ものづくり白書2017年度版にみる人材育成

● ものづくり白書2017年度版

6月12日に経済産業省のサイトで、
「平成28年度ものづくり基盤技術の振興施策」
いわゆる「ものづくり白書」が公表されました。

http://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2017/

本文は285ページもある大作ですが(^_^;)、
まずは、リリース記事のページに掲載されている
1枚の図にまとめられたポイントと概要(こちらも
73ページあります)とで、全体像を把握してから、
関心のある部分を読むのが効率的かと思います。

概要
http://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2017/honbun_pdf/pdf/gaiyou.pdf

今年度は、直面する主要課題として
「現場力の維持・向上」と
「付加価値の創出・最大化」
を挙げ、
この課題に影響を与えるトレンドとして
IoT、ビッグデータ、AI、ロボットなどの
デジタルツール等への活用に触れてから

目指すべき産業の姿として、

「Connected Industries」
=ネットワーク化を通じた付加価値の創出と、技術力や現場力を
活かせる人間本位の産業の在り方

というキャッチフレーズを示し、
強靭なものづくり力を基盤とした顧客課題の解決力向上による価値取得を目指すとしています。

 

● 人材に対する課題認識と企業特性による違い

白書の内容で興味深い点は多々ありますが、
現場力の源泉である人材不足が既に顕在化しつつあるという認識と
その対応として、デジタル技術による効率化と働き方改革の実現、
デジタル化によるスムーズな技能伝承の実現の2つの取組みに関して、

大企業と比較した、中小企業の認識や取り組み方の特徴を見てみると、
まず、
「 「製品の品質をめぐる競争の激化」、「技術革新のスピードが
加速」を感じている中小企業は、人材を採用した、人材育成等
「成果があがっている」と回答した割合がともに高くなっている一方
で、「ものづくりに対する若者の関心の弱さ」を感じている中小企業
は、人材を採用した、人材育成等の「成果があがっている」と回答
した割合がともに低くなっている。」
と、業界や自社事業に関する認識の違いによって、人材の確保・育成
の成果に差が出ていることが分かります。
(ものづくり白書、改行は筆者挿入。以下同様)
また、
「人材の定着を促すための取組をみると、中小企業は、大企業と比
べて、「若年ものづくり人材の確保が困難」と回答した割合が高く
なっており、人材の確保に関心が強い反面、その後の定着、育成に
まで十分な意識が及んでいない。」

「今後、ものづくり産業の成長に求められる人材像をみると、中小
企業は、大企業と比べて、「熟練技能者」を求める優先順位は高く
なっている一方で、「生産技術職」を求める優先順位は低くなって
いる。今後、技術革新が激しくなる中で、中小企業においても、
生産技術職の確保、育成が課題になってくる。」

と、中小企業は現在のやり方の延長上で即戦力となる技能熟練者
に意識が向いていて、今後の技術革新に対応できる人材の確保や
育成まで意識が及びにくいという状況を示しています。

 

● 社会や業界の状態・変化に対する姿勢

中小企業が直面している「若年ものづくり人材の確保が困難」
というのは、当然重要な課題ではありますが、自社内だけでなく、
外部との連携や中小企業でも利用できるデジタルツールや施策
を活用して今後自社に必要となる人材像を明確にして、その取得や
育成を図ることも、避けて通れない課題かと思います。

これらの課題に前向きに取り組むためにも、自社の強み弱みを
客観的に把握し、
人材に関する課題を人の問題=人的資産からだけでなく、仕組み=構
造資産や提携=関係資産の切り口から多面的に捉えることで
活路が見えてくるのではないかと考える次第です。

 

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