電通デジタルのAIを活用したプロトタイピングサービスとラクスルの中小企業サポートの比較からみえる他社の知的資産の活用方法

●　電通デジタルと電通、顧客企業の新規事業や新サービスの創出を支援する
プロトタイピングサービス「Wonderful Prototyping」の提供を開始

2017年10月13日に、電通デジタルと電通は、上記のサービス開始を発表しました。
「広告で培ったクリエーティブ発想とAIなどの先端テクノロジーを掛け合わせ、顧客企業オリジナルのデジタルサービスを生み出す」としています。

https://www.dentsudigital.co.jp/release/2017/1013-00229/index.html

（引用は「」でくくります。　改行は筆者挿入、以下同様）

「「デザイン×テクノロジー×データ」発想の統合チームを編成し、オーダーメード型のプロトタイピング開発を一括して請け負える体制を構築しました。その特長は、広告領域で培った人の行動やその背景にある感情を読み解くスキルをベースに、クリエーティブ発想とAIなどの先端テクノロジーを掛け合わせてサービスを提供できることにあり、①人の行動や感情を捉える独自データ、②顧客企業のサービスに合わせてカスタマイズ化が可能な独自テクノロジー、③大胆なクリエーティビティーを備えています。」

新規事業のコンサルティングとプロトタイプ作成までを一貫して請け負うというもので、以前このブログ、「ＡＩとデザインシンキングによるアイデア実現のスピード競争」http://wp.me/p8EI7Z-jq
でもお話したとおり、ビジネスアイデアの実現をサポートするサービスはどんどん充実してきていますね。

●　仕組みを変えて中小企業の生産性向上に貢献するラクスル

電通デジタルのサービスは魅力的ですが、電通さんといえば日本一の広告会社、中小企業が利用するには敷居が高いかと感じました。

ところで、印刷業界でインターネットを利用して新しい業界の仕組みを構築し、中小企業を支援しているラクスルの松本代表取締役のインタビュー記事が、2017年10月19日の KaikeiZineに掲載されていました。
https://kaikeizine.jp/article/7613/

こちらは、「印刷業界にインターネットでシェアリングする新しい仕組みを持ち込み、お客さまとサービス提供者双方にとって使いやすい新しい商習慣を提供していくことを目的に会社を設立した」とのこと。

「日本国内の印刷会社をネットワーク化し、その印刷会社の空いた時間を使って「ラクスル」で依頼を受けたものを印刷し、近くのお客さまにお届けします。」

と、市場の縮小とインターネット環境での印刷需要への対応という２つの課題を抱えている印刷会社と、中小企業を結びつけることで、両者のニーズに応えるというビジネスモデルで、中小企業をサポートしています。

●　大手企業のサービスを分解して、他社の知的資産のシェアリングを考える

ここで、電通デジタルの「Wonderful Prototyping」のサイトを振り返ってみると、
ブレインワーク（アイデア創出）からプロトタイピング（実現性検証⇒プロトタイプ作成⇒スケールアップによる収益化）と複数の過程を踏んでいます。
さらに、それぞれの過程で更に細かいサービスを提供していることが見て取れます。
http://www.wonderfulprototyping.com/

このように、パッケージ化したサービスの中には、色々な段階、業務が含まれていますが、個々の業務・サービスについては、専業の企業もいるので、これらの企業の空き時間を利用することで、ラクスルが印刷業界で実現したような、一種のシェアリングエコノミーを実現することは、中小企業でも可能ではないでしょうか。

自社の知的資産経営において、価値創造ストーリーの中で、他社の知的資産をシェアさせてもらうという視点から、知的資産のうちの関係資産を幅広く捉え直すことは、自社事業の強化・拡大の有効な方法と思います。

また、シェアリングの仕組みを自社で構築するか、自社事業でも利用できる、ラクスルのようなシェアリングサービスを提供している企業がいないかを考える（こちらは関係資産と構造資産の両方にまたがりますね）ことも併せて進めてはいかがでしょうか？

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