新型コロナやオンライン化への行政対応に考える、行政の施策への対応手段としてのAI契約レビューの可能性

【今日のポイント】

新型コロナ対応やDX推進を背景に行政も各種施策を進めています。

これらに伴う、法規制の変化を自社で把握し、対応することは困難ですが、AI契約レビューなど、法規制に対応したサービスを、行政関連の情報収集手段や行政の相談窓口などの支援サービスと組み合わせて利用する価値は高まっていると考える次第です。

 

【目次】

1.行政の施策に関するニュースから
2.行政の施策への対応の重要性と実務上の課題
3,AI契約レビューサービスへの期待と活用方法

 

1.新型コロナ対応やオンライン化・デジタル化における行政の施策に関するニュースから

新型コロナ対応やオンライン化、デジタル化などDX推進の面から関心を引いた、行政の対応についていくつかご紹介いたします。

● 「特許行政年次報告書2021年版」を取りまとめました

2021/7/14に経済産業省は、表記のプレスリリースを公表しました。
(引用は『』でくくります。太字と改行は筆者挿入。以下同様。)

『冒頭特集では、私たちの生活様式が大きく変化する中で新たに躍進する最新技術を取り上げています。
本特集では、”ニューノーマル(次の当たり前)”を創る人々に焦点を当て、
①心の癒しを担う家族型ロボット、
②AIと人が協調する教育を実現するAI学習システム、
③人と共生し、物流の人手不足に挑戦する無人宅配ロボット
の3つの技術において、製品・サービスの内容と誕生のストーリーを、生活様式の変化により生まれる新たなニーズにも触れながら紹介します。

第 1 部の「知的財産をめぐる動向」からは、新型コロナウイルスが知財統計に及ぼした影響について知ることができます。

第 2 部では、特許庁の最新の取組として、手続の救済措置、オンライン面接の推進、行政のデジタル化の他、特許庁の中長期的課題を議論した「基本問題小委員会」などについて紹介しています。

第 3 部では、コロナ禍において国際連携を進める各国の知的財産制度の動向や、グローバルな知的財産環境の整備に向けた取組を紹介しています。』

⇒コロナが行政の施策に及ぼす影響と、その波及を考える上でも一つの参考になるかと思います。

 

●  日産自動車とドコモ、自動運転車両を用いたオンデマンド配車サービスの実証実験を開始 横浜みなとみらい/中華街エリアにて一般モニター約200名を募集

2021/7/19に日産自動車株式会社と株式会社NTTドコモは表記のプレスリリースを公表しました。

『本実証実験は、自動運転車両を用いた交通サービス「Easy RideR(イージーライド)※2」とAI(人工知能)を活用したオンデマンド交通システム「AI運行バスR ※3」を組み合わせて行います。進化した日産の自動運転車両と今回新たに自動運転車両の配車に対応したドコモの「AI運行バス」を組み合わせることで、将来の完全自動運転による交通サービスをイメージさせる最新技術やサービスを実際にお客さまに体験いただき、その実用性を検証することを目的としています。

乗車後に実施する一般モニター向けアンケートでは、乗降時や乗車中の体験についての評価や周辺店舗と連動したサービスの利用状況、実用化した場合の想定利用価格などについて伺います。アンケート結果は、実証実験を通じて得られた走行データや配車状況データなどとあわせ、さらなるサービス開発や今後の実証実験に活用する予定です。』

⇒MaaSの中にも細かく分けると多様なニーズが存在し、それにビジネスとして対応出来る仕組み作りがマネタイズ含めて重要と改めて感じた次第です。

なお、この実証は、

『横浜市がIoTなど(IoT、ビッグデータ、AI、ロボットなど)を活用し新たなビジネスモデル創出による社会課題の解決をめざしたオープンプラットフォームである「IoTオープンイノベーション・パートナーズ(I・TOP 横浜)」の取組みの一つです。また、「自動運転ロボット利活用サービス」として、神奈川県の「さがみロボット産業特区」における重点プロジェクトにも位置づけられています。』

と、横浜市や神奈川県のスマートシティ、スマートモビリティの取り組みの一環であることも紹介されています。

行政と民間のタイアップによるAI・ICT・IoT技術を利用した街の課題解決については、今までにも
『横浜市のICT活用による市民参加型実証にみる社会課題対策の選択肢とビジネスチャンスの広がり』
などいくつかのトピックスで採り上げてきましたが、これから更に取り組みが広がりかつ具体化していく様子が窺えると感じた次第です。

 

● 競争ルールの検証に関するWG

2021/7/9に総務省は、表記のWGの2021年版報告書(案)を公開しました。

報告書2021年(案)はこちら
なお、報告書の行番号は、改行の関係で削除しております。

『本WGにおいては、こうした報告書2020の公表以降目に見える大きな動きに加え、実際のデータに基づくモバイル市場の分析や、形式上の提供条件のみならず現場での実態についての調査結果をもとに、改正法の趣旨が徹底されているか、実際の競争環境がどのような状況にあるのか、なお残る公正競争上の課題は何かといった点について、分析・検証するとともに検討を行った。

また、併せて、モバイル市場等に係る課題として、携帯電話の音声通話料金(特に従量制料金)、スイッチングコスト、販売代理店の在り方等についても個別に 検討を行った。』

⇒自分の経験からも、スイッチングコストの低減では、料金に加えて、手続きや予約の簡易化、説明の明快さなども重要な要素になると考える次第です。

 

 
● 法務省認定、「NINJA SIGN by freee」商業・法人登記で利用可能に

2021/7/12に株式会社サイトビジットは表記のプレスリリースを公表しました(PRTIMES_JPより)。

『ワンストップ電子契約サービス「NINJA SIGN by freee」は、法務省の認定を受けて2021年7月12日(月)より、商業・法人登記のオンライン申請において利用可能となりました。
「NINJA SIGN by freee」にて電子署名機能を使用した際に発行されるサイバートラスト株式会社の電子証明書が、商業・法人登記のオンライン申請時に必要となる電子証明書の指定リストに追加されています。』

⇒電子署名の適用が可能な分野の拡大は、個別業務に留まらず、各種手続きを繋げた事業全体のDXの促進に繋がるものと考える次第です。

 

2.行政の施策への対応の重要性と実務上の課題

上記のように、新型コロナ対応や、国際競争力向上、少子高齢化対応、環境問題対応、DX推進など多くのニーズを背景に、各種行政の対応も進みつつあり、その中では法規制の改訂や、助成金や補助金などの支援制度の整備なども含まれています。

これらの行政施策の変化については、関連する分野で契約を結ぶ際には、注意が必要となってくる場合が出てきます。

技術契約の分野では、平成30年の不正競争防止法の改正や、現在(2021年3月時点)改正案が出されている著作権法なども今後の動向含めて注意が必要かと思いますが、

これらの自社事業に関連する法規制の動向をチェックし、更に自社の契約にどのように反映するかを検討することは、中小企業では非常に難しい課題ではないかと思います。

また、外部専門家のサポートを受けることも、企業規模や支援が必要な機会の頻度によっては、中々困難ではないかと考える次第です。

 

3,AI契約レビューサービスへの期待と活用方法

電子契約や契約DB、AI契約レビューなどの契約業務関連のサービスについては、今までにも、以下のトピックスなどで、生産性向上による知見・経験の増大やの共有、事業の可視化による課題認識などによるコミュニティの活性化という視点から、電子契約等のデジタル化の効用への期待や、導入における費用対効果を検討することは企業規模の大小を問わず重要な課題としてご紹介してきましたが、

上記のような行政の施策、特に法規制の変化への対応という点でも、利用する価値は高まっていると感じます。

『知的財産や契約関連業務の自動化とコミュニティ双方の活用による事業への貢献の可能性』

 

AI契約レビューサービスは、法律事務所とタイアップ、または法律事務所自身が同サービスを提供することで、主要な関連法規の改正にも対応しているものが多く、法規制の変更を契約書に反映する役割も期待できます。

それらのAI契約レビューサービスだけで自社が関連する主要な法規制の影響等について判断出来るかはまだ難しいところがあるかと思いますが、

少なくとも自社単独で対応するよりは、法規制対応のリスク低減が期待できますので、法的リスクを低減するツールの一つとしても、法規制に関する情報収集の手段(グーグルアラートや法規制専門の情報提供サービスなど)、行政の各種相談窓口などと組み合わせての、利用の検討をお勧めする次第です。

 

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