マルケト社長インタビューに考えるPDCAの改善とプロセス管理
● なぜ、「デジタル」を使いこなせない営業が多いのか–マルケト福田社長に聞く
2018/9/24 CNETJapanに表記の記事が掲載されていました。
マーケティングオートメーション(MA)大手のマルケト代表取締役社長/アジア太平洋日本地域担当プレジデントである福田康隆氏へのインタビュー記事です。
(引用は『』でくくります。 太字と改行は筆者挿入、以下同様)
『いわゆる“デジタル武装”という文脈では、ここ4~5年で変化が起きています。
ご承知のとおり、営業マンが自身の業務生産性を高めるために、外出先ではモバイル経由でメール確認や社内SNSを活用しています。
ただ、顧客に対するデジタル化はまったく進んでいません。
先進的な企業の方とお話しても、セミナーやイベント開催、リストからのアウトバウンド(電話によるアポイントメント獲得)など、原始的なやり方がまだまだ多く見られますし、営業の数を増やしてカバレッジを高める企業が多いと感じます。
これでは人の採用も追いつかないし、企業成長に合わせて採用数を増やしても営業利益につながりません。
(中略)
10年ほど前であれば、多くの企業は既存のカタログをウェブに掲載し、顧客も詳しい話は営業マンに聞くといった状況がありました。しかし、現在は顧客側にもデジタルの波が訪れており、情報収集はオンラインで済ましています。そのため、営業がコンタクトしてもすでに遅く、ウェブ上で5~6社の製品を選定し、営業と話すのは3社に絞り込んだ後です。つまり、リーチの素早さや顧客が持つ本当の関心はどれなのか、といった情報を理解した上で連絡しないと徒労に終わってしまうのです。この文脈でMAの価値が発揮されます。
MAはフォーム入力前の動きもトラッキングしているため、顧客の関心度を絞り込みやすくなります。そうすれば、電話する前に顧客とのコミュニケーション形成に要する時間も短縮できるでしょう。やはり顧客は自分のことを理解してくれる相手に時間を割きたいと考えます。』
と、顧客に対するデジタル化として、顧客の関心度を把握してその関心度に応じた対応を行うこと、また、顧客の方もデジタル化を進めているので、顧客の購買行動のスピードアップについていけるだけの素早さも必要となっていることを説いています。
● 顧客を理解し、理解していることを顧客に伝えるコミュニケーション
デジタルツールの利用においては、社内の業務効率化と同じく、顧客へのリーチ、顧客の関心事や関心度を理解すること、さらに自社がそれを理解していることを顧客に知ってもらい、自社を評価してもらうことが必要で、さらにその活動のスピードもアップする必要があることを踏まえて、自社業務のデジタル化を検討・実施することが必要であることが上記の記事から窺えるかと思います。
生産性向上と顧客満足の双方で、顧客とのコミュニケーションのデジタル化が今後重要になってくるということですね。
● プロセス設計と実施、チェックの重要性
上記の記事では、以下の部分も参考になると思います。
『MAを活用するための「プロセス」と「組織作り」
“協業”するためにはチーム間でのコミュニケーションが不可欠になると思いますが、そのコツやヒントを教えてください。
必ず営業側からフィードバックを返すことですね。分業モデルは一方通行で流れることが多いものの、営業からインサイドセールス、そしてマーケティングと情報をフィードバックをしないとうまくいきません。たとえば営業訪問後に「インサイドセールスのコメントは○○だけど、実際は△△だった」という具合です。客先に訪問すると話やニューアンスが異なるというケースは枚挙に暇がありません。このフィードバックでインサイドセールスのスキルも向上し、営業へのパス精度も向上します。
(中略)
特に営業とマーケティングはプロセスを正しく管理する、という発想が欠落しています。米国駐在時、上司から「日本人は生産管理には詳細にプロセスを定義するのに、なぜ営業とマーケティングには適用しないのか」と問われました。当時は日本からのリクエストとして、(トヨタ自動車の)カンバン方式への対応を上げていましたが、一方で営業のフォーキャストはExcelで付けるなど、現場がチグハグな状態であることを指摘されて気づきました。
ですから、営業やマーケティングに対するプロセス化を始めないと、問題箇所や目標はどこにあるのか見えてこないため、改善の余地がありません。たとえば、売り上げアップはどの企業も目標に掲げますが、その中間にあるプロセスが抜けるケースが多く見られました。だからこそ、プロセスモデルの構築が重要です。』
このように、マーケティングのプロセスを、分業の中できちんと管理し、プロセスの各段階の間、それは組織の間でもありますが、そのつなぎの部分をスムーズにしていくことが重要となることを福田氏は強調しています。
以前
「AIによる契約作成サービスにみる知恵の流れとプロセス」
の中で、
AIが代替する「職業」ではなく、AIが代替する「仕事=プロセス」を考えること、つまり、
「職業」というくくりではなく、「仕事」、「プロセス」というくくりで、技術面と主に感性に根ざすニーズ面から何はAI・ICTで代替していくべきか、何は人が担当するべきものかという視点で自社の商品・サービスの展開や自社事業の生産性向上を考えることが、今後ますます必要になってくるとお話しましたが、
AIに限らずプロセス設計を会社の事業の全てに適用するということが重要になってくるかと思います。
PDCAの中では、P(計画づくり)の段階にプロセスの設計も入れることが必要ですね。
だいぶ前になりますが、マネジメントシステムの国際規格づくりに携わったときにも、複層的なPDCAサイクルを想定して規格を策定していました。
このように、プログラムのサブルーチンのように入れ子構造で短期のPDCAを回すことが、プロセス改善の一つの手段となります。
また、知的資産経営において、自社の価値創造ストーリーを事業計画に落とし込んで具現化する際に、プロセスごとに自社の知的資産をどう使うのかを明確にしていくことが、実効性のある事業計画の策定と実施につながるものと考える次第です。
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