睡眠推奨制度にみる生産性向上へのニーズ
● 社員の睡眠量を可視化し、報酬を支払う福利厚生制度 日本初!「睡眠報酬制度」を導入 ~エアウィーヴ社協力による科学的アプローチ~
2018/10/9に、オーダーメイドのオリジナルウエディングをプロデュースする「CRAZY WEDDING」を運営する株式会社CRAZYは表記のリリースを公表しました。
(引用は『』でくくります。 太字と改行は筆者挿入、以下同様)
『「睡眠報酬制度」は、社員の睡眠量を可視化し決められた指標を達成した社員に対して報酬を支払う制度です。この制度の導入により、企業として社員個人の生活習慣の改革をサポートし、社員が十分な睡眠をとることで集中力を高め、業務の生産性を向上させることを目指します。
クレイジーは、2012年の創業当初より社員一人一人が自身に合った「働き方」や「休み方」を選択できる制度や、自然食のランチを全社員に毎日提供する制度など、“健康”を経営の最優先事項とする「健康経営」を行ってまいりました。クレイジーが考える「健康経営」は、自ら健康になる組織作りをテーマに、社会的健康、精神的健康、身体的健康、それぞれの分野に向けた仕組みを導入することで、“個人の幸せ”と“組織の生産性”の両面を向上させることを目指す取り組みです。 』
と同社は、社員の健康増進による組織の生産性や業績の向上を目指す「健康経営®」に取り組んでおり、今回の睡眠量への報酬制度もその一環とのことです。
※>「健康経営®」は、NPO法人健康経営研究会の登録商標です。
同社の取り組みは、2018/10/23の株式会社エコノミックニュースの記事でも「睡眠で生産性向上へ 睡眠報酬導入企業も」との題で採り上げられていますが、正に「神・時間術」(樺沢紫苑著)の内容が個人だけでなく企業単位でも広がりつつあると感じました。
● 労働管理からライフマネジメントへ
上記の株式会社エコノミックニュースでは、北里大学大学院の田中克俊教授のコメントとして、従業員の睡眠不足等による損失は年間3.5兆円にものぼることを挙げて、睡眠と企業業績の関係は今まで考えられていたよりも深いようだと指摘しています。
その中で、労働時間や労働環境だけでなく、睡眠の時間と質というプライベートな部分についても、企業が生産性向上の視点から関与していく方向になるのではと報じていますが、私も同じように、健康経営の面から企業が福利厚生ではなく、自社事業の生産性を直接左右する要因として従業員の退社後の時間についてもマネジメントする、少なくともそこに悪影響を及ぼすような働き方をさせないということが求められてのではないかと予想しています。
● 人的資産の強化に使える技術はないかと常にアンテナを張る
今回の記事で採り上げられているCRAZY社は、従業員の睡眠量を計測するために、
エアウィーヴ社が開発したスマートフォンアプリ「airweave Sleep Analysis 」 (Android / iOS)を使用し、計測した睡眠データをCVS形式でダウンロードし、専用フォーマットを会社に提出すること従業員の睡眠量を把握しているとのことです。
私はiphoneの「Sleep Cycle」と「Sleep Meister」の2つのアプリを併用していますが、早速このアプリもダウンロードしたので、今度使用感などもお伝えできればと思います。
健康経営については、少しづつ関心は高まってきているものの、まだコストを掛けて新しい施策を導入するところまでは、特に中小企業では行っていないのが現状かと思います。
そのような状況においても、今回のように、スマホアプリを利用することで、低コストで健康管理を行うなど、自社でも使える技術やサービスを探して社員の健康増進と自社の生産性向上を図ることは、人材確保、人材活用の点からはもちろんのこと、企業競争力という点でもますます重要になってくるかと思います。
プライバシーにどこまで関与するかという課題もありますが、報奨制度だけでなく、早く帰れるといった仕事の進め方へのフィードバックも必要ですね。
仕事の進め方等の改善とのサイクルを確立することで、人的資産だけでなく構造資産の強化にも、さらにはCrazy社のように他社に先駆けて取り組むことで自社の効果的なPRにもつながるものと考える次第です。