新型戦闘ヘリV-280の開発に思う2つのトレンド

ティルトローター 戦闘ヘリ

● 飛行機やドローンとの垣根を無くする新型ヘリコプター

2018/9/5の1日5分ビジネス英語に表記のトピックスが掲載されていました。

(引用は『』でくくります。 太字と改行は筆者挿入、以下同様)

『まもなく飛行機と同じくらいの速度で移動できるヘリコプターが登場する。それらの一部は、ドローンのように独自で動く無人ヘリコプターである。

従来のヘリコプターの回転翼はある程度までしか傾けることができず、そのためヘリコプターの速度は時速約280キロメートルに制限されている。しかし、テキサス州に拠点を置くメーカー、ベルは、同社の新型V-280ヘリコプター用の「ティルトローター」デザインを開発した。ディルトローターは時速520キロメートルまたは280ノットの速度を出せる。したがって、そのような名前に決まった。このヘリコプターは燃料の補給なしで、4人のクルーメンバーと14人の落下傘部隊員を乗せて、1500キロメートル飛行することができる。』

とベル社による、時速520kmで飛行できる軍事用ヘリコプターの開発に関するものです。
動画をみると、一見、オスプレーに似ていますが、かなりの高性能化と低コスト化を実現しているようです。

動画はこちら

 

● 技術開発における量から質への転換

このV-280の開発に関する以下の記事からも、ベル社が技術改良を積み重ねて、今回の新機種のように大幅な性能向上を果たしたことが窺われます。

2017/11/9 WIREDの記事:「「オスプレイ」の進化形「V-280」の試作機が完成──米軍輸送ヘリの後継有力候補に」

このように、技術開発における細かい改良の積み重ねが最終的な製品のパフォーマンスで大きささを生じるという事例の一つかと思います。

大きな発想の転換やアイデアだけで最終製品のパフォーマンスが決まるものではなく、周辺技術や使用環境に関する技術などの改良も含めて、いわば樺沢紫苑さんが提唱されている「全部戦略」が必要となることを改めて感じました。

 

● 技術開発の流れ

もう一つ、今回のV-280の記事で印象付けられたのが、技術のブレークスルーの一端は今も防衛産業からという点でした。

1日5分ビジネス英語でも以前採り上げられていた、無人戦闘ドローンの記事(イギリスの大手軍事請負業者BAEシステムが開発している地上からの人間の操作なしで、独立して機能することができる戦闘用ドローン)など、自動運転技術でも軍事利用が先行しているとの印象を受けています。

(同トピックスはこちら )

以前、「(点と点をつなぐための)「知」の効率的導入方法」
で、他業界等からのヒントの探し方をご紹介しましたが、その中で

「お金の集まっている分野から手法を導入」として、

『原子力産業、軍需産業などからの技術移転は古典的といっても良いほどです(軍需産業の場合は、予算規模もさることながらR&Dの目的(防衛、国益の確保)が通常の企業活動(利潤の追求)と異なることから、企業に無い発想に基づくアイデアを得られるという利点もあります)。』

とお話しましたように、

インターネットなど含めて防衛産業は課題、仕様の要求や難度の高さと予算の豊富さが技術開発を促進せていることは間違いところかと思います。

それに対して、宇宙開発は課題の難度は高いが予算がネックになっていると感じます。

このように、軍事技術が民間に応用されそうな例としては、

MIT Technology Reiewの以下の記事のように、

「米軍、レーザー給電で長時間飛行できるドローンを開発中」

『飛行中にレーザーで給電する軍事用ドローンの登場だ。
ニュー・サイエンティスト誌によると、米陸軍は搭載した太陽電池にレーザーを照射して、遠距離から電力を供給するドローンを開発中だという。最終的には、500メートル離れた場所からの給電を目指している。
仕組みは、ワシントン大学の研究者が小型の昆虫型ロボットを飛ばしているのと似ている。
ただ、この給電方法では高熱が生じるため、ドローンが溶けてしまう恐れがある上に、さらなるリスクがある。昨年、ロッキード・マーチン(Lockheed Martin)は、飛行中のドローンを撃墜できるレーザー砲を発表した。軍がドローン用のレーザーを適切に設定してくれることを願うばかりだ。』

と、軍事用ともなれば、かなりのお金が動くので、実用化の可能性は高いのではないかと感じます。

その場合、民間に転用される時点で、(長距離のワイヤレス給電方法として)米国の競争力の強化にもつながるのではないかと考える次第です。

このように、防衛・軍事産業がグレークスルーを牽引するというのは複雑なものがありますが、
宇宙開発おいても火星探査の開発の際にイケヤとコラボしている様に、最初から民間への転用を視野に入れた平和的な技術開発が進む事を期待します。

 

● 自社が積み上げられるもの、他社が積み上げているものを考える

通常、中小企業において軍事産業の技術を転用するということは考えにくいですが、最初に上げた「量から質への転換」という点については、事業規模の大小を問わず重要な視点ではないかと思います。

特に、量を積み上げている間(質に転換する前)の段階では、表からはその変化が見えにくいので、
自社の技術開発においては諦めずに続けるということが、
他社の技術開発については、特許情報などから今後どんな商品・サービスが出てくるかという想像とモニタリングが重要になってきます。

なお、軍事産業からの技術転用も、他社、特に大手企業が自社の事業領域でどんな技術を持ち得るかという視点から、その可能性の検討を一度してみる価値はあるかと思います。

また、宇宙開発については、既に衛星画像を農業で利用するベンチャーなども出てきていますので、一度覗いてみてはいかがでしょうか?

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