ソニーの新型スピーカーにみる、ユーザーの使い方・楽しみ方を変える方法

【今日のポイント】

ソニーのヘッドホンからユーザーをスピーカーに振り向かせるという試み。

新商品の開発において、ユーザーに新しい使い方や楽しみ方を提案する際に、「感性×パーソナライズ×本格派」という切り口から顧客視点で考えることは有効な手段となり得ます。

ヘッドホン志向強い若者振り向かせたい、ソニーがスピーカーで画期的提案

2019/9/19の日経×TECHに表記の記事が掲載されていました。
(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同様。)

『ソニーが「IFA 2019」(ドイツ・ベルリン、2019年9月6~11日)で発表したニアフィールド・パワードスピーカー「SA-Z1」には、現在のオーディオのトレンドを大きく変えようという野望が秘められている。

「ニアフィールド」とは近接聴の意味だ。つまり、ソファーに座って数メートル先の大きなスピーカーの音を聴くのではなく、机の上にスピーカーを置いて、箱庭的な音場で聴く。そして「パワードスピーカー」とはアンプを内蔵したスピーカーのことである。』

ターゲットは個人のオーディオ愛好家との事ですが、指向性マイクと組合せれば、TV会議やweb講義など、仕事や学習にも応用出来る技術と感じた次第です

ユーザーの使い方・楽しみ方を変えるという目標、視点

同記事では、以下のようにユーザーの音楽の聴き方をヘッドホンからスピーカーに取り戻すという、「使い方・楽しみ方の提案」も目指していることを報じています。

『このスピーカーにはもうひとつ、戦略的な野望がある。
「ユーザーをヘッドホンからスピーカーに取り戻す」である。

ソニーの担当者はこう言う。
「若者ユーザーはヘッドホン・イヤホン志向が非常に強く、なかなか大きなスピーカーとアンプという通常のオーディオ機器に振り向いてくれません。

そこで、考えを根本的に変えました。ヘッドホンと同じく非常に解像度の高い音を空間で聴くと、より楽しいことが分かってもらえるように、大きなシステムではなく、敷居が低い“机上のニアフィールド”にしたのです」。』

ソニーはかつて「ウォークマン」でヘッドホンを使って屋外に音楽を持ち出すという「新しい音楽の楽しみ方=ライフスタイル」を提案しましたが、

今度は、「より高品質な音楽を、屋内で手軽に楽しむ」というライフスタイルを提案しようとしています。

このように、ユーザーの使い方が変わると、そこに新しい価値が生まれることは、古くは女学生のポケベル(最近、サービスが終了しましたね)などに見られた、普遍的なものかと思います。

「感性×パーソナライズ×本格派」という切り口で考える

上記のように、「ユーザーに新しい使い方、楽しみ方を提案する」際に、ソニーのような「感性×パーソナライズ×本格派」という切り口から自社の商品・サービスの使い方や提供価値を見直すことは、一つの有効な手段となります。

『ソニーのREON POCKETにみる「個人の感覚のデザインから感情のデザイン」への流れ』
で取り上げた、ソニーの携帯型空調機 「REON POCKET」や、

TACのデジタル教材アプリに考える、ペーパレス化による顧客接点強化』でご紹介した電子教材によるパーソナライズ化のための情報収集、

学生や社会人の学習におけるe-Learningとリアルな授業との組み合わせなども、上記の「感性×パーソナライズ×本格派」という切り口で考えると、新しい改善・改良につながってくるかと思います。

また、

『リクルートのスタディサプリにみる顧客生涯価値の高め方』
でご紹介した、リクルートのオンライン学習コンテンツの提供方法は、

「パーソナライズ」は個々人だけでなく、顧客の時間軸による変化に対応することも含まれることを示しています。

知的資産経営報告書のSWOT分析においても、外部環境の変化による顧客の変化への対応を、パーソナライズ化という視点で見ながら、そこに感性や本格派といった視点からの高付加価値化を検討することをお勧めする次第です。

 

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