信号機の5G中継機利用構想にみる既存インフラ活用と、機敏な対応の重要性
【今日のポイント】
AI・IoTにおいて重要性を増している5G。 そのインフラ整備に既存の信号機の活用も検討されています。
技術や市場の変化のスピードが増す中で、インフラ構築時のグランドデザインと、変化への機敏な対応の重要性が高まってきていることを感じます。
2018/6/7の日本経済新聞に表記の記事が掲載されていました。
(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同様。)
『政府は7日のIT総合戦略本部に信号機を次世代通信規格「5G」の基地局として利用するなどを柱にした新しいIT(情報技術)戦略を示した。』
上記の記事の会議は以下のものです。
『第76回高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部 第7回官民データ活用推進戦略会議 合同会議』
信号機の活用に関する記載の資料はこちら
「デジタル時代の新たなIT政策大綱(案)」の概要はこちら
オープンデータ基本指針の改定案も出ています
現時点での国のIT政策と、その中で5Gなどをどのように位置付けているかを俯瞰する参考になるかと思います。
● 既存インフラの有効活用
以下の本ブログでも取り上げたように、中部電力が以前、電柱をIoTのインフラとして利用すると発表しましたが、既存インフラの活用はAI・IoTでも広がっていることが窺えます
『中部電力のIOTに見る既存インフラの活用と将来のインフラ整備』
また、2019/5/28にはコマツが
『コマツ 建設現場のデジタルトランスフォーメーションを加速 NTTドコモのGNSS位置補正情報配信基盤を活用』
との題で、高度なICT機能を備えた司令塔となる建機と、ICT機能を付加するキットを取り付け既存の建機を組み合わせて、建設工事をデジタル化するシステムをリリースしましたが、ICT、IoTによる、既存インフラの有効活用への取り組みが進んでいることが窺われます。
● グランドデザインを描きつつも拘泥せずに機敏に状況変化に対応する
上記のように、既存インフラの利活用、他の分野への応用などが進む中では、最初のインフラ構築時に、どこまで当初の目的以外の利用や当初の目的の変化を想定するかは今まで以上に大切かつ困難になってくるかと思います。
以前の本ブログのトピックス
『トヨタの車間通信技術米国導入棚上げにみるエコシステム間競争における通信規格の影響拡大』
の中で、トヨタ自動車の、米国における車間通信技術「DSRC」搭載計画中止の記事から、
日本の中で技術力を磨き、実績を積んでから世界に打って出るというビジネスモデル(国際競争モデル)が、世界の技術革新と社会実装のスピードに追いつかなくなって来ている可能性が、の5G等の通信規格だけではなくAI・IoT、XRなどの分野にもあるのではないかとお伝えしましたが、
自社事業のインフラ構築において、グランドデザインを描きつつも、競合技術の動向を見ながら機敏に対応することが欠かせなくなってきており、その手段の1つとして社内外の既存インフラの活用も選択肢の一つとなるかと思います。
そして、状況変化への対応や既存インフラ活用を円滑、迅速に進めるための準備として、知的資産経営報告書による自社の知的資産の棚卸しとその使い方の検討利用も有効な手段と考える次第です。
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● 本ブログの関連トピックス
・『中部電力のIOTに見る既存インフラの活用と将来のインフラ整備』
電柱を活用した稲作支援、やスマートフォンによる市民からの社会インフラのトラブル情報提供、コンビニが新たな防災拠点としての役割を果たす可能性など、もともとの目的とは異なる機能を果たすインフラがネット、リアルを問わず現れて来ています。
自社の事業においても、事業に必要なインフラについて、コンビニ、スマメ、スマホ、学校など世の中に普及しているものを新しいインフラとしてその活用を考えることが必要となってきています。
・『コマツの取り組みにみる人手不足解消からのプラットフォーム構築方法』
コマツとドコモによる、既存の古い建機のICT化サービス。
人手不足解消のための自動化・省力化に合わせて、建機の寿命を延ばすという点では環境問題へのソリューションにもなり得るものと思います。
社会課題側から、AI・IoTのプラットフォームを構築する方法としても参考になります。
・『トヨタの車間通信技術米国導入棚上げにみるエコシステム間競争における通信規格の影響拡大』
トヨタ自動車の、米国における車間通信技術「DSRC」搭載計画中止の記事。
V2Xにおける5Gとの競争の状況は厳しいようです。
業界横断的なエコシステムの構築競争において、他のインフラやサービスと連携するための通信規格の影響が拡大していることが窺えます。
・『イスラエルの「交通状況の先読み」サービス開発に想う、スマートシティの影響予測』
幅広く、今は中々想定できないような影響を及ぼすスマート化という流れも、AI・IoTのように今後モニタリングしていくために、普段からネットなどでアンテナを張って情報収集するとともに、
知的資産経営報告書の作成・更新の機会を活用して、自社への中長期の影響を検討することは、今後重要性を増すものと考える次第です。
・『モランディ橋の崩落事故に考える「既存インフラと新技術の合わせ技」』
SWOT分析の「自社の強み」×「外部環境における自社にとっての機会」から新しいビジネスを考える方法の一つとなりますが、
「自社の知的資産」×「今は自社事業に使っていない(関係ないと考えている)世の中に既にあるインフラ」=「自社の新しい強みとお客様への提供価値」
という考え方で、ビジネスチャンスや商品・サービス開発を考えることも有効です。