株式会社オデッセイの人材マネジメントツールにみる他社の知見と有効活用
● 容易に職務定義を作成し効果的なタレントマネジメントを実現できるソリューション「Ulysses/TMコンピテンシーモデル」の提供を開始
2018/9/28に株式会社オデッセイは表記のリリースを行いました。
(引用は『』でくくります。 太字と改行は筆者挿入、以下同様)
『人事領域(SAP)に特化したコンサルティング事業を手掛ける株式会社オデッセイ(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:秋葉 尊、以下オデッセイ)は、20年以上の実績とノウハウを反映した独自のテンプレート「Ulysses(※1) for SuccessFactors(※2)」と日本アイ・ビー・エム株式会社(以下、日本IBM)が提供する3,000種類以上の職務とそこで求められるコンピテンシーを定義・体系化したライブラリー「IBM Kenexa Talent Frameworks」を活用し、容易に職務定義を作成し効果的なタレントマネジメントを実現できるソリューション「Ulysses/TMコンピテンシーモデル」の提供を2018年9月28日(金)より開始開始いたします。』
と、日本IBMのコンピテンシーに関するライブラリーと自社のテンプレートを組み合わせてコンピテンシー評価を行うソリューションを提供するものです。
『本プランは、20業種、2700超のポジションに対する150 の基本コンピテンシー(* Leadership* Management* Interpersonal* Business)と1,800超の機能別コンピテンシー(* Functional Skills* Technical Skills)が定義されており、どのお客様でも活用することができます。また、高品質かつスピーディー、低負荷での職務定義の作成が実現可能となります。さらに、SAP SuccessFactorsの導入時に職務定義を活用することで、職務定義と従業員のスキル・コンピテンシーを比較/マッチングすることが可能になり、効果的なタレントマネジメントを実施することができます。』
上記ソリューションによって、自社のコンピテンシーに関する標準化およびカスタマイズの能力(テンプレート)と、IBMの職務定義に関するコンテンツの組み合わせによるコンピテンシー管理を用いて、人材の評価と活用を進めることが可能になることを謳っています。
コンピテンシー評価は、社員の行動特性に注目した評価手法ですが、例えばAIとの組み合わせについては、以下のようなサービスも公表されていますね。
「社員のコンピテンシー評価を可能とする日本初のAIによる人材評価ツール「マシンアセスメント」の提供を開始」
2018/5/16 株式会社ヒトラボジェイピー
AI(テキストマイニング)の利用により、人材の評価(アセスメント)にかける時間と費用を約10分の1に削減できると謳っています。
● 他社のコンテンツを自社で料理して提供
コンピテンシーの評価システムとしては、富士通がかなり以前から社内でコンピテンシー評価システムを利用し、外販も行っていますが、オデッセイ社のソリューションは、全てを内製するのではなく、職務定義の文化を持つ外資との提携により、コンテンツを充実させた事例と言えます。
自社でデータやコンテンツを持つという方法と、他社のコンテンツを料理して価値を提供するという両方の方法があることを示しているわけですが、
特に、その企業独自のコンテンツというだけでなく、米国企業の子会社ということで、その国の文化的な資産も持っている企業との連携という点でも興味深いですね。
● 材料を提供するか、料理する側に回るか
上記のオデッセイは、他社のコンテンツを自社のテンプレートに乗せるという形で料理して提供するモデルですが、
逆に自社内のコンテンツや顧客といった資産を提供して他社に料理してもらうという方法もありえます。
知的資産経営のおける他社との提携戦略についても、自社の知的資産は料理の材料か、料理の方法やツールか、そのどちら側に回るかによって、組む相手も変わってくるかと思います。
また、同じ知的資産でもツールとして他社や顧客の持つコンテンツを料理(加工)する場合と、ツール自体を材料として提供し、ツールを使うのは相手(他社または顧客自身)にお任せするという場合の双方を使い分けできることも考えられます。
知的資産の活用方法を広げるという視点からも、検討してみることをお勧めする次第です。
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