シェアキッチンの解説記事にみる「ニーズ分解」による具体的打ち手の検討方法
【今日のポイント】
シェアリング・エコノミーは「所有から使用へ」の視点から語られることが多いですが、顧客や自社のニーズをTPOや利用・提供プロセスごとに分解して、個別にマッチングを考えることで、具体的な打ち手が見えてくるかと思います。
2019/2/10のライブドアブログに表記のトピックスが掲載されていました。
日本とカナダでシェアハウスなどの事業を展開されているBlue Tree Management 株式会社の代表取締役 岡本裕明氏のブログです。
(引用は『』でくくります。 改行は筆者挿入、以下同様)
『2月6日付の日経の首都圏経済欄に小さな記事があります。「ジェクトワン、豊島区にシェアキッチン 飲食店の起業支援 」。
ハッと見て、なんだ、こんなものも記事になるのか、と思ったのはこのシェアキッチンを提供する建物はかつて私が買収を試みた案件だし、今回のアイディアも不動産会社を通じてもよく聞いていたからです。』
と、シェアハウスならぬ、キッチンシェアの取り組みを他の事例も挙げて紹介しています。
岡本氏は、キッチンシェアは今後、3年-5年でかなり増加するビジネス形態になるとの見込みを述べています。
ちなみにこのブログで採り上げられている日経の記事は、以下の
「東京・豊島区にシェアキッチン、飲食店の起業支援」です。
『不動産会社のジェクトワン(東京・渋谷)は起業支援施設のシェアキッチンの運営を東京都豊島区で始めた。区から補助金を受け、南長崎地区のビルを改修した。
飲食店などを起業したい食品衛生責任者の資格を持つ人に曜日や時間帯に分けて施設を貸し出し、営業できるようにした。空き店舗が目立つ商店街の活性化につなげる狙いだ。』
●ニーズ分解の効果
今回の記事を含めて、シェアリング・エコノミー関連のビジネスでは、
「所有から使用へ」という流れだけでなく、サプライヤーとユーザー双方のニーズをTPOで細かく分解すると新しいマッチングが見えてくるかと思います。
キッチンシェアなら、特定の曜日や時間、あるいは何か特別な食材が手に入ったときだけお店を使いたいといったニーズと、お店を貸したいが中々貸し先が見つからない、あるいは自分も土日だけ営業したいなどとの貸し側の細切れのニーズをマッチングすることで、従来は成立しなかったキッチン貸出が可能となっているわけです。
Uber Eatsなど、レストランのマッチングビジネスや、以前
「「恵方巻き」とフードロス(食品廃棄)から考えるビジネスチャンス」
でご紹介した、最寄りの店やレストランによる余った食品の投げ売りを知らせる、goMktと呼ばれる新しいiPhoneアプリなども、サプライヤー側のニーズを分解してマッチングを行うビジネスと言うことができますね。
いわゆるサブスクリプション(定額の課金)も同様なしくみかと思います。
ただ、マイクロソフトオフィスのサブスクリプションは、自動車保険などからみると、ユーザーニーズの分解と対応がまだ不十分と感じています。
今はソフトの使用といいつつも、所有と更新に課金していますが、これが使用量(時間、データ量など)に応じた課金と選択できるように変わると、ヘビーユーザーとライトユーザーそれぞれにとって使いやすくなり、買い切りに対するベネフィットが見えて来やすいのではないかとも感じています。
●自社の顧客ニーズと自社のニーズを分解してみる
自分の現在のお客様の自社商品・サービスの使い方を見てみると、使っていない時間や場合、あるいは利用するフロー自体の分解によって、よく使われるプロセス、使われにくいプロセスなどが見えてくるかと思います。
それをヒントに、逆に時間・場所・プロセスにおいて細切れのニーズを持っている潜在顧客や市場を探すことも可能になってきますね。
また、稼働率という視点からは、自社の設備や要員といった経営資源の動きを注意深く管理されているかと思いますが、自社の中長期を含めた事業ニーズという視点からも分解してみることは可能かと思います。
このようなニーズの分解とマッチングから、知的資産経営報告書の価値創造ストーリー作成において、新しい事業ストーリーが生まれてくる可能性を、シェアリング・エコノミーの記事に見た次第です。
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