WH社の経営再建から知的資産のリスク対策を考える
● 米ウェスチングハウス・エレクトリック社の再建と知的財産
2017年4月28日のブルームバーグの記事に、
東芝の子会社で、原子力発電を手がけているウェスチングハウス社の
再建に当たって、同社の知的財産をめぐる話題が掲載されていました。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-28/OP3E3B6K513X01
以下「」内は引用です(改行は著者挿入)
「8億ドル(約890億円)のローン計画を巡り、電力会社サザンが
反発している。貸し手のアポロ・グローバル・マネジメントが知的
財産の鍵を握ることになり、米原子力発電プロジェクトの最終運命を
左右すると警戒している。」
ウェスチングハウスの知的財産が担保になった時に、
サザン社グループ4つの原発プロジェクトに影響が出るとのことです。
取引先の経営の悪化や天災などで、仕入れの支障がでるといった
取引先リスクは、先の東北大震災の際にも多く見られたのは、まだ
記憶に新しいところです。
私も、取引先の経営悪化に伴う合併などでその取引先がもつ知的財産
が他社に所有された時のリスク対応を検討したことがありますが、
スケールこそ違え、中小企業でもこのようなリスクを考えることは必要ですね。
● 知的資産のリスクと対応の考え方
知的資産経営において、
人的資産にはその「人」の病気等による欠勤や退職
構造資産には、例えばデータベースのコンピュータウイルスによる
トラブル
関係資産には、今回の事例のように取引先のトラブルが自社に波及
というように、各知的資産ごとにリスクがあり、リスクマネジメント
が必要であることはご承知のとおりかと思います。
この時、個別の知的資産ごとに対応を取ることも重要ですが、
人的資産の構造資産への転換のように、
複数の分野にまたがって自社の知的資産を確保しておくことも、
自社の知的資産を包括的に守ることに繋がります。
そのためにも、日頃から
人的資産、構造資産、関係資産を
形式知から暗黙知へ
暗黙知から形式知へ
という流れで関連付けながら、重層的に構築しておくことが、
知的資産の厚みを増すと同時に、リスクマネジメントにもなると考える次第です。