リクルートのAIによる契約レビュー企業への出資にみる「定形作業代替の次に来るもの」

契約書レビュー 自動化 AI

● リクルート、人工知能による弁護士・法務の一部業務の自動化サービスを提供するLegalogic Ltd.への出資を実施

2018/3/9 リクルートホールディングスは表記のリリースを公表しました。

https://recruit-holdings.co.jp/news_data/release/2017/0308_17233.html
(引用は『』でくくります。 太字と改行は筆者挿入、以下同様)

出資先のLegalogic Ltd.は本社を イスラエル、テルアヴィヴに置くスタートアップ企業で、企業法務業務における契約書レビュー、及び修正を自動で行うサービスLawGeex(ローギークス)を運営しています。

『複数の機械学習手法をベースに、6万件以上の実契約書を学習し、その上でアルゴリズムの改善を行うことで、いち早く商用利用可能な品質を実現しています。さらに、法務担当者の修正結果を反映させることで、その企業特有の表現や用語を学習し、より高い精度でレビューを行います。現時点では、守秘義務契約や雇用契約をはじめとした30種類以上の契約書に対応しており、15社以上の導入実績があります。導入企業においては、レビュー所要時間を1/30に削減、外部発注額を1/10に圧縮などのビジネス効果が出ています。』


・複数のAI機能を用いて、
・6万件(2018年3月時点)以上の実際契約書を学習済み
・アウトプットを法務担当者が更にチェックすることで、ユーザー企業固有の表現等を学習してカスタマイズされていく
といった特徴を持ち、
既にかなりの採用実績と、契約書のレビュー時間の大幅短縮を可能にしているようです。
 

● 契約書のレビューというAIの適用先

『契約書作成支援サービスに考える「AI時代に職を奪われないためのスキル」』
https://wp.me/p9D2bS-Bm

でウエストロー・ジャパンやリーガル・フォースが提供する契約書作成やレビューを支援するサービスについてご紹介しましたが、今回のLegalogic Ltd.以外に、GVA法律事務所が運営しているAI-CONというサービスも、人工知能とクラウドソフトウェアによって、契約書レビューを大幅に効率化することを謳っています。

興味深いのは、同社も弁護士が最終的なチェックを行っているとしているという点で、ある意味AIと人間の協業の一例ではないかと感じました。

このように、「リーガルテック」という言葉もフィンテック同様かなり耳にするようになり、複数の企業から契約書のレビューにAIを適用したサービスが提供され始めている背景には、

・多くの企業が自社内に大量の契約を既に持っている(=データがある)。
 しかも、最終の契約書は紙だとしても、契約案はたいてい電子ファイルになっていますので、AIによる処理には都合が良い。

・契約書は種類ごとに内容は異なっていても、入れるべき項目などは大体決まっている(ひな形を使っている企業も多い)。

・交渉相手とのやり取り、あるいは以前に締結した契約書との比較といった、「一から作る」作業以外の「比較検討する作業」が多い

といった契約書関連業務の特徴が、AIとの親和性が高い理由になっているものと推察されます。

● 定形作業の自動化の次にくるものを考える

先程の、『契約書作成支援サービスに考える「AI時代に職を奪われないためのスキル」』
https://wp.me/p9D2bS-Bm

では、今後定型的な業務を自動化することで、法務部門や弁護士などが、企業内や取引先とのコミュニケーションなど、より高度な業務に専念できるようになること、逆にコミュニケーションスキルや、社内外のニーズを汲み取って適切なアドバイスができる提案力などが今後さらに高いレベルで要求されるようになることをお話しましたが、

現在大手企業などで導入が始まっているPRA(ロボティクス・プロセス・オートメーション)がかなり単純な業務の処理作業を自動化するものであるなら、

それに続くところは、ある程度簡単な判断まで自動化するためのAIの利用、特に既にAIに学習させるためのデータが揃っていて、判断の種類もパターン化出来るような業務となることは容易に想像がつくところかと思います。

そしてそのような業務の一つの事例が今回の契約書レビュー支援のサービスですが、もう一つ重要なのは、最終チェックを人間(専門家)が行うことで、更に自社のニーズに合わせたカスタマイズが可能になるという点かと思います。

最近は、中小企業向けにもAI・IoT関連のサービスが出てきていますが、上記のように定形作業の自動化の次にくるものは何かを考えることは、自社の生産性向上や人材不足への対応はもちろんのこと、新しい事業のチャンス、あるいは自社のサービスがAIによって代替されるリスクの双方を考える上でも重要になってきていると改めて感じた次第です。

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