塗装職人育成企業とSNS動画配信のコラボにみる、技能のマルチメディア化とフィードバックの機会

【今日のポイント】

塗装職人の技能伝承を動画SNSで行うサービスを始めたsoeasy社とKMユナイテッドの事業提携。

老舗メーカーの技能のコンテンツビジネス化としても、技能伝承の効果についてフィードバックの機会を提供する試みとしても参考になるものと考える次第です。

 

動画SNSサービスのsoeasy、塗装職人育成のKMユナイテッドと事業提携。現場職人の技術をスマホで覚える「 技ログ X soeasy buddy」の販売開始!

2019/11/12に動画SNSサービスの株式会社soeasyは表記のリリースを公表しました。
(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同様。)

『動画SNSサービスの株式会社soeasy(本社:東京都品川区、代表取締役社長:中野慧、以下soeasy )は、塗装職人の育成を手がけるKMユナイテッド(本社:京都市、代表取締役社長:竹延幸雄)と建設業の一流職人の技術を後世に伝え、後継者育成・若手の職人が働きやすい現場をつくる事を目的に、技術動画の提供とシステム掲載に関する業務提携契約を2019年11月11日に締結した事をお知らせ致します。

業務提携第一弾として、本日より、職人の実際の作業動画としてKMユナイテッドが保有する1,700本の動画の中から、現場での学習効果が高い400本を抽出。スマホでの動画視聴や情報共有、管理が簡単にできるsoeasy buddyに掲載した”技ログX soeasy buddy”を(※)月額2万円?(税別)で販売開始します。』

動画SNSサービスのベンチャーと、塗装職人の育成会社のコラボに関するリリース記事。

今回販売開始するサービス「技ログX soeasy buddy」については、

『技ログ X buddyについて
技ログで公開されてきた1,700本の動画のうち、現場教育に効果が高いと考えられる400本を抽出してカテゴリ分けとタグづけを行います。

この中には、シート紐の結び方といった現場の基礎スキル動画に加え、ベトナム語による塗装のハウツーといった外国人材向け教育動画なども含まれます。

これらの動画を、soeasy buddyのシステム上に掲載することで、いつでもどこでも手軽に400本動画を視聴できる環境をつくるとともに、各社が自現場でのルールや学びなどを簡単に動画で追加することが可能になります。

現場の若手職人や外国人材は、いつでもどこでも、基礎編から自現場の特殊なノウハウまで手軽に学ぶことができるようになるため、生産性向上に貢献ができます。今後、建設現場での要望も踏まえ、随時buddy掲載動画を更新予定です。』

と、塗装職人の技能教育に役立つ動画の低苦境に加えて、ユーザーが自社の技能も動画コンテンツとして追加可能なことを述べています。

 

老舗メーカーの技能のコンテンツビジネス化

動画のもととなるコンテンツを提供するKMユナイテッドは以下の通り、老舗塗装工務店が、ベテランの技能伝承のために設立した子会社です。

『KMユナイテッドは、来年で創業70年を超える老舗塗装工務店、㈱竹延(大阪市/代表取締役:竹延幸雄)の子会社で、ベテラン職人の技術を伝承するため、2013年に設立されました。

「背中を見て覚える」という業界の慣習を打ち破り、ベテラン職人の技能を数値化・明文化して、体系だった研修制度や動画システムを作成してきました。』

老舗メーカーの技能のコンテンツ化と他社への展開。

今後、業界全体での技能伝承が進むことを窺わせます。

また、soeasy社は以下のように、動画による技能のマルチメディア展開も目指しています。

『soeasyは、業務提携の取り組み第二弾として、受賞職人の技術を今後動画化し、buddy内に掲載、現場での教育の質の向上に役立てます。

また、soeasy社が運営する「お役立ち15秒動画」サイトのsoeasyにおいても、生活に役立つような技術を15秒の動画として配信する取り組みなども今後合わせて検討予定です。』

育成効果を披露できるフィードバックの機会の設定

、新技術導入に伴う人材育成や、業務分析に伴う自社の強みの発見など、自社の暗黙知を形式知化することの重要性は、今までのトピックスでも何度か取り上げてきましたが、

『3Dプリンターにみる人的資産の構造資産化』
のように、製造技術の革新時に、自社のノウハウをデータという形で形式知化したり、

ITスキルアセスメントツールGAITにみる「検定」の活用』のように、自社の知見を「検定」という形で形式知化し、再利用する方法、

『ベネッセの「現代人の語彙に関する調査」から考える「暗黙知の形式知化」のポイント』でご紹介した、言葉の新陳代謝や陳腐化も意識して、社内外で共有すべき言葉を明確にし、その言葉と種類(対象とする分野)を増やしていくことによる、暗黙知の形式知化の促進とコミュニケーションの充実、技能伝承など、形式知化とその活用にもいろいろな方法がある中で、

『論語と作業標準書の共通点とは?』でお話した、作業標準書という形での形式知化を「教えることで自分も学ぶ」という視点で進めることは、「人材を育成する側」にとっての効果のフィードバックと捉えることもできるかと思います。

今回の記事で紹介した株式会社soeasyは、上記のリリースの中で、

2019年12月1日のアスリート職人グランプリの共催について

『KMユナイテッドの技ログアプリ内にて、全国の職人が自身の技術を投稿し、視聴者の投票制でグランプリを決定する、アスリート職人グランプリを12/1から2/29までの期間開催します。』

と、自分自身や自社の育成結果としての技術を動画投稿し、視聴者の投票という形でフィードバックを受ける機会も提供しています。

フィードバックの視点、モチベーションアップと技能の共有の機会という視点を含めて、自社の暗黙知の形式知化と、その効果のフィードバックの仕組みを作ることをお進めする次第です。

 

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