AIによる人材採用記事にみる知見と知恵の流れ
● 蓄積した2200万件の評価データをもとに、採用候補者の「成長ポテンシャル」と「安定性」を即時予測 採用適性検査ツール「GROW360採用」を10月22日よりサービス開始(IT導入補助金適用)
2018/10/22にInstitution for a Global Society 株式会社は表記のプレスリリースを公表しました。
(引用は『』でくくります。 太字と改行は筆者挿入、以下同様)
『「GROW360採⽤」は、個⼈の能⼒をAIで定量化・可視化すると共に、採⽤候補者の適性を予測できる採⽤適性検査ツールです。
受検者は、コンピテンシー(⾏動特性)と気質診断(BIG5)及びスキルの360度評価をスマホで実施。
受検が完了すると、採⽤担当者の補助となるような独⾃のスコアで候補者の「成⻑ポテンシャル」と「安定性」が予測されます。』
同社のHPをみると、「人を幸せにする評価と教育で、幸せを作る人、をつくる」
というビジョンを掲げて、
新卒採用評価ツールやAIを使った自動採点ステムなどの特徴を備えたTOEFL形式のオンライン英語学習プラットフォーム、学校を「世界標準」レベルの教育機関に変革するサポートなどのサービスを展開しています。
このようなスタートアップが日本からも出てきているというのは心強いですね。
● 既存の顧客から得た知見を新規市場向けに展開
同リリース記事では、
『これまでは、予測のためには教師データが必要のため、各社の優秀層の能⼒分析が必要でした。
しかし、GROW360は2200万件の評価データを蓄積 してきたため、労働市場をベースとした活躍予測や安定性予測が可能になりました。
そのため少⼈数の採⽤にも対応 ができるようになっております。』
と、既存の顧客サービスから得た評価データを活用して少人数の採用など中小企業でも利用可能なサービスを展開しています。
高級版から普及版へのラインアップ戦略とも言えるかと思います。
● 「知の流れ」を意識して成長戦略を描く
「豊岡でのトヨタ式「カイゼン」による農業の生産性向上 にみる知恵の流れとフィードバックの重要性」
や、
「AIによる契約作成サービスにみる知恵の流れとプロセス」
で、自社の課題を既に解決している先進分野の手法や知見を導入する、
また、その際にプロセス毎にブレークダウンすることで、新しい技術や知見をどこに取り入れれば良いかが見えてくるという点についてお話しましたが、
今回の事例は、B2Bにおけるデータ活用サービスでの既存の知的資産である自社のデータを他の市場に展開しているものと言うことが出来るかと思います。
これは、大企業向けから中小企業向けへの展開だけでなく、
業務用のサービスを、個人向けに展開する(B2BからB2Cへ)にも使える手法ですね。
いまある知的資産を棚卸しして、新しい活用先を考えることに加えて、
始めから将来の新規市場への展開を考えながら知的資産の蓄積を図ることも重要かと考える次第です。