ローカル5Gは自社内への導入だけでなく、プラットフォーム化を視野に入れた動きも進められている様子が窺えます。
このローカル5Gなど、5Gの技術とサービスは、現在のオンラインコミュニケーションのあり方を大きく変える可能性を持っているかと思います。
その観点から、自社の顔馴染みの顧客など、自社の目の届く範囲とのコミュニケーションをリアルとネット利用の双方から考える事は、新型コロナ対応だけでなく、5GやVRなどの新技術利用の面からも良い機会ではないかと考えています。
そのためには、以下の記事のような、今後出てくる情報プラットフォームにもアンテナを張っておく必要がありますね。
・コニカミノルタ、IoT・AI技術の開発拠点を大阪に開設 5G通信の実験も
2020/11/6のITmedhiaに表記の記事が掲載されていました。
⇒企業間連携と、研究開発からビジネスまでのプラットフォーム競争が進んでいる事が窺えるかと思います。
・【アナログ×デジタル】全国300店舗はんこ業界大手「はんこ屋さん21」が電子契約サービス「NINJA SIGN」と強力タッグ!
2020/11/16に全国に300店舗のフランチャイズ展開で、印章・印刷物販売を手掛ける「はんこ屋さん21」は表記のプレスリリースを公表しました(PRTIMES_JPより)。
『はんこと電子契約サービスは相反するものと捉えられており、電子サービスの普及ははんこ文化を脅かすものと考えられています。
弊社は電子契約サービスが普及していく中でも印鑑登録を行う実印や法人設立の際に登記する代表取締役印など、はんこの本人確認や意志の担保の手段としての有効性は変わらず、商習慣やライフイベントに寄り添っていくものであると考え、両社は同じく文書成立の証明手段を提供しており、高い親和性をもっていることから、この度NINJA SIGNベンダーであるサイトビジットと提携する運びとなりました。』
⇒リアルとデジタルの事業提携による顧客ニーズ対応としても関心を持つ次第です。
なお、どのような情報発信のプラットフォームを選ぶ際においても、一つのプラットフォームに依存するにはリスクが出てきます。
また、プラットフォーム上での自社の顧客向けカスタマイズの容易さにも注意が必要ですね。
・HelloSign APIを活用してテレワークの生産性を向上させるには? |
2020/11/24のマイナビニュースのDroopbox Japanが2020/11/20に発表したクラウド電子署名ソリューション「HelloSign」を便利に活用できる「HelloSign API」の説明会の紹介記事(著者:岩井健太氏)
⇒サイボウズのkintoneとの連携プラグインなど、他のベンダーとの連携も含めて紹介されています。
私もWordPressでプラグインを使っていますが、契約管理などのカスタマイズにも活用が広がるものと考える次第です。
また、B2BとB2Cの境界が無くなっていく状況下でのメディア選択や顧客接点というヘルスケアや保険の分野での動きも参考になるかと思います。
・オンライン保険相談において、チューリッヒ生命の「リモートペーパーレスシステム」を導入いたしました
2021/1/25に株式会社アドバンスクリエイトは表記のプレスリリースを公表しました。
『これまでオンライン保険相談※において、ご契約される場合はお申込に関する書類を郵送で取り交わす必要があり、保障開始が遅くなる傾向にありました。
当社とチューリッヒ生命では、かねてからこの問題を解決するために取り組んでおりましたが、2021 年 1 月 7 日より「リモートペーパーレスシステム」の運用を開始することとなりました。このシステムを利用することにより、オンライン保険相談からお申込みされる場合には、そのままオンライン上でお申込みを完結いただくことが可能となり、よりスピーディーに保障を提供することができるようになります。』
⇒オフラインからオンラインへの転換だけでなく、両者の統合(OMO)によるトータルソリューションのプラットフォーム化も進む様子が窺えます。
2020/12/16にソニー生命保険株式会社は表記のプレスリリースを公表しました。
『ライフプランナー(営業社員)とお客さまがコミュニケーションを行うための新たなツールとして、また、お客さまに対するリモートでの新しい価値提供の場として、スマートフォンアプリ「ソニー生命 アプリ」(以下、「当社アプリ」)をリリースしました。』
⇒ヘルスケアの分野で、アップルなどと、どの様に棲み分け、競合するのか、ユーザー側もプラットフォーム選びに慎重な検討が必要と感じます。
2020/12/16に楽天インシュアランスプランニング株式会社は表記のプレスリリースを公表しました(PRTIMES_JPより)。
『このたび、本アプリからも、マイページ機能のご利用が可能となり、楽天保険グループ各社でご契約いただいている商品のご契約内容の変更手続きやご相談をワンストップでご利用いただくことができます。
また、最新のキャンペーン情報や、日常に役立つお金の知識などに関するコンテンツ「もしものはなし」、年齢や性別を登録すると自分と同じような年代・家族構成の人が加入している保険やファイナンシャルプランナーのアドバイスを確認できる「みんなの保険診断」へ、簡単にアクセスすることができます。』
⇒保険のように、特定の時期・場合に情報が必要となるものだけでなく、日常役に立つコンテンツの提供が、これら企業の窓口アプリが選択されるかの分かれ目になるのではと考える次第です。
上記の様な異業種の動きも参考にするためには、まずは共通するであろう課題について仮設を立てて、関連するキーワードでGoogleアラートによるネットからの情報収集とその分野の専門家からの情報を収集する事が効率的かと思います。
その仮説を立てる上で、世の中の動きと自社の将来像を明確化し、それに至る道筋を考えるツールとして、SWOT分析、知的資産経営報告書や経営デザインシートの活用もお勧めする次第です。
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