AIによる契約書チェック機能にみる、自社のナレッジマネジメントの進化の機会

【今日のポイント】

自社の契約チェックで過去のトライアンドエラーで得た知見の活用が始まっています。

契約に限らず、自社事業や業務の可視化技術の進展や、結果のフィードバックまで含めたデータベース化による経験の蓄積と共有が、人材育成と組織全体の能力向上の機会を広げている事が窺えます。

 

● 「LAWGUE」自社ナレッジを用いたAI契約書チェック支援機能を追加

2020/6/1に日本法務システム研究所は表記のリリースを公表しました。

(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同様。)

『■ 自社ナレッジを用いたAIチェック支援機能の追加
LAWGUEにおいて、自社の不利条項の蓄積結果を用いた、AIによる類型を問わないチェック支援/レビュー支援が可能になりました。

不利条項の蓄積は非常に簡単。難しい設定作業は発生しません。

本機能は、企業法務に携わる多数の方へのヒアリングの結果、「過去のノウハウを活かしてレビューを行いたいが、ノウハウの整備が簡単にできるシステムがほしい。」「類似条項の検索の絞り込みができると雛形や過去の変更事例と比較ができて便利」等のレビューを基に開発されました。』

確かに、ひな形や自社の思い通りの契約を結べるとは限りません(というかそうそううまくは行かないことが多い)ので、

トライアンドエラーから得た知見の蓄積と共有の自動化は、今後普及が望まれる機能の一つですね。

 

● Amazonがブロックチェーン使ったサプライチェーン追跡のための特許を取得

同日、2020/6/1のCOINTELEGRAPHに表記の記事が掲載されていました。

トレーサビリティ機能の向上が、どんな新規の活用方法を生み出し、拡大するのか要注目と感じます。

 

 

● 自社の失敗を含む知見・ナレッジの蓄積と活用のシステムの構築

上記のように、自社の活動を可視化して、そこから得た知見を蓄積・活用するためのシステムやサービスが、各種の業務分野で普及し始めています。

また、以下の2020/5/30のリリースでは、M&Aにおけるセカンドオピニオンサービスを取り上げています。

『M&Aテック協会、「中小M&A市場の健全な発展」を推進すべく、M&Aセカンドオピニオンサービスの提供を開始』

『当法人が提供するM&Aセカンドオピニオンサービス(以下、「本サービス」)とは、M&A専門家と契約を締結する際、あるいは契約後にM&A専門家の助言の内容の妥当性を検証したいといった場合に、第三者である当法人が中立的な立場からアドバイスを実施するサービスです。』

事業承継におけるM&Aの役割の拡大が窺えるかと思いますが、このような外部に相談した結果得た知見も、そのときだけでなく、提供元(情報源)の情報とともにデータベース化しておくことが、自社のナレッジを効率よく増やすことに繋がってきます。

自社のトライ・アンド・エラーの結果をその場でフィードバックするだけでなく、データベース化することで、自社の知見=知的資産を蓄積すること、またその知見を活用する仕組みも併せて整えることで、人的資産の構造資産化を図るなど、自社の知的資産の充実に繋がるものと考える次第です。

なお、上記の記事以外にも、以下のように様々な分野で、可視化による業務改善のサポートが進んでいる事が窺えるかと思います。

・日々の時間管理とタスク管理を統合したアプリEmpocheのベータ版が公開

2020/6/15のTechable(テッカブル)の記事

チームとしての業務の可視化とコミュニケーションの活性化、モチベーションアップをワンストップで提供できるサービス・システムとなるか、要注目かと思います。

・あなたのビジネスオンライン化をサポート!eラーニングシステム「LearnO(ラーノ)」を活用したビジネス展開をアドバイス!無料WEB相談キャンペーン

200/6/15のMogic社のプレスリリース。

『本相談は、当社のeラーニングサポートスタッフが「LearnO」導入のメリットと課題や「LearnO」を活用した事業展開事例をお伝えするとともに、これまでの教育システム開発の知見を元にした最適なアドバイスを意見交換しながら行います。』

eラーニングなどのオンライン学習の活用が広がることと共に、受講者、提供者双方へのフィードバック方法の工夫にも期待したいと感じる次第です。

 

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