東大・松尾研発のAI総合研究所、「NABLAS」始動にみる実業と教育の統合の広がり
2018/10/31に、東京大学松尾研究室のメンバーが中心となって設立した「iLect株式会社」がNABLAS株式会社へと社名変更し、AI人材育成から研究開発、導入・運用までを行う、AI技術の総合研究所として事業領域を拡大して活動して行くとのリリースを公表しました。
https://nablas.com/2018/10/31/%e6%9d%b1%e5%a4%a7%e3%83%bb%e6%9d%be%e5%b0%be%e7%a0%94%e7%99%ba%e3%81%aeai%e7%b7%8f%e5%90%88%e7%a0%94%e7%a9%b6%e6%89%80%e3%80%8cnablas%e3%80%8d%e5%a7%8b%e5%8b%95/
(引用は『』でくくります。 太字と改行は筆者挿入、以下同様)
『東京大学松尾研究室のメンバーが中心となって設立した「iLect株式会社」では、主にAI人材育成およびAI用科学計算クラウドサービスを提供してきました。
この度、AI分野での急速なニーズ拡大を受け、NABLAS株式会社へと社名変更すると同時に、AI人材の育成からコンセルティング・研究開発を手がけるAI総合研究所として活動を拡大いたします。これに伴い、中山浩太郎(東京大学松尾研究室リサーチディレクター)が代表取締役として就任し、東京大学内へ本拠地を移しました。』
NABLASの事業は以下の2分野に別れています。
『【iLect事業】
iLect(http://ilect.net)は、東京大学松尾研究室が開発したAI教育コンテンツを大学から正式にライセンスを受けて提供している、唯一の事業者です。
GPU向けの高度な仮想化技術を利用したiLectシステムは、既に大規模な法人向けDeep Learning研修や研究の現場などで利用されています。社名変更した後も、iLectはAI人材育成・科学計算クラウド・プラットフォームの事業ブランドとして継続されます。
AI人材育成活動の要である「iLect Edu」の他、プロフェッショナルのデータサイエンティスト・AI研究者のための「iLect Pro」、企業内・プライベートクラウド向けソリューションの「iLect Enterprise」などを提供しています。
【AIコンサルティング・研究開発事業】
最先端のAI技術、特にDeep Learningの技術を活用したソリューションを提供します。事業へのAI導入や、競争力の高い技術導入による新規事業の立ち上げ、共同研究などを行います。また、iLectによる法人向けAI人材育成プログラムと統合したサービスを展開しており、社内への技術導入・事業展開を強力に支援いたします。』
研究、実事業、人材育成を統合を統合して、AIの普及促進を図るビジネスですね。
● 複数種類のコンテンツの組み合わせ
同社では、ベンチャーとしての事業経験と、AIでは日本の権威である東大松尾研のAI教育コンテンツ、更にAIを実装し、利用する技術的専門性を組み合わせて提供出来るところに強みを持っているかと思います。
この教育・人材育成と、ベンチャー等の事業支援の組み合わせは、例えば経営分野ではグロービス等が以前から行っていますね。
グロービスは更にファンドによる資金提供まで広げて、ワンストップサービスで起業支援や事業支援を勧めています。
AI人材が課題の中、AI・IoTの分野でも、技術面での支援、データ分析等のサービスと人材育成のサービスをまとめて提供する動きが広がるものと予想されます。
● 自社内でスキルを蓄積する過程を人材育成というコンテンツに転用する
上記の例は、もともと大学という研究と教育の双方を担っている機関という優位性を活かしたものと言えますが、
教育機関に限らず、社内のスキル・経験を積み上げるその過程や積み上げたスキル自体を教育コンテンツとして、新しい商品・サービスにしていくことは、他の企業にも適用できる方法かと思います。
「通信講座のセットキャンペーンにみる、効果的な人材育成のヒントとは?」
で、全体と細部、業務フローの両面から人材育成を考えることを、
「ミニメイド・サービスの資格ビジネス進出にみる、知的資産の転用方法」
で、自社の現在の強み(ミニメイド・サービスの場合はブランド)を殺さないで、自社の知的資産を他の分野に転用する方法をご紹介しましたが、
自社の人的資産を維持・強化し、それを形式知化して構造資産に換えていくという知的資産経営の手法そのものを、自社の新たなコンテンツとして新規サービスに展開していくことも、お考えになってみてはいかがかでしょうか?
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