映像とＡＩの組み合わせに見る、ライフサイクルにおける「使いみち」の拡大期

●　4K/8K、IoT、AIの時代、映像が社会に与えるインパクトと悩ましい問題

2017年11月13日のIT Specialに、表記の記事が掲載されていました。
http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1711/13/news017.html

（引用は「」でくくります。　改行は筆者挿入、以下同様）

「映像の、デジタルデータとしての管理は急速に進んでいる。さらに最近では、デジタル管理に加え、AIの適用も始まりつつある。映像の高精細化とAIが合わさると、従来はできなかったこと、想像もしなかったようなことが、次々に実現していくことになる。」
として、
「監視カメラやネットワークカメラを分析し、マーケティングや販売促進に役立てようという取り組み」の例として「取得した映像にAI処理を組み合わせ、新たな広告メディアの可能性を探る動き」や「店舗でも交通量調査を活用し、例えばカーディーラーの前の道路を走る自動車の総数、メーカー別、車種別の数を曜日や時間帯別に計測することで、マーケティングや販売促進活動に生かせる」
「小売店舗内では、客層（男女、年齢層など）の正確な把握、店舗内での利用客の動きを分析することによる店舗最適化なども考えられる。」
など、防犯等のための映像データの他の目的での活用事例などを紹介しています。

この記事自体は、映像・画像の活用に必要なデータ管理上の課題とそのソリューションを紹介する、いわゆる「広告記事」ですが、ＡＩ・ＩｏＴとその周辺技術（ストレージやネットワーク・通信など）が進展することで新しい使いみちが生まれ、更にその使いみちが新しい技術課題や事業課題を産んで、それが次の技術開発や新規ビジネスのネタになるという循環を伺わせています。

●　ドライブレコーダーとＡＩ

ITmediaでは、2017年10月04日付の「ドラレコの映像から危険運転をAIで検知、NTT Comなどが実証」で、

NTTコミュニケーションズと日本カーソリューションズが、ドライブレコーダーの映像から、ディープラーニングを活用し、一時停止違反など、交通違反につながるヒヤリハットを検知する技術を共同開発したことを報じています。
http://www.itmedia.co.jp/enterprise/articles/1710/04/news093.html

ドライブレコーダー自身が、従来の危険防止以外にも高画質化によって「動画の録画とSNSへの投稿」など、色々な使い道が広がっている商品ですので、ＡＩとの組み合わせによって更にどのような使い方が出てくるのか、興味が湧いてきますね。

●　「旬な技術」と「使いみちのライフサイクル」

上記の事例のように、ＡＩ・ＩｏＴが最近非常に大きく、また頻繁に取り上げられているのは、
「技術の発展」⇒「新しい使いみち（用途）の開発、発見」⇒「新しい課題」⇒「技術開発、ビジネスモデルの進化」
という一連の循環によって、多種多様な用途が生まれ続けていることが大きな要因であることは、間違いのないところだと思います。

技術そのものの進展だけでなく、「使い方、使いみち」もライフサイクルの「成長期」にあることが、ＡＩ・ＩｏＴがこれだけ広く注目を浴びていることからも伺えますね。

●　使いみちのライフサイクルから自社商品を振り返る

ＡＩ・ＩｏＴにかぎらず、技術やビジネスモデルのライフサイクルとその用途（使いみち）のライフサイクルは密接な関係にあるといえるかと思います。

自社のビジネス、商品のライフサイクルを考える際に、その商品に使われている技術の成熟度だけでなく、「お客様の自社商品の使いみちが広がっているか」、「今まで異なる使い方（そのような使い方をするお客）が現れていないか」
という視点からライフサイクルを見ていくことは、自社のリソースとは別のサイドから見ることになりますので、より幅広い視野で自社の商品やビジネスモデルを評価することにつながるかと思います。

知的資産経営報告書の価値創造ストーリーを描く際にも、現在の知的資産⇒強み⇒お客への提供価値のうちの「提供価値」を、「使いみちの広がり」という視点からみて、ライフサイクルの成長期に乗せていくというスタンスで検討することは、自社の成長の継続を図る上で有効な方法かと考える次第です。

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