知的財産や契約関連業務の自動化とコミュニティ双方の活用による事業への貢献の可能性
【今日のポイント】
契約や知的財産の管理において、デジタル化とオンライン化による業務改善が進み始めています。
生産性向上だけでなく、社内の知見や環境認識の共有、事業の可視化による課題認識などによるコミュニティの活性化という視点からもこれら電子契約等のシステムの費用対効果を検討することは企業規模の大小を問わず重要な課題と考える次第です。
【目次】
1.技術等の調達の自動化と契約に関する記事より
2.サーチライトからカーナビ、更に戦略提案へ
3.社内外コミュニティの重要性
4.知的資産としての技術契約や知的財産関連情報の事業への活用
最近の、技術開発や契約の分野の自動化に関する記事を以下にご紹介いたします。
● meviy、『第9回ロボット大賞 日本機械工業連合会会長賞』を受賞
2021/3/15に、株式会社ミスミグループ本社は表記のプレスリリースを公表しました。
(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同様。)
『<受賞サービス:meviy>
「装置・設備用部品の設計データをアップロードするだけで、AI が価格と納期を即時回答、加工から出荷まで最短即日」を実現する、オンライン機械部品調達サービスです。“形状認識エンジンと価格計算アルゴリズムによる「AI 自動見積もり」、製造プログラムを自動生成し生産システムに連携する「デジタルものづくり」”という2つの革新的な技術を実装。これまで通常数週間かかっていた見積もりなどの部品調達プロセスを 90%以上短縮し、「人」が創造的な仕事を行うための時間を創出します。 』
⇒このロボット製造業における、AIによる自動見積りと製造プロセス自体のデジタル化の組み合わせによる調達の自動化は、オープンイノベーションなどの技術の調達においても、研究開発プロセスの自動化や特許などの技術情報の活用による調達すべき技術の把握の組み合わせなど多くのヒントを提供してくれる事例かと思います。
また、調達の自動化に、請求書や購買契約の自動化も欠かせない要素と改めて感じた次第です。
● 【生かせ!知財ビジネス】日本パテントデータサービス、機能絞り月8800円で特許管理
2021/3/24のSankeiBizに表記の記事が掲載されていました。
⇒日本パテントデータサービス株式会社の中小企業向けのシンプルなクラウド知財管理サービス「IP Drive」のリリースを報じたものです。
同社の、同サービスのページはこちら
同サービスの特長(かんたん・お手軽)として以下の3点を挙げています。
『使いやすさ
マニュアル無しで直感的に利用できる簡単な操作性・インターフェイス厳選された管理機能
期限管理・年金・経費・ファイル管理やJP-NET連携など、知財管理に必要な情報を集約低コストでメンテナンスフリー
クラウドで実現する「固定料金」「バックアップ不要」「自動バージョンアップ」』
企業規模を問わず知的財産は事業活動において攻めと守りの両面で重要ですが、その知的財産の管理方法の選択肢が増えることは、知財活用の活性化に繋がるものと期待する次第です。
日頃、私は知財や技術開発の契約に関わる者として、先々のリスクや選択肢を提示する(可視化する)サーチライトが先ずベースにあり、その先には、以下の記事にも窺えるように、
目的地に効率よくたどり着けるかと言う道筋を、所要時間、コスト(交通費や高速代等)、分かり易さなどニーズに合わせてアドバイスするカーナビの機能として事業に貢献出来るようになれば良いなと考えています。
● 日本初、特許、法令判例及び契約書詳細検索搭載。AOS IDX(TM)の法務ソリューション「AOS LegalDX」SaaSサービスを開始
2021/3/16にクラウドデータ、システムデータ、リーガルデータ、AIデータなどのデータアセットマネジメント事業を展開するAOSデータ株式会社は表記のプレスリリースを公表しました。
『法務部門がDXを推進するためにまず大切なことは、法務チーム、システム管理者、社内外の専門家などの関係者間でスムーズに情報や資料を共有できるセキュアなデジタル環境構築です。
「AOS LegalDX」は、そのためにクラウドで効率よく法務ファイルを共有、保管することができます。
事業部は自らのビジネスを回すことに忙しく、企業法務チームは、新しい契約などの法務資料をレビューすることに時間を注いでおり、サイロ化しがちな法務業務における問題を解決するために開発されました。
また、電子帳簿保存法に対応したファイル管理形式で、クラウドで効率よくファイル共有を行うことができます。』
⇒契約業務を事業戦略策定支援に結びつけるDXは契約管理やレビューの次の大きな課題と感じます。
今後の企業における法務、知財部門の役割が、将来のリスクを可視化するサーチライトから、目的に応じた最適経路を提示するナビゲーション、そして事業や技術開発の戦略策定の積極的支援や提案へと進化する様子も窺えるかと思います。
なお、同リリース記事がそのサービスの背景として記載している、経済産業省がまとめた『国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会報告書』は以下のサイトで公表されています。
『国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会 報告書~令和時代に必要な法務機能・法務人材とは~』
上記のサーチライトやカーナビ機能を果たすためにも、社内外との円滑なコミュニケーションは必要ですね。
これら社内外のコミュニティに着目したマネジメント支援サービスも今後更に重要性を増すものと考えています。
2021/3/15にサイバーセキュリティカンパニーの株式会社フーバーブレインは表記のプレスリリースを公表しました。
『当社は、働き方に関する情報について、一社内のみで囲い込むのではなく、プライバシー保護を大前提に、社内の垣根を越えて、広く社会で流通、管理、活用することが出来れば、社会全体の生産性向上に役立つのではないかと考えています。
こうした観点から、DEA 社のブロックチェーン技術を利用したデジタルアセット取引プラットフォームは、そのプラットフォーム上で、安全に当社製品による「働き方の見える化」デジタルデータの管理、活用を図りうる可能性が大いにあり、当社において「働き方改革×ブロックチェーン」の新たな領域での挑戦の可能性を見出せると考えています。』
⇒「楽(ラク)」ではなく「楽しく」働く為の知見の、他社との共有は、契約業務においても重要な課題と考える次第です。
この知見の共有において、AI契約レビューなどの自動化やユーザーデータの蓄積と、SNS等の仕組みを使ったコミュニティの双方が重要な要素になるものと考える次第です。
● DeNAのクラウド型RPAサービス「Coopel」Gmailを始めとするメールサービスとの連携を開始
2021/3/16に 株式会社ディー・エヌ・エーは表記のプレスリリースを公表しました。
『メールの送受信を簡単な設定で自動化する機能を提供開始しました。
この機能を使って、メールの送受信における業務を自動化することが出来ます。なお、現在利用可能なメールソフトはGmailと、Outlookの2つとなっています。』
⇒このメールの送受信の自動化は、ヒューマンミス低減や生産性向上に加えて、社内外コミュニケーションの活性化と可視化等も重要な要素になりうると考える次第です。
4.知的資産としての技術契約や知的財産関連情報の事業への活用
上記のコミュニティマネジメントの視点から、電子契約のメリットをみることは、業務効率化以外の効果を捉えるという点で、費用対効果を検討する上で非常に重要となります。
以下の記事に見る様に、契約の電子化は、単にペーパレス化による押印作業の負荷低減や紙資料の保管・管理などの業務効率化だけでなく、電子化される事で、組織内での共有と分析などによる利活用も容易になる事が非常に重要なメリットになりえます。
● 「みんなの電子署名」がITmediaビジネスONLINEで紹介されました。
2021/3/17に「みんなの電子署名」を運営する株式会社ベクターは表記のプレスリリースを公表しました。
上記の紹介記事は以下のものです。
『もしフリーライターが編集部との契約を「みんなの電子署名」でやってみたら?』
⇒同社の電子署名のサービスは署名文書を1年以上サーバーに保管する時の保管料を除き、全て無料で提供されるとのこと。
電子契約による社内業務や取引の可視化は、生産性向上や知見共有の上でも重要な施策となりますが、電子契約サービスの選択肢の増加は、その普及を後押しするものとして、同社のビジネスモデルと今後の展開に関心を惹かれる次第です。
また、他のデジタル化による業務改革と同様に、契約の電子化自体が、従来業務の可視化と見直し、改革に繋がる面も忘れてはならないと思います。
● 新型コロナ拡大から 1 年で変化した中小企業の契約業務に関する実態調査
2021/3/30にリーガルテック企業のLIRIS株式会社は表記のプレスリリースを公表しました。
『<調査結果トピックス(全9トピックスから1-3を抜粋)>
1. 契約書の保管方法は「原本に加えPDF化して保存している」企業が過半数(53.2%)にのぼる。一方で、未だ原本でのみ保管している企業も4割(40.9%)。― また、3社に1社 (32.0%)では、保管先が「その契約に関わる社員による個人」と属人的な状態で放置されており、社内で契約書が共有されていない実態も明らかに。
2. 6割(60.6%)の中小企業が、Excel等で契約情報を管理する「契約管理台帳」を活用しているも、そのうちの約6割(58.4%)は他部署への共有がされていない。
また、「契約情報の管理は特に行っていない」企業が3割以上(33.2%)にのぼる実態も明らかに。
3. 契約業務に関するタスク管理方法は「社内で仕組み化されていない」企業が約半数(48.6%)と最多。契約情報の管理と比較しても、タスク管理の仕組み化はより進んでいない実態がみられた。』
⇒契約業務自体のタスク管理の遅れの指摘に、今後の課題解決のヒントがあると感じます。
上記のように、複数の視点から電子契約や契約管理システムのメリットを把握し、その費用対効果を見直して、導入の検討を行うことを、今後の社内の知見や業務の可視化による企業活動の活性化による生産性向上の面からもお勧めする次第です。
★ 以下のランキングに参加しております。ぜひ、クリックよろしくお願い申し上げます(^^)。
上記のように、複数の視点から電子契約や契約管理システムのメリットを把握し、その費用対効果を見直して、導入の検討を行うことを、今後の社内の知見や業務の可視化による企業活動の活性化による生産性向上の面からもお勧めする次第です。