『トヨタの「終身雇用」は困難』にみる生産性向上への期待

【今日のポイント】

トヨタの社長の「終身雇用を守るのは難しい」との発言。逆に労働市場の流動化による賃上げ効果に繋がるとの見方も出ています。

『日本人の勝算』で主張されている最低賃金の全国一律化と引上げなどの動きを注視するとともに、賃上げを可能にする生産性向上を他者に先駆けて進める必要が高まっています。

● トヨタが「終身雇用」を諦めてくれた方が日本の労働者の賃金は上がる
(窪田順生氏:ノンフィクションライター)

2019/5/16のダイヤモンドオンラインに表記のコラム記事が掲載されていました。
(引用は『』でくくります。 太字と改行は筆者挿入、以下同様)

『トヨタ社長が「終身雇用を守るのは難しい」と発言をしたことが、ネット上で大騒動になっている。若い世代ほど「終身雇用」への憧れを持っているのだ。

しかし、実際には企業が終身雇用を放棄した方が、日本人の賃金は上がる。(ノンフィクションライター 窪田順生)』

と、「終身雇用」と「年功賃金(年齢が上がると賃金も上がる、若者は低賃金)」のセットが、日本の労働賃金を国際的にも低水準に抑えて来たこと、

終身雇用という「保障」が無くなれば労働市場の流動性が上がって、優秀な人材を引き止めるために、トヨタなどの大手製造業など大企業を中心に賃金を上げ始め、それが中小企業にも波及していくとの見方を示しています。

先日ご紹介した『『日本人の勝算』を読んで-「ライフ・シフト」は他人事ではない!?』でご紹介した

『『日本人の勝算―人口減少×高齢化×資本主義』デービッド・アトキンソン 著
では、
最低賃金を引き上げることで、下から順に賃金の引上げによる生産性向上が人口減少が進む日本では必要と述べていますが、

順序は逆になるものの、賃金の引上げが現在の日本では必要なこと、また賃金引き上げにより生産性の低い企業やブラック企業の市場退出を促す効果があることは共通しています。

● 賃上げが可能な生産性向上への備え

『日本人の勝算』で述べられているような、全国一律な最低賃金制度とその金額の段階的引上げを実現する政策が実際に取られるかについてはまだ不確定要素が大きいですが、

今回のトヨタのように、終身雇用を諦める方向で検討する企業が増えてくれば、人材の獲得競争が促進され、賃金の上昇に繋がる可能性は高いかと思います。

いずれの方向にせよ、今後賃金を上げられる企業と上げられない企業の格差は大きくなってくることは間違いのないことかと思います。

知的資産経営における人的資産の重要性が高まるとともに、賃上げを可能にする生産性向上の面から、他の構造資産や関係資産を従来以上に活用し、競争力を高めることが求められて来ますので、最低賃金などの制度の動向を注視すると共に、前もって生産性向上への取り組みを加速することが重要と考える次第です。

 

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