日立製作所の地域包括ケアにみる、複数の打合せ打ち手の組合せ方
【今日のポイント】
日立製作所と阪急阪神HDグループが共同で始める地域包括ケア支援サービス。
名称の説明からも、多くの関係者のネットワーク構築とシームレスな連携を意図しています。
複数の打ち手を組み合わせる際のスキーム設計と運用例としても注目する次第です。
● 阪急阪神ホールディングスグループと日立製作所が共同で地域包括ケア支援サービス『阪急阪神みなとわ』の提供を開始
~在宅ケアの情報をつなぎ、高齢者の生活をサポートします~
2019/7/30に、日立製作所と阪急阪神ホールディングス、ライフデザイン阪急阪神は表記のリリースを公表しました。
(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同様。)
『 阪急阪神ホールディングス株式会社(代表取締役社長:杉山健博)と株式会社ライフデザイン阪急阪神(代表取締役:上田均)、株式会社日立製作所(執行役社長兼CEO:東原敏昭)の3社は、在宅ケアの情報を介護サービス事業所や医療機関等の関係者間で共有し、一体となって要介護者等*をサポートする、地域包括ケア支援サービス『阪急阪神みなとわ』の提供を7月31日(水)より開始します。
(中略)
本サービスでは、パソコンやタブレット端末、スマートフォンを使って、在宅ケアに必要な介護情報や生活情報を、要介護者等の同意に基づき、在宅ケアの関係者間限定で共有できるようになっており、それにより要介護者等の状態が即時に把握できるとともに、掲示板やメッセージ機能を活用して、関係者間の連絡や相談等を簡単に行うことができます。さらに、手作業で時間が掛かっていた日々の介護報告についても、簡単な入力で報告書を作成することが可能となります。
このように、阪急阪神沿線において介護サービス事業所と医療機関等が効率的に介護を行える仕組みを提供し、それが普及することにより、要介護者等やそのご家族が満足度の高いサービスを受け、ご自宅で安心して過ごしていただける沿線となることを目指してまいります。』
テレワーク、ペーパーレス化、シームレスな組織間連携など、生産性向上の要素の組み合わせ例としても、その効果が注目されます
サービス概要図はこちら
● プロセス分解と統合によるシームレスな支援
同リリースでは、サービス名称の「阪急阪神みなとわ」について、
『 本サービスの名称「みなとわ」は「皆と輪(みな と わ)」を意味し、要介護者等をサポートするご家族・介護サービス事業所・医療機関など多くの職種の関係者が、ひとつの輪のネットワークとしてつながり、要介護者等を支えるイメージを表現しています。
また、人と人が協力し合うことを表す「和」や、システムの永続性を示す「永遠(とわ)」という意味も込められています。』
と、支援側の連携・ネットワークを重視していることを謳っています。
先日のトピックス
『データサイエンティストが語る生産性にみるプロセスの分解と統合の併用』
で、データサイエンティストが語る生産性向上を図る上でのデータや指標利用の注意点を例にとって、事業や作業をプロセスに分解して具体的な裏付けの基に打ち手を考えることと、上位概念からそれらの打ち手を統合して全体最適を図ることの双方が必要となっていることをお伝えしましたが、今回のサービスにおいても、個別の場面毎のきめ細かな対応とそれを円滑に連携させるシームレスな支援が必要であることが、今回のサービス名称説明からも窺えると思います。
● 円滑な連携に要求される「支援される側の周囲全体を観る視点」
『RPA、介護ロボットにみる「支援する相手の周り」を考える重要性』
の中で、
介護施設における生産性向上においては介護を受ける人と介護者・介護施設、企業の現場とRPAの導入担当者のように、困っている人、その人にとっての問題の周囲にはその人を支援している人、組織があり、そこに課題がある場合も多いことが想定されること、
同じ視点は、介護以外の分野でも生産性向上を図る上で重要であることをお伝えし、
『AI・IoT活用の介護施設にみる生産性向上のポイント>大きく考えて小さく絞る』
では、同じ介護分野で、徹底したAI・IoT導入で労働負担率を4割削減する次世代型介護施設の事例から、現場のキーマン(今回は看護師)に焦点を当てつつ、事業全体の改善についてグランドデザインをしっかり描き、着実に始めることの重要性をお伝えしましたが、
今回の事例においても、支援される側の周囲全体を観る視点から包括的な支援の全体像を描き、さらに関係者毎のニーズや課題に分解して打ち手を考えて、またそれを統合していくという「プロセス分解と統合」のサイクルを回すことの重要性を示唆しているものと考える次第です。
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