「ミドル層のインターンシップ」にみるキャリア選択肢の広がり

【今日のポイント】

京都市の「ミドル層のインターンシップ」制度。中小企業の人材不足対応による地域経済活性化の双方を対象とした施策ですが、

組織に属する個人のキャリアライフの選択肢を広げるものでもあり、人生100年時代における「二毛作」への支援策としても期待する次第です。

大企業社員が中小に「出向」京都市と雇用安定センター協定

2019/7/31の京都新聞に表記の記事が掲載されていました。
(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同様。)

『京都市は29日、産業雇用安定センター(東京都)と「地域企業・担い手交流促進事業」の推進に協力する連携協定を結んだ。

大企業の従業員が中小企業に一定期間「在籍出向」して地域経済の活性化を図る取り組みで、同センターと自治体の協定は全国初となる。』

入社10年目くらいの大手企業社員対象の 「次世代リーダーのレンタル移籍」と、入社30年程度の大企業社員による「ミドル層のインターンシップ」の2つの制度を設けるとのこと。

受入側と送り出す側ともに入念な準備と本人の意識改革が必要と思いますが、この様な人材交流によるキャリアの選択肢の拡大に期待する次第です。

大手企業の社員や大学教員という人材リソースの活用

以前のトピックス
『水産加工業のカイゼンに見る企業OBOGという知的資産の活用』
で、農水産業の新技術導入や生産性向上の取り組みにおいて、製造業など先行している業界の知見を導入する際に、先行業界の企業OBOGを活用することは、今後さらに広がってくるとの予想をお伝えし、

『定年退職した元大学等研究者の活用にみる高齢化社会での高度人材活用』
では、元大学の先生という高度人材の活用は、人材の持つポテンシャルの高さに加えて、その方の業績や能力などが論文、特許、所属していた大学などの公開情報から探ることができるという点もメリットがあること、このように既存情報から能力や適正を把握できる人材の分野という視点から自社の人材(人的資産)の強化を図る方法も検討の価値があることをお伝えしましたが、

今回の記事の「社員によるインターンシップ制度」も、人材活用の選択肢として、また事業承継の後継者選びの選択肢としても検討の価値があると考える次第です。

人材側のニーズと課題

以前に、「ライフシフト(100年時代の人生戦略)と知的資産」
で、ベストセラーとなったLIFE SHIFT(ライフ・シフト)を紹介する際に、

同著が今後の人生100年時代においては、従来のライフサイクル(教育を受け、仕事につき、引退する)から、生涯を通じて「変身」を遂げる必要があり、
そのために人的ネットワークや安定した経済的基盤の構築とそれらを実現するスキル・リテラシーが必要であり、
今後必要とされる資産として、

・生産性資産:経済的な価値を生み出し、かつ希少性のあるスキルと知識、それを得るための経験学習、ポッセ(リアルの仲のよい人間関係の互助組織)を始めとする職業上の社会関係
・活力資産:心身の健康と心理的な幸福感
・変身資産:次のステージに進むための意思と能力であり、深い自己洞察、行動の機会と意思

を挙げていること、これらは、個人だけでなく、組織としても大事な資産になりうることをお話し、

『クオリティ・オブ・ライフの『生涯プロフェッショナル』事業にみる人生100年時代への取り組み』では、「生涯プロフェッショナル」と事業を生産性資産、変身資産を得ることを支援する事業(いわゆる「人生の二毛作」を支援する事業)としてご紹介しましたが、

今回のインターンシップ制度を、インターンシップに応募する社員側からみてみると、40~50代の社員にとって、この制度も人生100年時代における「人生の二毛作」の一つとしての活用が期待できます。

また、
『『日本人の勝算』を読んで-「ライフ・シフト」は他人事ではない!?』
の中で、人生の二毛作、三毛作を可能にする為の再教育や再学習を進める施策、それも強制力を伴ったり、取り組まないと不利になったりする施策が打たれるようになると、社会人に求められる学習能力がさらに高レベルなものになっていくものとの予測をお伝えしましたが、

今回のインターンシップ制度も含めて、このような機会が増えるとともに、それを活用できるように準備することが、組織、個人の双方に求められていることを改めて感じた次第です。

 

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