電子契約のインターフェースにみる、検索機能による顧客接点の確保と知的資産経営ツールの活用可能性

【今日のポイント】

電子契約や契約管理の分野でも、検索機能などのユーザーインタフェースの改善を、顧客の利便性向上と顧客接点の確保の双方から進めています。

この、「顧客による検索」において、現在の自社の顧客への提供価値に加えて、今後想定している顧客への提供価値の提示手段としても、経営デザインシートなどの知的資産経営のツールの活用は一考の価値ありと考える次第です。

 

【目次】

1.契約管理システムと電子契約の連携
2.検索機能等のユーザーインターフェースによる顧客接点の確保と維持
3.自社の現在と将来の提供価値を「検索」してもらう

 

1.契約管理システムと電子契約の連携

● AI契約書管理システム「LegalForceキャビネ」検索機能をアップデートし、契約リスクの発見を効率化

2021/7/19に株式会社LegalForceは表記のプレスリリースを公表しました。

(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同じ。)

『完全一致検索、検索キーワードを含まない契約書の検索や、複数キーワードをすべて含んだ契約書の検索ができるようになりました。
これによりリスクの高い条文や契約書の特定が容易になり、企業における契約管理がより効率化されます。』

⇒契約管理における、検索機能の重要性と、ユーザーにとっての利便性を追求し続ける難しさの双方が窺えるかと思います。

 

● コントラクトマネジメントのkintone連携ソリューションとワンビシアーカイブズの電子署名・電子契約サービスWAN-Signが連携を開始

2021/7/26に日本通運株式会社の子会社で情報資産管理ソリューションを提供している株式会社ワンビシアーカイブズは表記のプレスリリースを公表しました(PRTIMES_JPより)。

『「WAN-Sign連携アプリ」(URL: https://www.contract-mgt.jp/wansign )による、電子署名・電子契約サービス「WAN-Sign」とサイボウズ社が提供する業務アプリ開発プラットフォーム「kintone」との連携を開始しました。
 これにより、サイボウズ社が提供する「kintone」(キントーン)をフロントシステムとしながら、「WAN-Sign」の電子署名・電子契約機能をkintone上で利用することが可能となります。』

⇒電子契約の分野でも、ユーザーインターフェースの確保方法(自社で持つか、他社のインターフェースを活用するか)から、各社のポジショニング戦略が窺えると感じます。

 

● NTTデータビジネスブレインズが電子契約サービス「WAN-Sign」の取扱いを開始

2021/7/19に株式会社NTTデータビジネスブレインズ株式会社ワンビシアーカイブズは表記のプレスリリースを公表しました。

『電子契約サービス「WAN-Sign」は、電子契約で締結した契約書の一元管理に加え、書面で交わした契約書の原本管理・保管から電子化作業も一つのサービス内で提供することが可能です。
またNTTデータビジネスブレインズが提供するバックオフィス業務支援ソリューション「ClimberCloud」とあわせて利用することで、国税関係帳簿や書類にはじまる企業内の経理系文書を電子帳簿保存法に対応した形での電子保存を可能とし、社内・外部取引の電子取引から経理系文書のペーパーレス化による広範囲なデジタル化を実現することが可能になります。』

⇒すでに契約業務のDXは業務フロー全体に渡ってのサービス提供が主流になりつありますが、契約業務のDXを通じて、顧客と自社それぞれの知見の蓄積と活用の価値の提供を実現しようとする様子が窺えます。

自社のサービスが提供する価値を補完する他社のソリューションの情報提供も、ユーザーからのフィードバックの機会を増やすと共に、一種のプラットフォーム構築にも繋がるものと考える次第です。

 

2.検索機能等のユーザーインターフェースによる顧客接点の確保と維持

先日のブログトピックス
『『行動最適化大全』を読んで~目次のないビジネス書に考える「検索」の役割と顧客と繋がる方法』
でご紹介した、
樺沢紫苑氏の最新著書『今日がもっと楽しくなる行動最適化大全 ベストタイムにベストルーティンで常に「最高の1日」を作り出す』 が今回採用した、イラストによる概説と詳細解説の2パート構成のように、顧客の悩みや課題の解決手段を提供する第一歩としての、自社が提供する価値を紹介す(存在を知ってもらう)重要性は変わない一方で、オンライン化等により、その提示方法は変化することが求められていると感じます。

 

「顧客の真の課題の明確化と顧客との共有」の第一歩として、

顧客が悩んだ際に取る行動の入り口である「検索」「身近な人への相談」、更には、最近のAI・IoTを活用した、顧客行動自体からの推定などについて、どのような機会を提供できるかが、

オンライン化や新型コロナによる環境変化により顧客のニーズや顧客の行動が変化している中で、自社の商品やサービスを必要としている顧客に届けるためにより重要性を増していると思います。

なお、以下のトピックスでご紹介した、eラーニング教材を一括で検索できるサービスの様に、
「検索」や「リコメンデーション」というユーザーニーズに応えるソリューション自身ではなく、その紹介を提供するサービスというのも、顧客接点の入り口として活用の価値があるものと考える次第です。

『eラーニング教材の一括検索サービスにみるキュレーションと検索サービスの可能性』

また、ハタプロの対話型AIロボット「ZUKKU」は、親しみやすいルックスで、マーケティングを始めとして多くの分野に展開を始めていますが、
事業の幅を広げる上で、エンドユーザーとの接点を押さえることの重要性を示す事例かと思います。

『ハタプロのコミュニケーションロボットにみる、ユーザーインターフェースというボトルネック』

 

3.自社の現在と将来の提供価値を「検索」してもらう

現在の自社製品やサービスが提供している「顧客の現在の課題を解決する価値」に加えて、自社が将来提供することを目指している提供価値についても知ってもらう事は、ファンを増やし、固定客化する一つの方法かと思います。

それを「検索」と言う形で顧客に知っていただく(見つけていただく)一つの方法として、自社の将来像(ビジョンや提供価値)を現在の状況との関係も含めて1枚のシートで伝える経営デザインシートなどをネットで公開することも、検討の価値ありとお勧めする次第です。

なお、経営デザインシートについては、以下のサイトがご参考になるかと存じます。

『経営をデザインする(知財のビジネス価値評価)ー首相官邸サイトー知的財産戦略本部』 

 

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